Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.10.01 『6ターンで勝つTitan』

 まだまだ続いたEternal熱。

 いきなりだがまずはこちらの対戦をご覧いただこう。

 

 

 

 

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 コーポ側のIDは《Titan Transnational: Investing In Your Future》。
 1ターン目はServer1にカードをインストールし、HQをICEで守り、《Hedge Fund》のプレイで3クリックを使い切る。ターンエンド。

 

 

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 2ターン目開始前にインストールしていた《Illegal Arms Factory》をレゾ。毎コーポのターンに1ドローと1クレジットを得られるようになった。
 1クリック目に2枚目の《Hedge Fund》をプレイしてクレジットを稼ぐがここまでに特に目立った動きはなし。ドローと1クレジットを得てターン終了。できればR&DをICEで守りたかった。

 ランナーのターンにR&Dを攻撃されるも、幸い被害なしで切り抜ける。

 

 

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 3ターン目の強制ドローは3枚目の《Biotic Labor》。
 クレジットに余裕はないが、HQに計画書が溜まってきたのでそろそろ行動を起こさねばならない。

 《Biotic Labor》をプレイして2クリックを得る。
 残り4クリックで《Project Atlas》をインストールしてアドバンス3回。得点。

 

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 ID《Titan Transnational: Investing In Your Future》の効果で得点された《Project Atlas》に計画カウンターが載った。クリックを全て使い切ったのでターンエンド。

 

 

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 4ターン目の強制ドローによって《Hostile Takeover》がHQに来たので、インストール、アドバンス、アドバンスで得点。

 

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 1計画点を得ると同時に差し引き5クレジットを増やして12クレジットまで回復。
 これだけクレジットがあればまた《Biotic Labor》を使える。

 カードがHQの上限を超えているのでダブった《Biotic Labor》を捨てた。

 

 

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 5ターン目のドローは《Reconstruction Contract》。直前のランナーのターン《Illegal Arms Factory》をトラッシュされてしまったので、クレジットは増えずドローは1枚だけだ。

 1クリック目で《Reconstruction Contract》をインストールしてレゾし――

 

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――2クリック目でHQの《Dedication Ceremony》をプレイ。《Reconstruction Contract》の上にアドバンスカウンター3つを置く。

 

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 3クリック目にHQから計画書《Above the Law》をインストールし――

 

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――《Reconstruction Contract》の能力を起動。アドバンスカウンターを全て《Above the Law》に載せ替える。

 

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 そして得点。これで5点目。

 

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 3クリック全て使い切った。10クレジットを残してターンエンド。

 

 

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 6ターン目のドローはこのゲームでようやく引けた2枚目のICE。しかし何をドローしようが最早問題ではない。

 《Project Atlas》の計画カウンターを支払い効果発動。R&Dからもう1枚の《Project Atlas》を探してHQに加える。

 

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 《Biotic Labor》をプレイしてクリック数を増やし、インストール、アドバンス、アドバンス、アドバンス。

 

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 《Project Atlas》を得点して合計7計画点。

 

 

 決着までのターン、なんと6ターン
 6ターン目で7点分の計画書を得点し終えてしまった。

 

 ラッキーなランナーがゲーム早々に7点分の計画書にアクセスしたり、《Snare!》を踏んだりしてすぐに決着がついてしまう事故は時にはあるだろうが、コーポでもこんなに早く計画書の得点で勝つことができるものなのか……。

 今年のStandardの世界大会では圧倒的速度で計画書を得点して勝利するコーポのデッキが流行ったが、それでも勝つには10ターンほど必要なことを鑑みればどれほどすごいことかわかるだろう。

 たぶんこれが一番早いと思います。

 

 

 ということで今回はその《Titan Transnational: Investing In Your Future》のデッキの紹介だ。

 

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Fast Titan Eternal Light

Titan Transnational: Investing In Your Future

Agenda (9)
1x Above the Law
1x Global Food Initiative ●
1x Government Takeover
3x Hostile Takeover
3x Project Atlas

Asset (8)
3x Illegal Arms Factory
2x Rashida Jaheem
3x Reconstruction Contract

Operation (16)
1x Attitude Adjustment ●●
2x Audacity
3x Biotic Labor ●●●●● ●●●●● ●●
3x Dedication Ceremony
2x Hansei Review ●●
3x Hedge Fund
2x Preemptive Action

Upgrade (1)
1x Cyberdex Virus Suite

Barrier (4)
2x Ice Wall
2x Vanilla

Code Gate (6)
2x Afshar
2x Macrophage
2x Quandary

Other (3)
3x Chimera

Sentry (2)
2x Tour Guide

17 influence spent (max 17, available 0)
20 agenda points (between 20 and 21)
49 cards (min 45)

 

 

 Titanと言えば、そのID能力と3/2計画書である《Project Atlas》を使ったシンプルで強力なコンボが有名だろう。Titanであれば《Project Atlas》を普通に得点するだけでその強力なカードサーチ能力を利用できる。

 このデッキもこのコンボを主軸に置いたものだ。

 

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ID能力で計画カウンターを常に1個以上確保できる。

 

 《Project Atlas》を得点してしまえば、そのあとは常にR&Dから欲しいカードをサーチしていつでもHQに加えられるようになる。次の《Project Atlas》を探すもよし、HQの《Project Atlas》を得点する手段を探すもよし。

 

 《Project Atlas》を得点する主な手段はファストアドバンス。ターン開始時に必要なカードが揃っていればすぐさま得点するためだ。

 ファストアドバンスのためには以下のような手段を用意している。

 

 

 クリック数を増やしてインストールから3回アドバンスできるようにする《Biotic Labor》。得点するのに7クレジットも必要だが最も安定感がある。

 

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最初の基本セットから存在する最もポピュラーなファストアドバンス手段

 

 《Dedication Ceremony》と《Reconstruction Contract》の組み合わせ。必要なカードが多い代わりに得点に必要なクレジットはたったの2。

 

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資材を組み合わせたコンボ

 

 今回の対戦では出番がなかったが、HQのカードを全て捨てる代わりに無料のアドバンストークン2つを1クリックで捻出する《Audacity》。手札を失うため使用できる場面が限られるが、1クレジットあれば得点できる。

 

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使うと手札がなくなる、安いけどリスキーなカード

 

 このデッキでは《Project Atlas》とファストアドバンスに必要なカードをいち早く引き込むため、《Illegal Arms Factory》、《Rashida Jaheem》といったドロー(とついでにクレジット)を加速させる資材を多めに用意している。

 

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 これらを使ってドロー枚数を増やして必要なコンボパーツを強引に集める。最初の《Project Atlas》さえ得点できれば必要なカードはいつでもR&Dから探してこれるため、毎ターン必要なカードを揃えて連続得点できるというわけだ。

 

 

 Eternal、なんて恐ろしい環境なんだ……。

と、言いたいところであるが、このデッキとほぼ同じ内容のデッキを以前のStandard環境(System Gatewayがリリースされる前)では組むことができていた。

 ランナーがほぼ介入する暇もなく勝利できてしまっていたため、StandardでのTitanの禁止はやむなしといったところだろう。《Project Atlas》との組み合わせが強すぎたのだ。

 

 

 カードがほぼ自由に使えるEternalならどれだけ早くできるだろうか?という興味本位で作ったデッキだったが、もう二度と使うことはないだろう。

 ゲームの早いうちにファストアドバンスだけで得点しにいくので、ランナーの状態にほぼ影響されないし、そこにインタラクションは生まれない。

 対人ゲームは駆け引きがあってこそである。

 

 

 

 

――というデッキを使った対戦の向こう側で大変面白いコンボが披露されていたのでせっかくなのでこちらも紹介しておこう。

 

 ランナーの2ターン目終了時のリグの様子。

 《Bazaar》と3枚の《Technical Writer》が並んでいる。

 

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 3ターン目の開始時に《In the Groove》をプレイして《Replicator》からの――

 

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――《Ramujan-reliant 550 BMI》をインストール。

 

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 《In the Groove》の効果で1クレジットを獲得。
 さらに、誘発した《Replicator》の効果によりスタックから別の《Ramujan-reliant 550 BMI》を探してグリップに加え、同じく誘発した《Bazaar》の効果によりそれをインストール。また《In the Groove》、《Replicator》、《Bazaar》が誘発して――

 

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――これを繰り返す。1クリックで連続して6枚もの《Ramujan-reliant 550 BMI》がインストールされた。

 次のクリックで《NetChip》をインストールして同様に繰り返して――

 

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――こうなった。1ターンに12枚ものハードウェアがインストールされた。

 こんなテクニカルなインストール術を目の当たりにして《Technical Writer》もがっぽりと記事代を稼いだに違いない。

 

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 すごいコンボだ。。

 こんな奇天烈なコンボが見られるのも幅広いカードプールを持つフォーマットの特権かもしれない。

 

 

 

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