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ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.12.17 『ランナーはコーポの金で暮らしたい』

 ランナーがランをする理由。個々人によってそれは様々だが、アンドロイド:ネットランナーでは主にそれらは3つのカラーパイとして大別される。

 今回取り上げるのは青の派閥Criminal。彼らにとってランとはビジネスであり、お金を手に入れる手段の1つ。ランしつつクレジットを稼ぐのがCriminal流。あの手この手でクレジットを稼ぎ、お金の偉大さを相手にわからせよう。

 お金持ちになりたいかー!!? 私はなりたい。

 

 

 

 Standard Ban List 21.10で禁止解除されたカードの1つ《PAD Tap》。

 

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 コーポがカードの能力でクレジットを得るたびターンに1度だけ、という制約が付くものの、このゲームでクレジットを得るのは基本的にカードを通してであるため、ほぼ毎コーポのターンで1クレジット稼いでくれるDrip Economyとして機能する。

 フレーバー的にはコーポのデバイスに紛れ込んでその利益を(バレない程度に)ちょっとずつランナーに還元してくれるわけだが、そんな怪しい機械をコーポの職員が見逃すはずはなく、タグなしでも簡単にトラッシュされうる脆さも併せ持っている。

 

 こういう少しずつクレジットを稼いでくれるカードは他にもいくつかあるが、インストールコストがかからない《PAD Tap》はすぐに利益を生んでくれるため非常に優秀。
 すぐにトラッシュされてしまうかもしれない不安定さはクレジットソースとして期待すると痛い目を見ることになるが、毎ターン1クレジット得られるかもしれないポテンシャルは計り知れないものがある。

 その不安を払拭することができればもしかしてお金持ちになれるのでは……?

 

 

 

――というわけでデッキを用意して対戦スタート!

 《Az McCaffrey: Mechanical Prodigy》と共にビッグドリームを掴むのは《Haas-Bioroid: Architects of Tomorrow》。明日はどちらに微笑むのか。

 

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 ゲーム開始。まずはアーカイブにランしてから《Tapwrm》をインストール。《Tapwrm》は毎ランナーのターン開始時に収入を生むウィルスプログラム。しかもコーポの財布が潤っているほど収入も増加! まずはこれでじっくり稼いでいくとしよう。

 

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 ゲーム序盤からグリップに《PAD Tap》があるがこれはまだインストールしないでおく。コーポもクレジットに余裕があるのですぐにトラッシュされる恐れがあるからだ。
 《PAD Tap》がトラッシュされないように運用することが趣旨なので今はまだ温存の時……。

 2枚目の《Tapwrm》を引き当てたがこれもまだ温存。欲張って2枚目をインストールするとコーポにまとめて掃除されてしまう恐れがある。もしコーポが1ターンかけて1枚目をトラッシュしたら、そのとき改めて2枚目をインストールしてコーポの心を折ろう。

 

 

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 ドローを重ねて手札に来たのは《Legwork》。HQで追加2枚アクセスできる標準的ながら強力なランイベントだ。

 相手のIDは《Haas-Bioroid: Architects of Tomorrow》なので、下手にランすればどんどん他のバイオロイドICEがレゾされる恐れがある……のでできる限り無意味なランは避けたいところだが……

 

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……。

 

 

 

……。

 

 

 

……まあいいや行っちゃえ!!

 

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 HQが溢れているコーポに対してカード3枚アクセスは脅威度十分。ICEが1枚安くレゾされることを差し引いてもしておきたいランだ。《Jinja City Grid》で分厚く築かれる遠隔サーバーにインストールされる前にできれば計画書を盗み出しておきたい。

 

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 エンカウントしたのは《Loki》!

 

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 メジャーなサブタイプであるコードゲートでもバリアでもセントリーでもない(そしてトラップでもない)という非常に珍しいICE。エンカウントしたときに他のレゾ済みのICEのサブルーチンとサブタイプを得る変幻自在なやつ。今回は他にICEがレゾされていないのでこの能力は不発。一番最初にエンカウントしたのがこれでよかったぜ……!

 とはいえ自前の条件付きランの終了のサブルーチンを持っているので注意は必要。グリップのカードが全てスタックにシャッフルされてしまうが、ここは《Legwork》のためにあえてそうすることを選んだ。

 活躍前に手札から消えてしまう今回のコンセプトである《PAD Tap》を見送りつつ、そしてコーポが《Snare!》を採用してないことを願いつつHQへの戸を蹴破る!

 

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《MCA Austerity Policy》は許さない。トラッシュ。

 残念ながら計画書にはアクセスできなかったが、コーポの企みは事前に阻止できたので良しとしよう。

 

 《Loki》に吹き飛ばされたグリップを回復するためにドローを重ねているとコンセプトを達成するカードその2《Dummy Box》を引いたのでインストール。

 

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一見何のシナジーもないように見えるカードが突然出てきて困惑するコーポ。

 相手の反応を見ながら遊ぶゲームは楽しさマシマシだね!

 

 この《Dummy Box》、《PAD Tap》をトラッシュから守るために採用しているカードだったりする。

 

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グリップのカードを捨てることでインストール済みカードのトラッシュを妨害できる

 《PAD Tap》の自己トラッシュ効果はコーポがアクションとして起動するのでコーポによるトラッシュ扱い。《Dummy Box》でトラッシュを妨害できる。
 逆に《Tapwrm》の場合はコーポのウィルスパージに誘発して自分をトラッシュするので、《Dummy Box》で守ることはできなかったりする。運用で守ろう。

 

 

 相手の遠隔サーバーは順調に成長を続け、ついに5枚のICEで守る強固なサーバーが立ち上がる。守られているのは《Daily Quest》。

 

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 ちなみに相手の残クレジットは……

 

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 8! ICEをレゾできても2枚程度だろう。こんなサーバーを見たらもう《Bravado》で突っ込むっきゃない! いっけえええええ!!

 

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 《Bravado》はラン終了時に6クレジット貰えるランイベント。更に通過したICE1枚につき1クレジットのボーナス!

 結局サーバーには到達できなかったものの、ランナーの懐はホクホクに。そしてついに本命の《PAD Tap》を引いてくることができた。さあ、ここから一気に稼ぐぞ!

 

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 《PAD Tap》をインストール。

 

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 コーポが《Daily Quest》を使っているので毎コーポのターン1クレジット生んでくれる。コーポが潤えば《Tapwrm》も本領発揮。《Daily Casts》の働きもあってもりもりクレジットが増え始める。コーポのおこぼれおいしい!

 

 

 

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 コーポが計画書をインストールして1アドバンス。更にLockdown《NEXT Activation Command》でランナーの動きを封じる。

 こちらにまだデコーダーがない以上、遠隔サーバーの突破は不可能。こういうときは素直に諦めて別の手でコーポを苦しめよう。

 

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アーカイブにランしてからの……

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 《Tapwrm》おかわりだ!!

 次のターン計画書を得点したいコーポにとってトラッシュに1ターンかかる《Tapwrm》にかまける余裕はない。これが運用で守るということだ!

 

 

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 コーポは2枚目の計画書《CFC Excavation Contract》を得点して所持クレジット16。いい感じに潤ってきた。

 

 そしてこの状態で迎えるランナーのターン。2枚の《Tapwrm》が火を噴く。

 ターン開始時収入10クレジット + 1クリック!

 

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 45クレジット。これだけあれば重量級アイスブレイカー《Amina》も余裕でインストールできる。

 更に次のターン、《Peace in Our Time》をプレイ。このターンランできなくなる代わりに差し引き9クレジットの収入。コーポにも5クレジット入るので更に《PAD Tap》も起動。次のターンの《Tapwrm》クレジットも増えると良いことずくめ。

 コーポを肥やすとランナーが儲かる。不思議~~!!

 

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 所持クレジット60! もう笑いが止まらないね!

 

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 などとやっているうちにコーポは3枚目の計画書を得点して6点に。もう後がない。

 ここからは金持ちの怖さをコーポに教えるターンだ。

 

 

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 70クレジットから2クレジット払って《Legwork》。そろそろHQに計画書溜まってるんじゃない??

 

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 《Ravana 1.0》は《Amina》で余裕で突破し、《Brân 1.0》の能力を得てバリアになった《Loki》は《Tycoon》で突破。

 

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 破格の性能を誇る代わりにデメリットとしてコーポに2クレジット与えてしまうが――

 

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――《PAD Tap》でランナーにも利益。『親切は人のためならず』って本当だったんだ!

 

 そして計画書にアクセス!  大当たり!

 

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 最後の計画書はあの分厚い遠隔サーバーの中。

 しかしクレジットの暴力はやむことはない。どれだけICEが並ぼうと、まだ50クレジット以上抱えているランナーを止めることなど不可能だ。

 

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 最後のランは《Mad Dash》だったのでこれで合計7点。GG!

 

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 このアンドロイド:ネットランナーというゲームにおいてクレジットとはMtGでいうマナ。沢山あればあるほど強い。

 コーポはゲーム中に使うクレジットの最大額がおおよそ決まっているので、仮にクレジットが無限に使えたとしてもそれは過剰なパワー。ゲームの勝利に結びつけることは難しい。
 しかしランナーが無限のクレジットを持ったなら、それを余すことなくランで発揮するとこができる。すなわち無限の攻撃力だ。

 無限のクレジットというのはいささか極端な例だが、大金持ちのランナーと大金持ちのコーポの戦いならランナーが勝つということ。なのでこういう極端な戦略も成立したりするのだ!

 

 

……あれ? 《Dummy Box》活躍した??