ネットランナー大会レポート 23.05.06 『Tokyo Netrunner Circuit Opener』
Tokyo Netrunner Circuit Openerに参加してきた。
主催のRamusさんならびに参加者のみなさん、とても楽しかった。ありがとうございました。
記録に残すために大会レポートと使用デッキの解説を書いておこうと思う。
大会は2023年5月6日、東京で行われた。
参加者は8人。1マッチでランナーとコーポをそれぞれプレイし、それぞれ勝ちか負けかドローかを記録するスイスラウンドを4ラウンド行った。
デッキ紹介
私が大会に持ち込んだデッキを記しておく。
まずはランナーから。
ランナー
ID
デッキを用意する段階でIDは《Captain Padma Isbister: Intrepid Explorer》にすぐに決まった。《Endurance》はスタートアップ環境で暴れることは間違いないし、これを3枚積めるShaperに有利を感じていた。それに、この時期のスタートアップに含まれるBorealisサイクルにはパワーカウンターを使った強いカードが多く存在しているので、《Captain Padma Isbister: Intrepid Explorer》のパワーカウンターを補充する能力はそれらをよりたくさん使用できる。結論を言えばIDのチョイスは間違いではなかった。
イベント
《Manegarm Skunkworks》や《Anoetic Void》を始めとする強化や、《Dr. Vientiane Keeling》のような資材を処すために《Pinhole Threading》。カードパワーのあるスタンダードならお守り程度に1,2枚に抑えるが、スタートアップでは必要になる場面が多くなることが予想されたので3枚にしてある。序盤はICE裏に置かれた《Regolith Mining License》をトラッシュしに行けるのにも使えるので、これは多ければ多いほどよい。
《Rigging Up》は《Endurance》のために3枚積み。余ってもアイスブレイカーのインストールに使えるので無駄がない。序盤にさっさと船をインストールして対応可能範囲を増やすゲームプランだ。
《Into the Depths》は船であらゆるICEを突破できるようになったあとでプログラムをサーチする手段として採用。このスタートアップには《Self-modifying Code》がないので貴重なプログラムサーチ手段となる。その他4枚目以降の《Dirty Laundry》にもなるし、必要とあらば船のパワーカウンターを増やすのにも使える。モードが多彩で無駄にならない。
《Deep Dive》は《Nyusha "Sable" Sintashta: Symphonic Prodigy》以外にクリックを増やせないこの環境ではそれほど強くないため採用しなかった。特にこの大会で想定した仮想敵である《 Thule Subsea: Safety Below》と《Jinteki: Personal Evolution》は細かい点数の計画書をたくさん採用するため、これで1枚盗んだところで費用対効果が薄く、前者に対してはコアダメージを避けるクリックが足りなくなってしまい非常に相性が悪かったのである。
ハードウェア
お守りとしての《Hippocampic Mechanocytes》。避けられないコアダメージを与える《 Thule Subsea: Safety Below》だったり、《Dr. Vientiane Keeling》に対抗するために入れてあった。特に《Jinteki: Personal Evolution》相手にハンド上限を減らすことは死を意味するのでそれを回避する必要があったし、必要な場面は訪れた。(有効に使えたかはまた別)
リソース
不意のタグからの《End of the Line》でフラットラインしないための《No Free Lunch》。必要な時にないと困るので、影響値を割いて3枚積みにしてある。常に1枚インストールしておけばコーポのタグ利用戦略をほぼ無効化できるので、負け筋を1つ減らすことができる。タブってもクレジットになる。
3ドローを2回できる《Dr. Nuka Vrolyck》はデッキの潤滑剤。一気にカードを引いてテンポよくプレイできるので、あらゆるデッキにおいてドローソースは非常に重要。そればかりでなく、1クリックで一気に3枚もカードが増えるため、Jintekiを相手にする際に減ったグリップをすぐに回復できたり、グリップを増やしてリスクを負ったランをしやすくなるという利点がある。通常2回しか使用できないが、《Captain Padma Isbister: Intrepid Explorer》の能力でカウンターを増やせるので1枚を延々と使い続けることもできる。特にICEの少ないJinteki相手だと《Endurance》にそれほどカウンターを回さなくてもよいので、これの使用回数を増やすことでグリップの枚数を維持し続けることに注力できる。
プログラム
《Ob Superheavy Logistics: Extract. Export. Excel.》のプログラムトラッシュコンボや《Jinteki: Personal Evolution》のネットダメージでアイスブレイカーをトラッシュされることが想定されたので、アイスブレイカーは2枚ずつ採用。大会にObはいなかったが、PEについては予想通りだった。
《K2CP Turbine》は無類の強さを発揮する。なぜなら強度6以上になるICEはこのスターアップ環境においてほんの一握りしか存在しないからだ。(《Archer》と《Brân 1.0》、アドバンスカウンター3つ載せた《Pharos》、レゾ直後の《Stavka》くらい)
《Cleaver》、《Echelon》は《K2CP Turbine》によって強度5になるためほとんどのICEを非常に安いクレジットで突破できるようになる。強度6以上が求められた場合に掛かる金額が跳ね上がるが、そもそもレアケースであることと、もし万が一出てきたとしても《Endurance》でなんとかすればよい。本当は《Buzzsaw》にしたかったが影響値が足りず代わりに《Hyperbaric》に。
《Cezve》は無茶苦茶強いカードなのでShaperでも使いたくて影響値を割いて採用。この影響値を《Buzzsaw》に使った方がクレジット消費が少ないというケースもあっただろうが、ICEを相手にしない場合でも多目的に使えるこれには3影響値を割く魅力が十分に感じられた。特に《Pinhole Threading》と相性がよく、無防備なアーカイブにランを通せば《Cezve》のクレジットからトラッシュコストを払うことができる。
《Paricia》はアセットスパムメタに。《Conduit》はフィニッシャーに。
コーポ
ID
コーポのデッキは大会直前まで悩み続けていたがこのIDに落ち着いた。
まず戦略として計画書のファストアドバンス*1で勝つことに決めた。なぜなら、この環境にはプログラムを消費型能力ウィンドウで出す手段がないため、《Clot》によって計画書のファストアドバンスが咎められることがないためだ。
ファストアドバンスの手段としてIDと相性の良い《Vladisibirsk City Grid》と、HQに溢れた計画書をR&Dに退避できる《Moon Pool》を使うことにしたため、これらをトラッシュされないようにしなければならない。これについてはAshesサイクルにあったようなクレジットエンジンがローテーションして存在せず、ランナーはクレジットの供給はほとんど有限であることを利用し、ランナーの財布を絞め上げる戦略をとることにした。
計画書
《Vladisibirsk City Grid》と《Moon Pool》でファストアドバンスするため、2点計画書で全てまとめた。スロットがタイトだったため2/1計画書である《Post-Truth Dividend》は採用しなかったが、これについてはあと1点取れば勝ちという展開で2回負けているため、戦略を絞ってスロットを空けて採用しておくべきだったと思う。
《End of the Line》が全てのランナーにとって警戒対象でタグを付けることは難しいと予想していたため、計画書は《Freedom of Information》ではなく《Artificial Cryptocrash》を採用。ランナーのクレジットを失わせる戦略とも相性がよいし、実際によい仕事をしてくれた。
資材
アセットスパムであるため、ランナーにトラッシュコストの負担を強いるための資材をてんこ盛りに。もちろんクレジットソースも兼ねてあるため、全てトラッシュされてしまうと当然苦しくなるが、《Ubiquitous Vig》と《Marilyn Campaign》であればレゾした瞬間に元は取れているのでトラッシュされてもほとんど損失なくテンポアドバンテージを奪える。ただし《Ubiquitous Vig》はアドバンスカウンターが必要であるため、安定のために3積せず《PAD Campaign》も採用している。
《Vladisibirsk City Grid》と《Reversed Accounts》を見せていると、アドバンスカウンターを載せたカードにランされるようになるので、カウンターとして《Chekist Scion》を1枚だけ採用した。
任務
タグを無視し始めたランナーを咎めるための《End of the Line》。タグの利用手段は持っておかないとランナーになめられてしまうため、何かしら用意しておくのがよい。決まればラッキーくらいで1枚刺してあるが、1度を除いてほぼ使う機会はなかった。代わりにこの影響値で《Moon Pool》と《Retribution》を増やしておくべきだっただろう。
《Retribution》は主に《Endurance》を処すために採用。クレジットを絞られたランナーはタグを剥がすことを諦めるので、ほぼ決まる。《Public Trail》も非常によく刺さる。
強化
《Crisium Grid》は主に《Chastushka》と《Deep Dive》対策に。ランナーにとって非常に嫌なカードなのでレゾしてなくてもトラッシュしてくれる。
ICE
ジェネリック《Tollbooth》こと《Mestnichestvo》は3枚積み。無茶苦茶強い。
《Ping》はランナーのテンポを奪ったり、序盤の壁になったり。安くて優秀。これのおかげでランナーはラストクリックでランしない。ラストクリックでランしてほしかった。
対戦
第1ラウンド
〇 vs Ayla "Bios" Rahim: Simulant Specialist
ランナーのセットアップが整うまでに得点を重ねて勝利。《World Tree》が出てきてびっくり。すぐに消えて二度びっくり。
〇 vs Jinteki: Personal Evolution
運よく2点計画書を連続奪取。《Endurance》様様。ダメージは《Dr. Nuka Vrolyck》で即回復。
第2ラウンド
× vs Esâ Afontov: Eco-Insurrectionist
計画書がHQに溢れまくって地獄絵図…。しかも《Moon Pool》をちょうどR&Dのトップからトラッシュされてリカバリー不能に。計画書しかないHQを攻められるたび、ピンポイントで盗まれたかのようなリアクションして頑張って誤魔化しなんとか耐えるも、次のターン得点して勝ち!というところで《Finality》でR&Dから盗まれて負け。
〇 vs Jinteki: Restoring Humanity
運よく3点計画書2枚盗めたのと、R&Dから1点盗んで勝ち。時間ギリギリ!
第3ラウンド
× vs Jinteki: Personal Evolution
2点計画書3枚盗んでリーチ!というところで、ラストクリックで打った《Sure Gamble》が仇となり、フラットライン。グリップ4枚が《Reaper Function》で2枚削られ、インストールされていた《Blood in the Water》を得点されてさらに1枚、そしてとどめに《Neurospike》。
《Dr. Nuka Vrolyck》にカウンター貯めてたので、待ち伏せを恐れずに遠隔サーバーのチェックをしておくべきだったとあとで深く反省したゲームとなった。
× vs Captain Padma Isbister: Intrepid Explorer
クレジットを絞る作戦は上手く機能し、ランナーの財布はズタズタに。しかし最後の1点が取れず逆転負け。《K2CP Turbine》のおかげでどのサーバーも2~3クレジットで突破されてしまうので、《Endurance》をトラッシュしても状況を改善できなかった。《Retribution》の2枚目があれば……。
第4ラウンド
〇 vs Esâ Afontov: Eco-Insurrectionist
初期手札に《Drago Ivanov》と《End of the Line》と《Retribution》が揃っていたので、おやおや……と思っていたら、ランナーのグリップが3枚でターンが返ってきたのでタグしてミートダメージ。その間2ターン。
〇 vs Thule Subsea: Safety Below
スタンダードでもスタートアップでもよく使ったので、弱点がよくわかっていた。とにかくクレジットが厳しいのでひたすらレゾさせ、クレジット源を潰し、《No Free Lunch》を置き、クリックに余裕を持ってランする。
《Echo》はいくらパワーカウンターが載ろうと《Cleaver》の敵ではないので、《Conduit》で繰り返しR&Dを掘って勝利。
最終結果と反省
ランナーは3勝1敗。コーポは2勝2敗。総合3位。プロモカードとプレイマットをゲット。ありがとうございます!
ランナーのデッキは特に非の打ちどころのない内容だったため、唯一の黒星は完全にプレイングミスによるもの。
コーポのデッキはアセットスパムとタグキルとリグ破壊とファストアドバンスをどれもこれもと取り入れた結果、どれも中途半端な火力に。まさに器用貧乏。方向性は悪くなかったので改良すればもっと結果はよくできただろう。1回でも試運転しておけば気付けたかもしれない。試運転大事だった。
終わりに
ネットランナーの大会をやるということで大阪から新幹線で遠征して参加した甲斐のあった非常に楽しい会だった。次こそは優勝したい。
みんなも遊ぼうネットランナー。
*1:計画書をインストールしたターンに得点すること
ネットランナー会レポート 22.06.17 『From Far Above』
コーポの派閥の一つWeyland Consortium。
《Beanstalk Royalties》でお馴染みの軌道エレベーター『豆の木』を有するメガコーポで、主に不動産を生業としている。
建物を作って破壊してまた作ってと再開発を繰り返すその裏で、武装した実働部隊も保有。都合の悪い相手はビルごと爆破し、ミサイルを撃ち込み、不幸な事故を装ってバスで押し潰す。
悪い噂が絶えることのないストロングスタイルがこの派閥の特徴だ。
小惑星の採掘
Weyland Consotiumの土地開発は地上のみならず宇宙にも及んでいる。Red Sandサイクルは火星開発をテーマにした小拡張群であるが、その中に収録されている《Meteor Mining》はクレイジーそのもの。
小惑星を誘引し地表を破壊! 得られた地下資源の利益で得点時に7クレジットを得ることができる。
パワー!
圧倒的な質量と速度がもたらす破壊力の前には、火星の岩盤も企業活動を邪魔する憎きあいつもひとたまりもないだろう。……そう、隕石を指定の場所に誘導できるということは、その落下先にランナーの居場所を指定することもできるというわけだ。
ランナーに落とせば7ミートダメージ。GG。
今回はこれでランナーを吹き飛ばして勝利する方法を紹介しよう。
さて、問題はどうやってその状況を作り出すかである。《Meteor Mining》で勝利するには――つまりランナーに隕石を落とすということだが、越えなければならない2つのハードルがある。
1つ目はタグを2つ以上つけること。
《Hard-Hitting News》を使えば達成できるが、これをプレイした後はターンを終えてしまうため、ランナーにタグを剥がさせない工夫が必要となる。
2つ目は《Meteor Mining》を得点すること。
5/2計画書であるため普通に得点しようと思えば6クリック、すなわち2ターンのクリックをフルに使う必要がある。
タグを2つ以上維持したままアドバンス要求5の計画書を得点する大仕事を同時にこなさなければならない。両方を同時に進めようにも、ランナーにタグを剥がされたり、得点を準備した《Meteor Mining》を盗まれてはいけないのだ。
こんな難しいこと本当にできるの? タグ2つつけて《BOOM!》するんじゃダメなの!?
確かに《BOOM!》で仕留める方が手順が少なくて簡単なのだが、そこに勝ち方があるならその方法で勝ってみたいじゃない!
……というのがこの困難な道をあえて選ぶ理由だったりする。
アンドロイド:ネットランナーを遊ぶプレイヤーが勝手に設定する実績の1つのようなもの(例えば《Project Beale》に13個アドバンスカウンターを載せて7点として得点して勝つというような挑戦)である。
そこに浪漫はあるのだ……!!
このチャレンジのためにIDは《Jemison Astronautics: Sacrifice. Audacity. Success.》を選択。
計画書を放棄/forfeitするとその計画点+1のアドバンスカウンターを1枚のカードの上に載せることができるという能力を持っている。
Weyland Consortiumグループの宇宙開発に携わる企業の一つなので、今回のテーマにぴったり。放棄された計画書は宇宙にでも打ち上げられているのだろうか。
実践
計画実現のためには入念な下準備が必要。
特に1枚以上の《False Lead》が得点できているかで難度に大きな違いが出る。多少のリスクを負ってでも得点しておきたい。
R&Dを丸裸にしておいたせいでランナーに容易く侵入を許し、計画の要である《Meteor Mining》と《False Lead》をそれぞれ1枚ずつ盗まれてしまう。
しかしこちらも負けじと《False Lead》を1枚得点。《Hostile Takeover》もスコアエリアに加わった。どちらも1点の計画書だが、放棄すればID能力によってアドバンスカウンター2個に化けるのだ。
ターンが進み、コーポのターン。ドローしたのは《Meteor Mining》!
手札には《Hard-Hitting News》。ランナーのクレジットは3なので使えば確実にタグすることができる好条件。そして遠隔サーバーには最後の《False Lead》が既にインストールされている。
コンボパーツは揃った。
まずは《Oberth Protocol》をレゾ。
これはコンボに必須ではないが、各ターン1回目のアドバンスで乗るカウンターの2個にできる。更にレゾ時に計画書を放棄するのでID効果によるアドバンスカウンターも発生する。
1クリック目でアドバンスし、アドバンスカウンターは合計3個。《False Lead》を得点する。
2クリック目で《Meteor Mining》を同じサーバーにインストール。
そして3クリック目に《Hard-Hitting News》!
ランナーにタグを付けてターンエンド。
そしてランナーのターンが始まると同時に《False Lead》の能力を起動!
この計画書を放棄することと引き換えにランナーは2クリックを失う。《False Lead》は2枚得点されているのでランナーは4クリック全てを喪失。タグを剥がす間もなくターンエンドを迎えることとなる。
――と同時にID能力により合計4個のアドバンスカウンターが《Meteor Mining》に乗る。得点する準備は整った。
ランナーの直上にコーポの差し向けた隕石が迫る!
ドーーン! 決まったーーー!!
致死量のミートダメージでランナーはぺったんこ。フラットラインで勝利!
己が敵を吹き飛ばしがちなWeyland Consortium流問題解決法の中でも最も派手な方法を実行できた。もしランナーにまだ息があるようならミサイルを撃ち込んでとどめを刺そう。そして成果としてできたクレーターを見下ろしながら悪役らしく高笑いするのだ。
最近参加者が増えて嬉しい。
みんなアンドロイド:ネットランナーを遊ぼう。
ネットランナー会レポート 22.06.10 + 22.06.12 『柏木スタートアップ』
ゲームスペース柏木。まだFFG*1が販売しサービスを展開していた頃に日本でアンドロイド:ネットランナーが遊ばれており、全日本大会の会場にもなった場所。
私がアンドロイド:ネットランナーに出会ったのはFFGによるアンドロイド:ネットランナーのサービスが終了する直前。その場所で定期開催されていた会はもう何年も前に閉じられてしまっており、残されたブログ記事や動画でのみ当時の空気を感じることができるだけとなっていた――
しかしこの日曜日。ゲームスペース柏木には再びアンドロイド:ネットランナーを遊ぶ人々の姿があった。
4人掛けの机が3つ埋まるほどのプレイヤー達。途中で人の入れ替わりがありつつも、それだけの参加者が一堂に会したのだ……!
柏木ネットランナー会
6月12日午前11時半頃。新幹線を下車し新宿へ向かった私を巨大な猫もとい虎が出迎える。
着いた pic.twitter.com/DtSsc5mmer
— NLR (@NL24VEN) 2022年6月12日
参加したのは、NISEI版がリリースしたカード群で遊べるスタートアップを遊ぼう!の会。会場には最新のアンドロイド:ネットランナーを遊ぶ人たちの他にも、これからアンドロイド:ネットランナーを始めようという人や、かつてこの地で遊んでいた人たちの姿もあった。
挨拶もそこそこに各々席に着き対戦を始める。
最初は知り合い同士でペアになっていたりするものの、柏木ネットランナー会初参加もとい大阪から飛び込んできた私にとってどなたも初対面。
「はじめまして、よろしくお願いします」
初めて会う方でも互いに通じる共通言語を持っていればお近付きになる難度はぐっと下がるというもの。初対面の方々に囲まれてどぎまぎしていた私も場の空気にすぐなじむことができた。
実際のカードで遊ぶネットランナー!!
大阪でネットランナー会を開いてた時以来……というのは大げさな表現だが、こうした大規模な対戦会に参加するのは新型コロナウィルスが蔓延する以前の話。久々の感覚に手に汗握る。
古参の方々のクレジットトークンやクリックカウンターといったアイテムがお洒落……
ランナーとコーポの対戦を交互に1戦ずつ行うラウンドを終えるたび席を交代。
多いかも?と目されていたJinteki派閥のデッキとは2回遭遇。
どちらもIDは《Jinteki: Personal Evolution》で、1戦目はネットダメージでグリップを削られ続けてスタックが底をつき、2戦目は《Seamless Launch》を使った《Ronin》の起動と《Sting!》の得点という奇襲を受けてフラットライン。
《Buffer Drive》で対策してみたものの、攻め込む大胆が足りなかった。うーむ、悔しい!
一方私が持ち込んだJintekiは《Hyoubu Institute: Absolute Clarity》、《La Costa Grid》でアドバンスカウンターを稼ぐデッキ。
《Urtica Cipher》だと思わせておいた《Clearinghouse》を育ててランナーを吹き飛ばすなどした。
他には1ターンに6クリック使うコンボする《MirrorMorph: Endless Iteration》や、リグにカードを揃えてフルパワー《Khusyuk》を使う《Lat: Ethical Freelancer》を使ってみたり。
《MirrorMorph: Endless Iteration》は《Subliminal Messaging》で簡単にID能力発動までアクションを使いやすいし、発動した能力でクレジットを稼ぐのも悪くない。
《Lat: Ethical Freelancer》のデッキは無限にクレジットを供給し続ける《Rezeki》と《The Artist》でコーポの分厚いICEの壁をぶち破り続けた。
そういえば《Gauss》で《Eli 1.0》を突破するのに6クレジットもかかってしまう。スタートアップのフラクターは結構貧弱かもしれない?
最後の方は疲れてへろへろになっていたので、ネットランナー談義に花咲かせつつ観戦。生の観戦は表情や声からプレイヤーの感情が伝わってきて良い。
参加人数が多いため全ての方との対戦や交流まではできなかったものの(嬉しい悲鳴)、いろんな方々と対戦したり交流することができた。
単にたくさんネットランナーをプレイできたこと以上に、同好の士にたくさん会えたことがより嬉しかったかもしれない。
とても楽しかったし、参加してよかった!
乗る予定だった新幹線逃して泊まろうかとしてましたが、夜行バスで帰れることになりました。ご心配おかけしました!
— NLR (@NL24VEN) 2022年6月12日
あまりに楽しすぎて新幹線の終電逃す。
毎月第二日曜日の定例会にするそうなので、ゲームスペース柏木にアクセスできる人はぜひ遊びに行って欲しい。
毎月の参加は難しくても、また遊びに行きたいぞー!!
ティーチング
毎週金曜日のオンラインでのネットランナー会では新規参入プレイヤーの方のために、ネットランナーの細かいルールの解説とJinteki.netの使い方を説明しながらの対戦を行った。
こういうときゲーム要素が絞られたスターターデッキというのは非常に便利。
最後に「ネットランナー最高ですね」と感想を貰えたのでティーチングは大成功。ぜひリピートしていただきたいところ。
柏木での会もオンラインでの会でもネットランナーをプレイする人が増えて非常に嬉しい限り。この調子でまた流行るといいなぁ……!
*1:Fantasy Flight Games
ネットランナー会レポート 22.06.03 『手札事故リカバリー』
手札事故。
文字通り手札のカードの内容が悪くてにっちもさっちもいかない状態になることを指す――カードゲームをプレイしている人なら誰もが経験したことがあるだろう。
デッキに入れるカードの内訳を調整することによってこのような状況ができるだけ起きないように努力することはできる。しかし、どのようなカードがドローされるかは運が絡む以上、ごく低確率であっても不幸なカードの偏りが発生してしまうことは避けようがないのも事実。
アンドロイド:ネットランナーももちろん例外ではない。例えば、1ターン目が終わったら――
こんな状態で、頑張ってこの状態を脱却しようとした結果迎えた3ターン目が――
こんな状態だったときだ。ドローしてもICEが引けないばかりか、計画書が更に増える展開。あるあるだと思う。
HQには手札上限いっぱいの計画書。おまけにHQを守っているICEはランを終了できるサブルーチンを持っていないときた。
こんなときあなたならどうするだろう……?
答え①突如スマートな思考に目覚め果敢に攻めて得点を狙う。
答え②HQの前のICEがランナーから守ってくれる。
答え③計画書はランナーに盗まれる。現実は非情である。
答え
――③
答え③
答え③
まだだ! まだ勝負を捨てるには早すぎるぞッ!!
まずは落ち着いてICEを、《Drafter》をレゾする。ランナーは丸腰なのでこのICEのサブルーチンは全て解決される。
《Drafter》の1つ目のサブルーチンはアーカイブのカード1枚をHQに戻す能力。アーカイブにある計画書以外のカードを戻せば手札は6枚になる。
よし、これで計画書が盗まれる確率は5/6 ≒ 83%になった!
まだまだ高いがさっきまで100%だったんだからこれでも良くなった方だ。
加えて、《Drafter》2つ目のサブルーチンはアーカイブもしくはHQからカードを1枚インストールする能力。これでHQから計画書を1枚減らす!!
遠隔サーバーにHQの計画書を1枚インストールし、計画書が盗まれない確率は17%弱から20%に上昇!
さあどうだ!?――
現実は非情ある。しかし大事なのはここから。
確かにランナーは計画書を盗んだが、まだ4枚(HQに3枚、遠隔サーバーに1枚)も計画書が残っていることを知らない。このピンチを気取られるな……!!
アンドロイド:ネットランナーはブラフを用いる心理戦のゲーム。ちょっとした動作が罠か計画書かの判断材料にだってなることがある。コーポが手札を見ながら顔を曇らせていたら、それはランナーにとってその原因を確かめたくなる要因に、つまりHQへのランの動機になることだってあるのだ!……なるよね?
対戦中にうっかり「HQがつらい状況にある」ことを漏らしてしまうとHQをボコボコと攻撃されることになるので、そういった情報を伝えないようどんなにつらくてもポーカーフェイスを貫かなければならない。逆にランナーに「HQにたった1枚しかなかった計画書をラッキーにも盗むことができた」と思わせることができれば、残りの計画書を守ることができる可能性は大きく向上する。
「5分の1だったのになんてこった!」
「~~~~ッ!!(とても悔しがる)」
のようなリアクションでランナーにそうだと信じ込ませよう。
ランナーがHQへのランのラッキーな成果に満足して追撃をしない判断をしてくれたら儲けもの。
そして今回は――
――生存!! ランナーはHQへの追加のランをしなかった!
さらに幸運なことに強制ドローで《Bass CH1R180G4》を引いたので、先ほど《Drafter》のサブルーチンで回収した《Red Level Clearance》をプレイする。
選ぶのは「計画書でないカードのインストール」と「1クリックを得る」。《Bass CH1R180G4》を新しい遠隔サーバーにインストールしつつ残りクリックは3。
HQから計画書をインストール、3クリック目でそれをアドバンス。残りクリック1。
《MirrorMorph: Endless Iteration》のID能力が誘発するので、得たクリックで《Bass CH1R180G4》を起動し追加で2クリックを得る。
あとは残った3クリックで3回アドバンスして得点!
このコンボはスタンダードの環境で使ったものであるが、コンボパーツがAshesサイクルに固まっているためスタートアップでも使うことができる。
HQの計画書を2枚にまで減らすことができた。楽観的だが、これでひとまず危機は脱した言えるだろう。
本来は《Seamless Launch》を回収して無防備にインストールした計画書を得点する法が安全だったかもしれないが、ドローに恵まれて結果オーライな形となった。ふふふ、運も実力のうちよ……
いかなるピンチも乗り越えられる可能性は残っている。ハッタリと虚栄で勝ち筋を掴みえるこのゲーム、やはり最高である。
柏木で行われるネットランナー会に向けてデッキを用意しなければ……!!
ネットランナー会レポート 22.05.27 『スタートアップで遊ぼう』
スタートアップ。
それはNiseiが制定するアンドロイド:ネットランナーの対戦フォーマットの一つ。
Niseiがリリースしたセットのみを使用するフォーマットであり、今となっては手に入りにくいFFGの古いカードを使用しないので、今からアンドロイド:ネットランナーを始めたり復帰したりする人にとって参入しやすいお勧めのフォーマットと言える。
普段はFFGのカードもNiseiのカードも混ぜて遊ぶスタンダードをプレイしているが、今回はスタートアップのデッキも用意した。なぜなら、かつて日本で盛んにアンドロイド:ネットランナーが遊ばれていた地ゲームスペース柏木で再びネットランナー会が開かれることになったからだ!
なんとめでたいことだろう。ネットランナー人口増加を夢に見て細々と布教活動に勤しんできたこととの因果関係はないかもしれないけれど、遊ぶために集まる会が再び彼の地で開催されるなんて、とても言葉で言い表せないが私にとって非常に嬉しいことだ。
これはもう乗り込むっきゃない。開催地東京だけどもネットランナーするためだけに遠征だーー!!ということで私も参戦。
当日はよろしくお願いします。優しくしてください。
普段この毎週のネットランナー会で一緒にJintei.netプレイしてくださってる方々にも会えるので非常に楽しみ。
↑↑会の詳細はこちらから。
――ってもうほぼ満席じゃないか! 沢山の参加者嬉しい限り。
月一で定期的に開催するそうなのでまだまだチャンスはあるぞ!
スタートアップフォーマットは最新の基本セットであるSystem Gateway、System Update 2021に加えAshesサイクルのDownfallとUprisingの4つのセットで構成される。本当ならここにMidnight Sun Booster Packも含まれるが、上記の会では使用しないのでしばらくは無視する。
スタンダードに比べてカードプールが狭まる分できることは制限されるが、同じセットのカードには大抵デザイナーズコンボと呼ばれる意図されたシナジー*1のあるカードが含まれているので、それらを上手く利用するのが基本的な方針になるだろう。
というわけでまず用意したのは《Hoshiko Shiro: Untold Protagonist》のデッキ。
アンドロイド:ネットランナー史上最初で現状唯一の両面IDのランナーで、暗い女の子とデジタル魔法少女という文字通り二面性を持ったカードだ。
何かしらのカードにアクセスすることでクレジットを得つつ裏面になり、裏面でいる間はクレジットが減る代わりに自動ドローがついてくるというアドバンテージの塊のようなID能力。この能力はランを成功させてこそなので、効率よく使うのであれば序盤のICEが薄く、でもアイスブレイカーは揃っていない……みたいな状況でもICEを突破してサーバーに到達できるようにしておくのが理想である。――《Boomerang》とか《Botulus》とか。
《Hoshiko Shiro: Untold Protagonist》を語るうえで外せないのが《DreamNet》の存在。各ターン最初にランに成功するたび1ドローを提供するという、ランにドローを付与する効果を持ったリソースであるが、特定の条件を満たしていれば更に1クレジットもついてくる。
この条件というのがリンク強度が2以上だったりIDがデジタル/Digitalを持っているかというものである。スタンダードであれば《Sunny Lebeau: Security Specialist》と《Apex: Invasive Predator》といった選択肢があれど、スタートアップという環境において使いこなせるのは《Hoshiko Shiro: Untold Protagonist》が唯一。しかもそれぞれの能力の発動・維持の条件がほぼ同義であるためするべきこともわかりやすい。1ターンに一度とにかくランしまくるのだ。
狙い目はHQ、R&Dといった中央サーバー。計画書の奪取に運が絡み試行回数が鍵となるのでこの戦略にもぴったり。例え計画書にアクセスできなくともコーポの手の内を知れるので、今後の戦略も立てやすくなる。がんがん攻めまくってコーポの余裕を削り取っていこう。
繰り返しランすれば自ずと結果はついてくる……はず。
このゲームでは37枚のカードをスタックから引いたが、そのうちドローに費やしたクリックはたったの3。ドローやクレジットを得るのに使うクリックが減ればそれだけカードをプレイしたりランしたりと他のことに割くことができるので、ランナーのデッキを組む際はそのどちらか(もしくはどちらも)減らせるように意識してみるとよいだろう。
スタートアップとは別に遊んだスタンダードでは、Criminalの三鳥こと《Saker》、《Peregrine》、《Golden》をいかに使いこなすかに腐心したデッキを使おうとしていた。
これらは全て自身のみでフルブレイクしたICEをデレゾするという共通の能力を持っている。問題はその能力を使うとグリップに戻ってきてしまうこと。
ただでさえICEのサブルーチンをブレイクするには小回りが利かず、インストールコストも安くないこれらのカードを普通に使うと相当な額のクレジットが必要になる。安定した運用のためにはインストールコストを下げたりクレジットを用意したりと相当準備が必要になるのだが、これだけ準備をしてやることはICE1枚のデレゾ……って全然見合わねーぞおい!!と思わずつっこみたくなるような問題児たちである。
しかしそんな問題児ほどかわいい……もとい使いこなしてみたいという欲求に駆られた一部のプレイヤー達は虎視眈々とその機会を伺っているのである。ああでもないこうでもないとデッキをこねくりまわしながら……
使用方針にはいくつかあるが、今回試したのはICEのレゾコストを上げてコーポの負担を上げる作戦。高いクレジットを払ったICEをデレゾされるのはコーポにとって相当苦しいはずだ。
ICEのレゾコストを上げるカードは《Xanadu》、《Hernando Cortez》、それに《DJ Fenris》で呼び出せるIDの《Reina Roja: Freedom Fighter》。ええい、全部載せちゃえ!
まだ全て揃っていないが、《Xanadu》と《Reina Roja: Freedom Fighter》によりICEのレゾコストは+2される。この状態で《Tread Lightly》でさらにレゾコストを上乗せしたりしたもんだからコーポはほぼICEをレゾできないまま戦局が進んでいくこととなった。
あ、あれ……? コーポがICEをレゾできないから、デレゾもできないぞ……?
コーポがICEをレゾするたびクレジットを得る《Los: Data Hijacker》の能力は空振り、鳥の出番もこないままゲームが終わってしまったのだった。か、加減が難しい。。
ランナーたちのチャレンジはまだまだ続く……
*1:相乗効果
ネットランナー会レポート 22.05.20 『二層式軌道エレベーター』
かねてより構想だけはあったものの、実用性に著しく欠けるという理由で挑戦しなかった《Earth Station: SEA Headquarters》で《Daily Quest》を使う戦術――IDをひっくり返すと遠隔サーバーへのランに6クレジットのコストが必要になるので《Daily Quest》のような資材が簡単に守れるのだ!
しかし《Earth Station: SEA Headquarters》は遠隔サーバーを1つしか建てられないので、そこで《Daily Quest》を守ると計画書を得点するためのサーバーがなくなってしまうという致命的すぎる弱点がある。なので普通はこんなことを戦術に組み込むのはおかしなことなんけど、たまたま最初のドローで《Daily Quest》を引き当ててしまったからついやってしまったんだ。デッキに1枚しか入ってないはずなのにね。
ネットランナー会開始!
— NLR (@NL24VEN) 2022年5月20日
からの初手。 pic.twitter.com/9B9eawZD5X
この布陣は2ターン目から《Daily Quest》の収入を受け取りつつHQも守れるという恩恵があるものの、《Inside Job》でHQに侵入された瞬間に崩壊する脆弱性も併せ持つのでただのロマン技でしかない。やめよう。
この対戦はJinteki.netのある不具合*1でお流れになってしまったので、本稿で紹介するのはこれとは別の対戦である。
さて、《Earth Station: SEA Headquarters》のデッキに不似合いな《Daily Quest》なんてカードがなぜ入っているかといえば、上記のようなロマンコンボを実現するためではないが、もちろん使うために入っている。
遠隔サーバーが1つしか建てられない以上、複数の資材を利用しにくい《Earth Station: SEA Headquarters》ではクレジットが稼ぎ辛い。その問題を如何に解決するかが今回の焦点だ。
1つのサーバーでクレジットも稼ぐし、計画書も得点する
《Earth Station: SEA Headquarters》は表と裏でそれぞれ異なる能力を持つWeyland ConsortiumのID。
裏面では遠隔サーバーへのランに6クレジットを課すという強烈な能力を持っているが、HQへのランに成功されると能力を解除――表面に戻ってしまう。逆に言えばHQを上手く守り続ければこの防御能力はずっと機能し続けられるというわけである。
この能力を上手く使えばICEがなくても遠隔サーバーも守ることができる。ただ、6クレジットのコストを意に介さず突っ込んでくることもあるので、ランを終了できる強化もセットしておくとより効果的になる。
――まあ、最初は簡単に突破されてしまうわけだが……
本番はここから。
引いたICE二枚で遠隔サーバーを守り、《Dedication Ceremony》でHQを守る《Akhet》にアドバンスカウンターを載せる。
これでランナーがHQに来ようとするたび《Akhet》の効果で他のICEにどんどんアドバンスカウンターが溜まっていく。HQへの心理的抵抗を増やしつつ、十分な防御を得たので計画書の得点も狙っていく。
遠隔サーバーの防御を起動するのに1クリック使ってIDを裏面にひっくり返す必要があるが、これはランナーからすれば計画書を得点するための予備動作も同然。コーポはそれがバレバレなのを前提に行動しなければならない。あるいはそれを承知でブラフを仕掛けるか……。
わざわざ《Oaktown Renovation》を計画書に選んでいるのもランナーに得点行動がバレることを前提としているため。公共/Publicな計画書は表向きにインストールされるがその分効果は強め。クレジットを稼ぐという目的なら《Offworld Office》よりわずかに効率がよく、しかもアドバンスと同時にクレジットを得られるので隙を生じにくい。
うっかりIDを表向きのままランナーにターンを渡してしまったので、遠隔サーバーに易々と攻め込まれてしまったものの、《Border Control》で強引にランを食い止めて事なきを得た。
《Rielle "Kit" Peddler: Transhuman》と《Engolo》の組み合わせはデコーダーじゃなくてもICE2枚ぶち抜いてくるので油断ならない。
計画書を得点したことにより、事前に遠隔サーバーに仕込んでおいた《Malapert Data Vault》でR&Dからカードをサーチ。《Jinja City Grid》をHQに加える。この調子で必要なパーツを集めていこう。
《Jinja City Grid》はドローしたカードがICEであればそれを即そのサーバーを守るようにインストールできる強化。インストールコストも軽減されるので容易に分厚い壁を築くことができる。
これでもう簡単には突破できまい!
更にシレっと1枚サーバー内にインストールしておく。そして次のターンには――
――2アドバンスしてIDをフリップ! さあて、これは計画書でしょうか!?
3回アドバンスして《SDS Drone Deployment》を得点。《Engolo》を吹っ飛ばす!
まあ、このあとすぐ次の《Engolo》がインストールされてしまうのだが……。
ここであと1枚計画書を得点すれば勝利だがクレジットは残り2。こんな心許ない額じゃHQにある《SDS Drone Deployment》の得点を仕掛けることはできない。
ちょうど《Daily Quest》を引き当てたが、ここはガツンと一気にクレジットの回復を図りたいので《Malapert Data Vault》でサーチするカードは《NGO Front》を選択。
8クレジットまで回復したものの、リソースにたっぷりとクレジットを蓄えたランナーを正面から相手するにはまだまだ。遠隔サーバーのICEを十分な数起動できるようにしておかなければならない。
クレジットを続けて稼ぎたいので、手札に引いてきた《Daily Quest》をインストール!!――するのだが、その前にこれもつけちゃう!
《Full Immersion RecStudio》の上には計画書もしくは資材を2つまでインストールできる。1つのサーバーに2つ以上の計画書や資材が同居できないのがこのゲームの常だが、このカードはそのルールを破壊する。
遠隔サーバーを1つしか作れない《Earth Station: SEA Headquarters》にぴったりじゃないか!――と言いたいところだが《Full Immersion RecStudio》は4影響値使うのでそうそう枚数を増やすことはできない。歯がゆい。
似たような能力の《Worlds Plaza》というカードもあったがこちらは3つまで搭載できる代わりに資材専用。
5点分計画書を得点した終盤も終盤だが、ここにきてようやくこのデッキでやりたかったことを実現できた。これによって《Daily Quest》を維持しながら計画書の得点も狙えるのだ!
その後クレジットを回復しつつサーバーのICEもどんどん積みあげていく。
守るICEの数が増えるほど強くなる《Surveyor》はこういうとき非常に頼りになるね。
ドローアクションで《Oaktown Renovation》を引いたのでインストール! 残りのクリックで忘れずIDをひっくり返す。
1アドバンスしておかなければ次のターンに得点できないが、ここまで遠隔サーバーが育ったあとであればHQに握っておくよりも安全な気がした。
次のターンでランナーはアーカイブにラン。《Space Camp》にアクセスしたため、そのアドバンスカウンターは計画書に置いた。
次のターンに3回アドバンスして得点。GG!
盗まれない状態で使う《Oaktown Renovation》が強い! 資材を維持してクレジットを稼ぐことと計画書の得点が両立できない弱点も、この計画書を使うことで補う道がありそうだ。もしそうであれば《Full Immersion RecStudio》に割いた影響値も他の部分に回せるというもの。
ランナーに《Space Camp》を複数回踏ませてICEを育てる魂胆もあったが、その企みは今回機能不全に終わった。《Space Camp》を活用できるIDはこれではないと感じたので、もっと良いパートナーを他に探してみようと思う。
*1:対戦中にカーソルキーの左右を入力すると直前に見てたリプレイが再生されてしまう。再入室不可。
ネットランナー会レポート 22.05.13 『指向性計画点』
7計画点先に獲得すること。アンドロイド:ネットランナーにおける勝利条件だ。デッキ切れやフラットラインといった特殊な敗北条件も存在するが、基本的には計画の達成や奪取によってお互いの得点行動を妨害し合いつつ先に得点を稼ぎ切ることを目指すのである。
ところで、計画書を得点したり盗んだりする以外に計画点を伸ばす方法があることはご存じだろうか?
今回はNetrunnerDBに投稿されていた、奇想天外なアイデアがぐっときたデッキを使って遊んでみたのでそれを紹介しよう。
計画書? なにそれおいしいの?
↑デッキのカードリストはここから
遠隔サーバーを新規で作ると1ドローする《Near-Earth Hub: Broadcast Center》がIDのデッキ。IDからもリストからも伝わってくるアセットスパム*1感。
それでは採用カードを見ていこう。以下はデッキに採用されている資材だ!
1x 《Cerebral Overwriter》●●
1x 《Daily Business Show》
3x 《Echo Chamber》
2x 《False Flag》●●●●
3x 《Gene Splicer》●●●●●●
3x 《News Team》
3x 《NGO Front》
3x 《Space Camp》●●●
2x 《Spin Doctor》
いきなりの《Cerebral Overwriter》にギョっとするがこれはさておき、ある特徴を持った資材が並んでいるのがわかるだろうか。
《Echo Chamber》の能力はただ1つ、3クリックで起動できる能力によって1点計画書としてスコアエリアに移動すること。レゾコストが4と高めだが、3/1計画書を得点するのにも3クレジット必要であることを考えると1クレジット負担が増えるだけとも言える。
《False Flag》と《Gene Splicer》は得点化するのにアドバンスカウンターを要求する代わりに、アクセスしたランナーに手痛いしっぺ返しを与える待ち伏せ/Ambushの特性も併せ持っている。
ランナーの立場からすれば、放置すれば得点化するし、かといって対処に走ってもクレジットを消費させられたうえ計画書じゃないから得点にもならない。そのうえタグやネットダメージまで飛んでくることもあるという……。――なんて迷惑な代物なんだ!
それでもって、アクセスするとマイナス点になるか、さもなくば2タグを受けるかという嫌がらせに特化した能力を持った《News Team》。この能力はアーカイブにある間も健在なので、アーカイブでもアクセスするたびにこの二択を迫られることとなる。
よっぽどのことがない限りは二度と出会わなくてもよいように得点化してしまうのがセオリーに思えるが、-1点をもらうということはゲームのゴールから遠ざかる行為。ランナーとしては断腸の思いで受け取ることになるわけだが、これが3枚入っている。鬼か。
更に計画書も見てみよう。
1x 《15 Minutes》
2x 《Global Food Initiative》●●
2x 《Project Beale》
2x 《Puppet Master》
3x 《Quantum Predictive Model》
《15 Minutes》はランナーが盗んでもそのあとR&Dに戻る能力を持っているし、5/3計画書の《Global Food Initiative》はランナーが盗んでも2点。愛らしい子猫ちゃんはタグされたランナーにアクセスされるとスルリとコーポのスコアエリアに移動してしまうなどなど、盗めなかったり盗んでも点数が低いといったような構成になっている。
通常であればコーポの49枚*2のデッキには20点分の計画書が含まれており、コーポとランナーでこの点数を奪い合う。
しかし、このデッキの場合はそれに加えて12点分の計画書の代わりとなる資材が用意されている。しかもこれらはランナーが盗んでも点数にならない。加えて、ランナーにとっての-1点資材が3枚、価値が1低い計画書が2枚、盗めない計画書が3枚、盗んでもキープできない計画書が1枚と、得点源が減らされて合計-9。
これが意味するのは、コーポにとって32点分の計画書が含まれたデッキのカード全てにアクセスしたとして、それはランナーにとって11点分しか価値がない、というとんでもない点数勾配があるということである。わぁ、なんとクレイジーな……!
対戦。相手IDは《Reina Roja: Freedom Fighter》。
資材を横に並べてドローしつつ展開を進めるものの、《Aumakua》にカウンターをがっつり稼ぐことを許してしまった。インストールしたカードを逐一チェックされるとなかなか得点しずらい。
ランナーがR&Dへラン。
中央サーバーからは《Quantum Predictive Model》は盗めない! なぜなら《Funhouse》が守っているからだ!!……というのをしたかったが、直前に《Hippo》をインストールされてしまったのでこのときはレゾできず。《Funhouse》をトラッシュさせるわけにはいかない。
――と思っていたらランナーは《Quantum Predictive Model》にアクセス。タグはついてないのでコーポの点数にはならない。ランナーが取れないはずの点数を渡してしまいあわや計画破綻。なんとかしないと……
R&Dの前に2枚目のICEを置いて《Hippo》対策。《Hippo》は最外殻のICEしかトラッシュできないので、こうすることで内側にある本命のICEを守ることができるのだ!
――などと思っていたら今度は《Chisel》に感染してしまう。やめてー! 《Funhouse》は要なの! いじめないでー!!
その後抵抗虚しく《Funhouse》はトラッシュされてしまったものの、アーカイブにまとめて捨てられていた《Space Camp》にランナーがアクセス。インストールされていた《False Flag》にがっつりとアドバンスカウンターが載る。
きた! この時を待っていた!
足りないカウンターを自力で載せつつ得点!
3点ゲットである。
《False Flag》を得点化するのに7回もアドバンスするのはさすがに現実的ではないので、《Space Camp》はこれをサポートするために入っているのだ。
ランナーは3枚の計画書を盗んでいるがまだ3点。減算効果恐るべし。
しかしランナーはここから《Conduit》でR&Dを深堀りし始め、残りの計画書も盗まれてしまった。残り2点を詰め切ることができず敗北。GG。
《Echo Chamber》を何度か得点するチャンスはあったものの、《Funhouse》のレゾコストを常に残しておこうとクレジットを温存することを選択した結果トラッシュされてしまっていたので、もっとアグレッシブに得点化を進めていたらまた結果は違ったのかもしれない。
ICEをほとんど使用していないにもかかわらずクレジットがかなりカツカツだったので、《Marilyn Campaign》のような繰り返し使用できるクレジット供給資材を追加したいかも。
こんなデッキを思いつくなんてなんてすごいだ。
自分のデッキを考えつつ、こういうユニークなデッキの発掘もしていきたいと思う。
ちなみにこの対戦で相手のランナーは――
3枚の《Acacia》と大量のウィルスカウンターを使って……
――大金を稼いでいた。
こっちもクレイジー!!!