Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.08.13

先日開催されたRTA in Japan Summer 20021。デジタルゲームのReal Time Attackに挑戦するこのお祭り、ポケットモンスター ソード・シールドは4人がそれぞれ異なる方法でタイムアタックに挑んで大盛り上がりを見せつつスタートし、最後のリングフィットアドベンチャー18万人もの観衆が見守る中素晴らしい記録が打ち立てられた。

本来一人で遊ぶためのゲームだが、こうしてそれぞれの技術を駆使したタイムアタックという形で競技化され、1分1秒を削るべくしのぎを削り合う。

特にラストのリングフィットアドベンチャーRTAは熱い実況解説と常人には真似しえないプレイングが相まって非常に面白かった。一見の価値ありなのでまだ見てない人はぜひ見てほしい。

 

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スピードランでもこんなに盛り上がれる。対戦ゲームだけがe-sportsではないね。

 

 

ところでスピードランで競争と言えば我々も負けてない。
どちらが先に7点取るか、コーポとランナーの非対称なレースは今週もネットワーク上で激しく火花を散らす。

ICEをものともせず序盤から中央サーバーに圧を掛けるランナー!
リグが整う前に計画書の得点を狙うコーポ!

これが我々のスピードランだ!!

 

 

――というわけで今回はスピードに長けたコーポデッキの紹介。
Standard環境では《Sportsmetal: Go Big or Go Home》を使ったファストアドバンス*1デッキがトップメタとして君臨しているが、流行りに関係なくいろんなカードの可能性を試すのが私の趣味だ。

 

 

 

The Second Deal 21.06

Pālanā Foods: Sustainable Growth

Agenda (10)
3x Cyberdex Sandbox
3x Flower Sermon
3x Offworld Office
1x Viral Weaponization

Asset (12)
3x Pālanā Agroplex
3x Political Dealings
3x Rashida Jaheem
3x Spin Doctor ●●●

Operation (7)
1x Ark Lockdown ●●
3x Hedge Fund
3x Seamless Launch ●●●●● ●

Upgrade (4)
1x Cyberdex Virus Suite
3x La Costa Grid

Barrier (4)
2x Data Loop ●●●●
2x Envelope

Code Gate (5)
3x Diviner
2x Macrophage

Other (3)
3x Sadaka

Sentry (4)
2x Anansi
2x Karunā

15 influence spent (max 15, available 0)
20 agenda points (between 20 and 21)
49 cards (min 45)

 

 

このリストは《Political Dealings》《Flower Sermon》の2枚のシナジーに着目して作成された。《Political Dealings》はレゾしてから機能するタイミングが不確定な資材だが、これを《Flower Sermon》で確実に機能させようというのが今回のコンセプトだ。

 

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《Political Dealings》はドローしたカードが計画書であればそれを公開して即座にインストールすることができる。一方、《Flower Sermon》は1ターンに1度計画カウンターを消費しカードを2枚ドロー。それからHQ(手札)からカード1枚をR&D(山札)のトップに戻すことができる能力を持っている。このドローで計画書が引ければランナーのターン中にも計画書がインストールできるし、引けなくてもHQの計画書をR&Dのトップに移動させられる。次のドローで確実に計画書を引き、やっぱりインストールできるというわけだ。どう転んでも有効活用できるお得な組み合わせ。

しかもランナーのターン中にインストールが完了してしまえば、《Clot》によるファストアドバンス封じを回避できてしまう。まさに良いこと尽くし。わくわくするね!

 

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ただ、この2枚だけでは計画書を得点までもっていくことはできない。このデッキに含まれる計画書は全てアドバンス要求4。インストールが完了しただけでは3クリックで得点できないからだ。
そこで採用したのがSystem Gatewayで追加されたこれ。

 

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《Seamless Launch》はこのターンにインストールしていないカードに2個のアドバンスカウンターを載せることができる。ランナーのターンにインストールした計画書に使用して必要なアドバンス回数を稼いだり、《Political Dealings》によるランナーのターンにインストールする方法が機能し始める前に忍ばせた計画書を得点するのにも使える。

とはいえ毎度ランナーのターンに計画書のインストールができるとは限らないのでセカンドプランも用意しておこう。

 

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《La Costa Grid》は超強力な強化カードで、インストールしただけの4/2*2計画書を得点化するサポートができる。単独で使ってももちろん強いが、コーポのターンが始まる前(厳密には《La Costa Grid》の能力を解決する前)に計画書をインストールしてしまえば、ランナーがランする間もなく素早く得点してしまえる。

コーポのターン開始時にドローできるカードといえば常連《Rashida Jaheem》やSystem Gatewayの新カード《Spin Doctor》などがあるが、もっと安定して使えるカードも存在する。

 

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《Pālanā Agroplex》はターン開始時にコーポにもランナーにもドローさせる効果を持つ資材。ID《Pālanā Foods: Sustainable Growth》と組み合わせて使えと言わんばかりの効果であるが実際強力で、毎ターンドローしつつクレジットも稼ぐことができる。ランナーにとっても有利であるがゆえにトラッシュされにくいのもポイント。トラッシュコスト、バカ高いしね…。
コーポの行動を加速させつつコンボパーツにもなる。このデッキにとってまさに夢のようなカードだ。

 

ランナーのターン終了時に《Flower Sermon》でHQの計画書をR&Dのトップに仕込み、コーポのターン開始時にこれら資材で仕込んだ計画書をドロー! 《Political Dealings》でサーバーにインストールして《La Costa Grid》でアドバンスカウンターを置く……。

この流れるようなカード操作で、先ほどまで影も形もなかった計画書がクリックを使うことなく1アドバンスされた状態で用意される。あとは3回アドバンスを実行するだけだ。
少々コンボに必要なカードが多いように思えるだろうが、この戦略の強みは全てが揃わなくても4/2計画書得点のサポートとして機能できることにある。《Pālanā Agroplex》による加速の恩恵もあってスピーディーに計画書の得点を仕掛けられるのだ。

 

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10ターン目で勝利。実際早い。

 

ファストアドバンスを狙うのであればアドバンス要求3の3/2計画書を採用する方が簡単である。一方4/2計画書はファストアドバンスに向かない計画書だ。しかし、どれも得点時に強い効果をもたらすものも多く、得点しつつアドバンテージも稼ぐことができる。継戦能力を維持できるので隙も作りづらい。

それに、高い壁ほど挑み甲斐があるというもの。

 

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4/2計画書は得点できさえすれば強い。それを安全なファストアドバンスで得点するというのはプレイヤーであれば誰もが夢見ることだろう。あれこれ頭を悩ましてロマンの実現方法を考えられるのもデッキ構築要素のあるゲームの良いところだ。

 

 

今回は《Pālanā Foods: Sustainable Growth》《Pālanā Agroplex》《Political Dealings》といった同じサイクルに収録されたカードによるデザイナーズコンボを最新のカードたちで拡張する形でのデッキ構築を行った。
まだしばらく先になるだろうが、次のローテーションで使用できなくなるのはこれらMumbadサイクルのカードであるため、ローテーションまでに心残りがないようにMumbadサイクルのカードを使い倒しておきたい。

 

 

*1:計画書をインストールしたそのターンに得点すること

*2:4アドバンス要求2計画点