Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.10.08 『プレイングミス』

 毎週金曜の晩はネットランナーを遊ぶ。毎週土曜はKeyForgeの日になった。

 

 最新のDark Tidingのデッキを手に入れて、それがなかなか良さそうだったので土曜のカジュアル大会に持ち込んでみたらなんと4戦3勝で優勝!

 先々週に同じデッキを使ったときは4戦2勝と振るわなかった。しかし今回は前回の経験が生きた。

 繰り返し使うことでデッキの使い方を学び、本来のポテンシャルに近づけることができた結果だと言えるだろう。
 逃した1勝はプレイミスが原因だった。次回はもっとうまく使いこなしてみせる。

 

 

 

 

 今回のネットランナー会は対戦回数こそ少なかったが、プレイミスで負けて悔しい思いをした印象深い試合でもあった。

 

 

 

 

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 《AgInfusion: New Miracles for a New World》はとてもユニークな能力を持ったJintekiのIDだ。ランナーを別のサーバーに飛ばし、飛ばした先にレゾ状態のICEがあればぶつけることができる。強いICEが1つでもレゾされていればそれがランナーに対する強力な抑止力として機能する他、サーバーへの攻撃(ラン)を別のサーバーへ逸らすといった使い方ができるテクニカルなやつだ。

 

 対戦はこのAgInfusionと《Ele "Smoke" Scovak: Cynosure of the Net》の組み合わせ。

 

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 1ターン目はR&DとHQをICEで守って《Hedge Fund》。2ターン目は遠隔サーバーをICEで守りつつ《NGO Front》を(もちろん裏向きのまま)置いて1アドバンス。クレジットを確保しつつランナーの様子を見守る。

  ランナーは《Aniccam》をインストールして素早くドローを進めつつクレジットを稼ぎ、遠隔サーバーにはランを仕掛けてはこなかった。《Aniccam》はイベントカードがトラッシュされるたびドローを誘発する。イベントを使って利益を得つつ次のカードを補充してくる優秀なコンソールだ。

 超能力もしくは鋭い感で《NGO Front》を見破ったか、Jinteki相手に無鉄砲なランは危険と踏んだか。ランナーはランを仕掛けてはこなかった。
 それもそうだ。AgInfusion相手に無暗なランは控えた方が良いだろう。藪をつついて強力なICEがレゾされればランナーにとって大きな痛手だ。

 大量ドローで溢れたグリップからカードが捨てられ、その中には《Paperclip》も含まれている。もうバリアのICEだけで計画書を守るのは厳しいだろう。

 

 このAgInfusionのデッキのプランは、十分な数のICEを置いて《Anoetic Void》をインストールして…とランを中断する手段を用意してから得点するというもの。しかし今はICEも《Anoetic Void》を起動するための手札も十分にないし、ランナーのランをさばききるだけの十分なクレジットもない。プランが遂行できない以上、臨機応変さが求められる。

 幸いServer1を守っているのはコードゲートの《Magnet》だ。藪蛇効果でランを躊躇させつつ、万が一ランを仕掛けられても《Paperclip》では突破できない。今がチャンスなのではないか……!?

 

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 これは2枚目の《NGO Front》だよ!と言わんばかりに、何食わぬ顔で《Send a Message》をインストールして2回アドバンス。

 心理と物理(電子? 論理?)の二重障壁だ。

 

 返すランナーのターンは《Diesel》と《Aniccam》で大量ドロー。――からのHQへの《Jailbreak》!

 

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 来た! コーポの手札が減ったタイミングを狙いすました鋭い攻撃。2枚アクセスされれば確実にHQの計画書《Obokata Protocol》は盗まれてしまう。

 ICEをレゾしても突破されることは確実なのでここはID能力でランを逸らすことにする。このあとまたHQにランされるだろうが、2枚同時にアクセスされなきゃ盗まれる確率は50%だ。

 

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AgInfusionのID能力起動! HQへのランをアーカイブへ変更!

 

 ふははは!  アーカイブのカードに好きなだけアクセスするがよい!
と心の中で勝ち誇る。しかしすぐさま笑みは消え失せる。

 

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 丸腰のHQに2枚目の《Jailbreak》が突き刺さる。な、なにぃ!?

 

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 計画書は盗まれてしまった。そのうえ虎の子の《Anoetic Void》もトラッシュされてしまった。圧倒的ドロー力によるネットダメージを受けきる余裕と選択肢の豊富さのなせる業だ。

 

 かなりの痛手だったが、幸いにも遠隔サーバーは攻撃されずに済んだ。

 続くコーポのターンで3アドバンス。得点した《Send a Message》の効果によりR&Dを守っていた《Anansi》をレゾする。

 

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 《Anansi》は全てのサブルーチンをブレイクしなければエンカウント終了時に3ネットダメージを与える特殊な能力を持つ対人・セントリー。この強力なICEがレゾされたことによってここからランナーにとっての地獄が始まる。全ての非レゾICEは全て《Anansi》だと思え!

 

 

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 HQを守るICEを失い(自分でトラッシュしたけど)、HQもすっからかん。素早く立て直さねば。

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

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 ドローを重ねるうちに引いた《La Costa Grid》と《Nisei MK II》をしれっとインストール。

 ランナーは《Daily Casts》を並べてクレジットを稼いでいて、未だに《Paperclip》以外のアイスブレイカーは見当たらない。恐らく《Anansi》に対抗する手段はまだないはず……。

 

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 やった!

 予想通りランされず、次のターンには得点できた。《Nisei MK II》のラン終了能力があれば最後の計画書の得点はかなり容易になる。大きなアドバンテージだ。

 その代わりクレジットの残りはたったの2。守りの全ては《Anansi》に託された。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 コーポはHQに計画書《Obokata Protocol》を抱え最後の得点のために行動を開始する。そんな最中、ランナーはアイスブレイカーの《Engolo》、《Afterimage》をインストール。《Anansi》への対抗策を用意したうえでR&Dへの殴り込みを開始する。

 

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 優秀なキラーである《Afterimage》は《Anansi》を(毎ターン供給されるステルスクレジットを除けば)たったの2クレジットで突破できる。《Afterimage》の前にたった1枚の《Anansi》は紙切れ同然。コーポの命は風前の灯だ。

 あれよあれよという間に何度も突破され、R&Dから《Obokata Protocol》を盗まれてしまった。ランナー、6点目を獲得してこの勝負に王手をかける。

 

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 ん……?

 

 

 

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 おや……。

 

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 ランナーは《Obokata Protocol》を盗むコストによって4ネットダメージを受け、グリップがたった2枚しかない。スタックにあるカードを引き切っても3枚だ。

 

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 もうランナーは《Obokata Protocol》を盗めない。

 

 高まる気持ちを隠しつつ、遠隔サーバーにインストールして2回アドバンスする。クレジットは残り少なく、ICEをレゾできる分は残っていない。が、もうそれを気にする必要もない。

 

 ランナーがチェックしに来る。

 

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が、当然盗めない。《Obokata Protocol》はカードが残っていないランナーに対してとてつもなく非情だ。

 

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 《Afterimage》で《Anansi》を突破してR&Dへ。

 計画書にアクセスできる可能性があるとすればR&Dのトップにかけるしかない。

 1枚だけアクセスするならそれが計画書である確率は相当低いはずであるが、《The Maker's Eye》のようなマルチアクセスがあればヒットする確率は3倍。それが飛び出したときに阻止する手段も用意してある。

 

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 ここである考えが頭をよぎる。

 ランナーは《Anansi》を突破するためにステルスクレジットを全て使い切った。ということはもう《Afterimage》で《Anansi》を突破することはできないはず……。

 

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 今「ランを終了」させれば万が一R&Dのトップが計画書だった場合の事故を回避できるのでは…………

 

 

 

 

 

――などと考えてしまったばかりに、このゲームで最も大きな間違いを犯してしまう。

 

 《Nisei MK II》の効果でランを終了させた次のクリックで、ランナーは《The Maker's Eye》を繰り出してきた。

 

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 なぜ? どうして?

 《Afterimage》ではステルスクレジットが足りず《Anansi》のサブルーチンをブレイクできない。ブレイクできずに通過したその後はダメージを受けてフラットラインだ。

 

 謎の行動に驚きを隠せなかったが、《Anansi》の表示が切り替わったことで全てを理解した。

 

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 完全に失念していた。

 

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 Engolo》にはICEにコードゲートを付与する能力があることを……!!

 

 

 

 《The Maker's Eye》の効果によりR&Dの上から3枚を順にアクセスされる。

 3枚目は計画書《Cyberdex Sandbox》だった。

 

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ゲームエンド

 

 

 

 かなり悔しい負け方だ。

 《The Maker's Eye》の存在を予想できていたにもかかわらず、《Nisei MK II》の使用判断を誤ってしまった。ここさえ間違わなければ勝てていたのに。

 

 

 

 このゲームをもう何百と遊んでいるが、様々なシチュエーションに対して適切な判断を完璧に下すという境地にはまだ至れていない。

 いろんなデッキが存在し、対戦の組み合わせが存在し、ドローの内容によって毎回異なる展開が訪れる。

 アンドロイド:ネットランナープレイヤーがカードを使って遊ぶゲームだ。だからこそプレイングに磨きをかけ甲斐があるように思う。まだまだ精進せねば。

 

 

 

 

 

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 それにしてもコーポ側、このゲームで19クレジットしか稼いでいない。かなりデッキの回りが悪かったのは確かだ。

 このデッキのポテンシャルはこんなものではない。今度はもっとうまく使いこなせるはずだ。