Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 22.03.11 『Breaking News』

 AshesサイクルとSystem GatewayそしてSystem Update 2021の日本語版が我が家に届いた。シュリンクを割いてカードを手に取り、その色鮮やかさに目を輝かせる。

 中身は全て決まっているので、トレーディングカードゲームのようにパックを剥いてどんなカードが入ってるんだろう!?という類のワクワク感があるかけではないが、しかし新しいカードを手に入れるっていうのはいつだって人を興奮させる。

 これらのカードはスリーブに詰められ、これらを手に入れるまで代わりに使用されていたプロキシ*1と入れ替わるようにストレージの中に収納される。出番のあるその時まで。最近はオンラインでしか遊べていないが、リアルで遊ぶ会を再び開ける日が来るだろうか……。

 

 

 RAMフォーマット5番目のカードプールにはCore Set、つまり最も最初にリリースされたアンドロイド:ネットランナーの基本セットが含まれる。基本セットなだけあってどの派閥もデッキが構築できるだけのカードが揃っているしData and Destinyもあるから少数派閥のデッキも組める。さあてどの派閥で遊ぼうか……。

 コーポのデッキを組むときはランナーが何をしてくるか、ランナーのデッキを組むときはコーポが何をしてくるかを想定してデッキを組む。メジャーなフォーマットであればそれぞれにどういった戦略が存在するか、何に注意しておくべきかは経験から知ることができるが、毎回カードプールが変わるRAMフォーマットだとそうはいかない。まずはカードプールを眺めてそれぞれ何が得意そうかを知るのだ。

 まず目についたカードはCore Setの《Breaking News》。一時的にタグを与える計画書だ。インストール・アドバンス・アドバンスで得点してもタグを利用する間もなくターンが終わってしまうが、工夫して使えば問答無用に与えたタグでそのターンの間ランナーを好き放題にできる。具体的には《Closed Accounts》でランナーの預金を吹き飛ばしたり《The All-Seeing I》でリソースを全て吹き飛ばしたり《Scorched Earth》でランナーのグリップを吹き飛ばしたりなどなどだ。

 

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 一時的にタグを与えるこの能力は2つの異なる能力で成り立っており、タグを与えるのは得点時の能力、タグを剥がすのはターン終了時の能力として別々にトリガーする。ターン終了時に失われるタグを与える効果ではないのがミソだ。タグを与えたあとこのカードが能力を発揮できない状態になっていれば……? ターンが終了してもランナーはタグを失わない。一時的にタグを与えると言ったな。あれは嘘だ。

 《Breaking News》の能力が有効であるのはコーポの得点エリアにある間。なんらかの方法でここから取り除いてしまえば能力を無効化できる。候補としては計画書を放棄/Forfeitする《Ibrahim Salem》と《24/7 News Cycle》があげられる。どちらも強力な効果を持っているため使いやすさで選ぶことにした。《Ibrahim Salem》を使うにはこれを事前にインストールしておかなければならないが、《24/7 News Cycle》は先に《Breaking News》が得点されていればよいので使い勝手が良さそうに思えた。《24/7 News Cycle》は計画書の得点時効果を発動するので、《Breaking News》の2タグを与える効果だけを更に発動もできる。ランナーはタグまみれだ。

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能力を起動する計画書のほかに放棄する計画書も必要なので注意

 実は一番使いたかったのは《Exchange of Information》だった。《Breaking News》の得点と同時にこれのプレイ条件も満たし、ランナーの得点エリアの計画書(狙い目は《Global Food Initiative》)と交換してやれば、勝利に大きく近づきつつタグも押し付けたままにできる――のだが今回のカードプールにはないのでまたの機会に。

 

 こんなに簡単にタグを与えられるのだ。あとはCore Setが誇る最強の任務《Scorched Earth》でランナーを吹き飛ばせば勝ち。

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これ1枚で4ミートダメージ

 なんてちょろいゲームなんだ! デッキを組んだ時はそんなふうに思っていた。……しかし現実はそんなに甘くはなかった。

 

 

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ランナーのリグ

 あまりのアイスブレイカーの貧弱さに悲鳴を上げていた前回のカードプールとは打って変わり、今回のカードプールのアイスブレイカーはめちゃくちゃ強力。どんなICEも1枚は確実に突破する《Engolo》に睨みをきかされ、《Breaking News》をインストールしてターンを渡すなどとてもできない状況。おまけに《No One Home》までインストールされている。タグが容易に飛んでくることを見越した対策カードだ。ちくしょう! しっかり対策されてしまっている!

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ネットダメージとタグのいずれかをトレースで打ち消せる

 トレースに勝てさえすればタグは付くのでまだチャンスはある……と思いきや、《Data Dealer》で次々と9クレジットに替えられる《Fan Site》たち。《Fan Site》はコーポが計画書を得点すると0点の計画書になるので、得点機会の多いコーポ相手には良く刺さる。タグを与えようとしたらクレジット源を提供してしまいピンチに陥ってしまった。

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 《Scorched Earth》でミートダメージを与えて勝つつもりが完全にその機会を逃し、そうでなければ得点して勝たねばならないのでこれ以上計画書を《24/7 News Cycle》のために放棄するわけにもいかないので、途中から完全に戦略が崩壊。HQに抱えた《Global Food Initiative》を得点できないままズルズルと攻められ続けてしまった。

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GG

 

 ランナーのメタ読みが刺さりコーポの戦術は封殺されてしまった。お見事。

 《No One Home》の存在を見ないふりしてタグに依存したデッキを作ったことが完全に敗因だったように思う。う~~む、くやしい。

 NBNは2/1計画書を4枚も使えるので、得点時効果を上手く使って戦える工夫をもっと増やすべきだったかもしれない。ランナーにも同じことは言えるので利用されないように注意は必要ではあるが……。《Spoilers》とか。

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 また来週。

 

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*1:紙に印刷したカードの代わり