Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.09.17 『初めてのEternal』

 アンドロイド:ネットランナーがLCGで展開されていた頃は、1枚しか入っていないカードを3枚集めるために基本セット(コア)を3箱買っていた人もいたそうな。これはアンドロイド:ネットランナーに限らず当時FFGで展開されていたLCG系のゲームでは当たり前のことだったらしい。既に持っているカードが重複するうえお財布にも優しくない。

 最近のLCGであるMarvel Championsではこの点が改善され、デッキに入れられる上限までの枚数(特別なものを除いて3枚)は必ずセット内に含まれるようになった。昔のように一部のカードのためだけに追加のセットを買う必要はなくなったのだ。NISEIが販売しているSystem GatewaySystem Update 2021のセットにはID以外のカードが3枚ずつ含まれているので安心してほしい。

 

 ちなみに私の場合は、アンドロイド:ネットランナーの基本セットを自分で使う用と布教用とで第1版と第2版をそれぞれ2箱ずつ持っていたりする。

 

 

 

 毎週金曜恒例のオンライン ネットランナー会。今回はリクエストに応え、いつものネットランナー会にStandardのデッキだけでなくEternalのデッキも用意して対戦に臨んだ。初めてのEternal環境に正直期待半分、不安半分だった。

 ちなみにEternalはNISEIが提供する対戦フォーマットの1つで、一部の禁止カードを除く全てのカードを使用してデッキを組むことができる。普段遊んでいるStandardはローテーションによって古いセットのカードが使用できないが、Eternalでは最初期のカードも使用して遊ぶことができ、カードが禁止される基準もStandardよりかなり緩い。

diesel.hatenablog.jp

 

 使えるカードの種類が圧倒的に多いのでどのカードを使ってデッキを組むか迷うことになると予想していたが、幸いにも使いたいカードはすぐに見つかった。私がネットランナーを始めた頃にはローテーションや禁止制限によって既に使えなくなっていたIDだ。

 

 ランナーサイドは《Noise: Hacker Extraordinaire》を使ったウィルス切削*1デッキ。ウィルスプログラムをインストールするだけでコーポにR&Dのトップを捨てさせるNoiseのID効果をフル活用するためにウィルスプログラムを沢山積んでひたすらR&Dを破壊しつくすのが目的だ。

 

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最初の基本セットのIDの一つ

 

 このID能力の発動はターン1回なんてケチなことは言わずインストールしたらインストールしただけ発動する。ドローしてはインストール。《Aesop's Pawnshop》で売っては《Déjà Vu》《Clone Chip》などでヒープから回収してインストールと、とにかくあらゆる手を使って毎ターンインストール回数を稼ぐ。《Fermenter》《Cache》なんかはお金を生むウィルスなので、これを繰り返しているだけでクレジットもどんどん貯まっていく。

 

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 ICEの突破手段ももちろんウィルス。《Botulus》でサブルーチンをブレイクできる他、ふんだんに積み込んだ《Parasite》《Chisel》でICEをトラッシュしてしまえばよいので、デッキ内にアイスブレイカーはゼロだ。

 

 

 

 コーポサイドは《Cerebral Imaging: Infinite Frontiers》を使ったワンショットデッキ。こちらのブログのDead Count 13にインスパイアされたものだ。

theendofroadtohali.blogspot.com

 

 このデッキの特徴はなんといっても1ターンで7点分の計画書をファストアドバンスするコンボを搭載していること。コンボには計画書も含めて11枚ものカードが必要で、Cerebral ImagingのID能力を利用して必要なカードを全てHQに集めてしまおうというわけだ。うーん、ロマン。

 コンボの詳しい内容は上記のブログ記事を確認してほしい。

 

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所持クレジット額がそのままHQの上限になる

 

 このデッキで勝つためにやることと言えばコンボパーツとなるカードを引いてそれを保持すること。クレジットを稼いでひたすらドロー! ドロー! ドロー!

 《Violet Level Clearance》《Ultraviolet Clearance》あたりをひたすら連打。オリジナルのデッキが活躍してた頃にはなかった《Rashida Jaheem》なんかを搭載してより素早くそれができるように調整してみている。

 

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 ICEを引いたら中央サーバーを優先して守る。《Marilyn Campaign》でクレジットを稼ぐ。《Marilyn Campaign》はトラッシュされるとR&Dに戻るのでICEで守らなくてもトラッシュされにくい。

 

 

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 R&Dが尽きようとしたころ、ようやくコンボに必要なカードが揃った。あとは順番にカードをプレイするだけ。ショータイムだ。

 

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感想

 EternalフォーマットではStandardで使えないようなカードをたくさん使うことができる。Standardを遊んでいるうちは触れることのないカードや懐かしいカードを使えることは確かに楽しい。しかしカードプールが潤沢な分、そこに秩序を作るのはかなり難しいとも同時に思った。ゲームを破壊しうる(楽しくない)と判断されるようなカードも使えてしまうからだ。

 Eternalではいろんなカードが使えるその分、Standardとは比べものにならないほどデッキパワーが上がる。パワーが上がった結果、相手を無視して延々と手元でカードをやりくりするだけで戦えるようにもなってしまう。人間の対戦相手がいるゲームでそのようなデッキは存在できない方が良いに決まっている。

 そのように感じる私はそうならない環境が整備されているStandardで遊ぶ方がいいのかもしれない。

 

 

 

 

――もしくは、新しくフォーマットを作ることを模索するか。

Light版Eternalフォーマット ルールまとめ

Nisei Eternalフォーマットで遊んでみたところ、制限に入っているカードや現状/Currentのカードはやっぱり使いたくない!という感じに意見が一致したので、それらを禁止にしたローカルルールを作成してここにまとめます。

 

このルールはAlways be Runningで行われるネットランナー会で使用するローカルルールです。

discordapp.com

 

 

フォーマット名

Light版Eternal(仮称)

 

ルール

以下のカードを除く全てのカードが使用可能。
※この禁止カード一覧はEternal Testingの禁止制限一覧にあるカード+現状/Currentを全て禁止にしたもの

 

ランナーの禁止カード

  • Salvaged Vanadis Armory
  • Account Siphon
  • Hyperdriver
  • Temüjin Contract
  • Blackmail
  • Clan Vengeance
  • Crowdfunding
  • Data Leak Reversal
  • DDoS
  • Employee Strike
  • False Echo
  • Mars for Martians
  • Şifr
  • Tech Trader
  • Aaron Marrón
  • Aumakua
  • Bloo Moose
  • Counter Surveillance
  • Déjà Vu
  • Film Critic
  • Rumor Mill
  • Snitch
  • Zer0
  • Watch the World Burn
  • 全てのCurrentカード

 

コーポの禁止カード

  • Accelerated Diagnostics
  • Jinteki: Potential Unleashed
  • Bio-Ethics Association
  • Cerebral Imaging: Infinite Frontiers
  • Estelle Moon
  • Friends in High Places
  • Industrial Genomics: Growing Solutions
  • Jackson Howard
  • Mumbad City Hall
  • Mti Mwekundu: Life Improved
  • Sensie Actors Union
  • 24/7 News Cycle
  • Anoetic Void
  • Breaking News
  • Breached Dome
  • Caprice Nisei
  • Kakugo
  • Scarcity of Resources
  • Shock!
  • Spin Doctor
  • Sting!
  • Obokata Protocol
  • Project Vacheron
  • Violet Level Clearance
  • Whampoa Reclamation
  • Hired Help
  • 全てのCurrentカード

 

ネットランナー会レポート 21.09.10

 Niseiのブログで次の拡張となるBorealisサイクルの告知が行われた。2つ前のAshesサイクルと同様、2つのセットからなる拡張だ。
 まだどんなカードが含まれているかは公開されていないが、どういう方針でカードがデザインされているかだけは記載されている。気が向いたら紹介記事を書こうと思う。

nisei.net

 

 

 

 さて、今回はデッキ構築の話をしよう。

 

 毎週のこの時間のために、私はアンドロイド:ネットランナーのデッキをおおよそ毎週ランナーとコーポで1個ずつ新規で作成している。
デッキ構築のモチベーションは主に「まだ試していない組み合わせを試したい」に尽きる。今回白羽の矢が立ったのは《Botulus》というカードだ。

 

メインに据えるカードを決める

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 《Botulus》はSystem Gatewayで追加されたAnarchの新しいウィルスプログラム。
 ICEに取り付き自身のウィルスカウンターで強度を無視してそのサブルーチンをブレイクできる。対象のICEのサブタイプも問わない。その性能はAnarch版《Boomerang》といったところだろうか。

 

 《Botulus》を使えば、ゲーム序盤のアイスブレイカーが揃っていない場面でも果敢にICEに挑むことができるだろう。では、序盤から果敢にランして何を成すのがよいだろうか。

 以前《René "Loup" Arcemont: Party Animal》のデッキを組んだ際、課題になるのは如何に早く《Imp》をインストールできるかだと思っていた。RenéのID能力はアクセスしたカードをトラッシュした際にアドバンテージを稼ぐことができる。序盤からこの能力を連打できれば、攻撃しつつスタックを掘り進め、リグを構築できる算段だった。

 

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 しかし実際にデッキを使用してみてわかったのは、コンボの要となる《Imp》を序盤にインストールすること以上に、ゲーム序盤のICEを安定して突破する手段が必要だということだった。HQやR&DのICEを突破できなければ、いくら《Imp》が強くてもその能力を発揮することはできないからだ。

 

 今回は《Botulus》の力を借りてその弱点を克服し、ゲーム序盤からコーポの手札をめちゃめちゃに破壊しつつRenéのID効果の恩恵を受けることを目標にする。
メイン戦略はこれに決まりだ。

 

 

メインとなる戦略を補助するカードを入れる

 《Imp》を繰り返し使うならコンソール《Knobkierie》は外せない。今回のようにウィルスプログラムを大量に使う予定ならなおさらだ。
 メインで使用するカードが決まったらそれらと相性の良いカードをピックアップしていこう。《Botulus》《Imp》を補助するカードを選んで追加のようなインストール時にカウンターが乗るプログラムと相性の良いカードといえばまず《Simulchip》だ。

 

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 ヒープからプログラムをサルベージするのに役に立つハードウェアだが、使用するにはインストール済みプログラムをトラッシュしなければならない。一見デメリットに見えるが、再インストールしたいプログラムをこの能力でトラッシュし、同じプログラムをヒープからインストールするという流れを1枚で実現できる能力でもあるのだ。

 

 もし《Botulus》で突破を試みたICEのサブルーチンが想定より多かったら?

 可能なだけサブルーチンをブレイクしてから《Simulchip》《Botulus》を再インストール!
 《Botulus》のインストール時効果でウィルスカウンターが補充されるので、続けてサブルーチンをブレイクできるというわけだ。

 

 再インストールする際に別のICEをホスト先に選ぶことでこんな芸当もできる。

 

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 金策には《Fermenter》を使うことにした。クレジットを受け取るにはこのプログラムをトラッシュしなければならないが、すぐさま《Simulchip》で再インストールすればまたクレジットのためのウィルスカウンターを貯めることができる。
 ウィルス系プログラムと全体的に相性の良い《Cookbook》も忘れずに。

 

 

 

コーポを攻める手段を用意する

 計画書を効率的に盗むための手段と言い換えてもよいだろう。一番シンプルなのはマルチアクセスの手段を用意することだ。メインで使いたい予定のカードがここに該当していて十分だと思うならここは飛ばしてよい。

 今回は《The Turning Wheel》のみを採用することにした。

 

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 パワーカウンターを貯めることによってマルチアクセスを可能にするこの中立のリソースはたくさんランを実行するデッキほど高い効果を発揮する。何度でも使用可能であるため長期戦になってカードが尽きてもランナーの攻撃力を維持できるのだ。影響度が低いのでどのデッキにもとりあえず1枚入れられるし、入れておけば安心感をもたらしてくれる。

 

 本来なら他のマルチアクセス手段も用意しておくべきだが、《Imp》でHQをめちゃくちゃにする予定なのでこれ1枚で十分という判断だ。

 

 

 

ICEを突破する手段を用意する

 コーポのサーバーに挑むなら当然必要だ。特別な事情がない限りはデコーダー、フラクター、キラーの3種類を用意しよう。問題はそれぞれ何枚ずつデッキに入れるかであるが……

 

 枚数が多ければスタックからすぐに見つけることができるが、すでにグリップにあったりインストールしているアイスブレイカーをドローで引き当てても役に立つことが少ない。逆に枚数を絞ればそういった事故を減らせるが、今度は必要なアイスブレイカーがなかなか見つからないという別の事故の原因となる。

 

 アイスブレイカーをスタックから直接探す手段があるなら枚数を減らすことができる。《Self-modifying Code》《Mutual Favor》なら必要なカードをピンポイントに探し出せるので、これらを採用するならアイスブレイカーは1枚ずつでも困らないだろう。

 ICEを突破する手段を他に用意しているなら同様にアイスブレイカーの枚数を減らしても困る場面は少なくなる。今回のデッキは《Botulus》を使用するのでアイスブレイカーは《Black Orchestra》《Paperclip》《MKUltra》を1枚ずつにした。

 Anarchの場合はこの3枚を入れておけばとりあえずなんとかなる。

 

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ドローと金策

 このゲームの良いところは、カードもクレジットも足りなければクリックを支払って補充できるところだ。だが、カードをインストールしてリグを充実させたりコーポのサーバーを攻撃するのにも同様にクリックがいる。ちまちまと1枚ドローしたり1クレジットを得たりするよりは、カードの効果を使って1クリックでがっつり3枚4枚とドローしたり4クレジット稼いだり、自動でそれらができた方が良いに決まっている。

 デッキ下限枚数までにまだ余裕があるなら、残りの枠はドローするカードとクレジットを稼ぐカードで埋めてしまおう。

 

 

 

完成

というわけでできたデッキがこちら。

 

René "Loup" Arcemont: Party Animal

Event (14)
3x Diesel ●●●●● ●
3x Dirty Laundry
3x I've Had Worse
1x Rebirth ●
3x Sure Gamble
1x Tread Lightly ●

Hardware (5)
1x Friday Chip
2x Knobkierie
2x Simulchip ●●●●

Resource (9)
1x Cookbook
3x Daily Casts
1x Hunting Grounds ●
2x Paladin Poemu
1x Political Operative ●
1x The Turning Wheel ●

Icebreaker (3)
1x Black Orchestra
1x MKUltra
1x Paperclip

Program (9)
3x Botulus
3x Fermenter
3x Imp

15 influence spent (max 15, available 0)
40 cards (min 40)
Cards up to System Update 2021

 

 

そして対戦した結果がこちら。

 

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ボロ負けした!!!!

 

 

 私はデッキ構築こんな感じでやってます的なことを書きながら作ったランナーデッキは計画書を1枚も盗むことなく惨敗。
 この後の反省会感想戦でいくつか改善点が出てきたのでそれを元に修正することになるのであった。

 

 デッキは使ってみてこそ手の届かないところがわかるものである。リストだけ作って完成することの方が珍しく、対戦と改善を重ねて精度を上げていくものなのだ……

 

 つづく?

 

 

diesel.hatenablog.jp

ネットランナー会レポート 21.09.03

最近は毎週土曜の夜21時(JST, GMT+9)に開催されるKeyForgeの小規模なオンライン大会に参加している。主催はフィリピンでカードショップの店長をやっていた方なのだが、KeyForgeの公式大会に出るほど意欲的なだけあってとても強い。
フィリピンの言語(具体的にどれなのかは私には判別できない)と英語とごくまれに日本語が入り混じるDiscordサーバーでワイワイと対戦を楽しませてもらっている。コロナ禍ですっかりKeyForgeのプレイ機会を失っていた私にとってとてもありがたいお誘いである。

KeyForgeをオンラインで対戦するためのサイトthecrucible.onlineについてはまた別の記事で詳しく説明しよう。

KeyForge自体についてはこちらの記事で紹介している。どんなものかを知りたい場合はぜひご一読を。

diesel.hatenablog.jp

 

 

 

さて、今回の対戦の1つを振り返っていこう。

Acme vs Zahya

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1試合目はNBN《Acme Consulting: The Truth You Need》とCriminal《Zahya Sadeghi: Versatile Smuggler》の対戦。

AcmeのID能力は最外殻*1のICEにエンカウント中ランナーが追加のタグを持っているとみなすというもの。
ランナーに付いた実際タグが0であってもこの間はタグされている状態となるため、タグとシナジーのあるICEと組み合わせると強い。特に《Data Ward》はレゾコストたったの6で強度8、ラブルーチン4つでランナーを阻む強固なバリアとなる。おまけにエンカウント時能力付き。

 

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そのID能力故どのICEも最外殻であってほしい……という運用をすると薄く平たくサーバーを守ることになる。

 

試合序盤、コーポ側はうまくICEが揃わずちぐはぐな防御態勢でランナーを迎撃。
ランナーは《Security Testing》で隙だらけのサーバーの脆弱性チェックで小遣いを稼ぎつつこちらの資材を丁寧に破壊してくる。かなり厳しい状況だ。

 

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そうこうするうちにようやくICEを引き、守りを固めるコーポ。もたもたしている間にランナーがリグを整えてしまう。しかし幸いなことにフラクター*2は未だ見当たらず、一方コーポのサーバーを守っているのはバリアICEが中心だ。

今がチャンス。

 

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《Inside Job》を警戒しつつ、うまく隠して《Seamless Launch》で得点を重ねていく。

 

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ぎりぎりの資金繰りであるが、2枚目の《Cyberdex Sandbox》を得点したことで8クレジットを入手。得点5対2でランナーを追い詰めた。
HQには計画書《Bellona》とそれを守るために使える《Data Ward》が。
そしてServer8には、ランナーを絶望に叩き落すためのカードが既にインストールされている。

 

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2クレジット払ってHQのカード2枚捨てることでランを終了できる強化

 

舞台は整った。あとはランナーのクレジットが減ったタイミングを狙って得点を仕掛けるだけ。この勝負もろたで!!

 

 

 

 

…とか思っている間に《Paperclip》がインストールされて守りを突破され――

 

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――《Anoetic Void》をトラッシュされてしまった。これでは《Bellona》を安全に得点できない。
最後1枚得点すれば勝てるのに、最後の1枚が遠い。

 

幸いにもドローを重ねることで2枚目の《Anoetic Void》を引き当てた。
得点サーバー*3にインストール!
《Data Ward》で守りを固めたので今度はそう簡単にトラッシュされないはずだ。

 

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ドローを重ねているのは、HQにあるとバレている計画書にアクセスされる可能性を下げるためと、《Anoetic Void》発動のための燃料補給を兼ねている。

 

そして迎えた次のターン。
Server8には前のターンにインストールした《Anoetic Void》、そして《IP Block》とまだレゾされていない《Data Ward》がそこを守っている。

ランナーがこのサーバーを1回突破するのに《Paperclip》を使用して10クレジット必要。《Anoetic Void》で1回ランを終了させられるので、倍の20クレジットが必要だ。
更に《Bellona》を盗むためのコストに5クレジット必要で――

 

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――それでもってランナーの所持クレジットは6でターン開始の収入ともろもろで使えるのはええと……、細かいことは置いておいて全然足りなそうに見える。

 

 

 

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勝利をほぼ確信したインストール、アドバンス、アドバンス。
ランナーは4クリックのうち2クリックをランに使い、ついでに12クレジットを稼がなければならない。(あとで計算した)
よっぽど条件が揃っていなければ不可能だ。

 

ランナーのターン。
1クリック目、ドロー。2クリック目、ドロー。3クリック目でServer8にラン。
食いついた!

 

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無情にも立ち塞がる高い壁。
当然攻略するためのクレジットが足りないので《Anoetic Void》を起動するまでもなくランナーは門前払い。

さあどうする。

 

 

ラストクリック。繰り出されたのはなんと《The Maker's Eye》

 

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遠隔サーバーが突破できない状況で最後の望みをかけたR&Dへのマルチアクセスが試みられる。

ランナーの得点は2。勝つには最低でも1枚の《Bellona》とそれ以外の計画書を同時に盗む必要がある。

 

少しでもランナーのクレジットを削るべくICEをレゾするも、ランナーにはこれらを突破してなお《Bellona》を盗む余力は残されていた。

 

 

 

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なん……だと……

 

勝利を確信していたコーポに突然突き付けられる敗北の文字。ついBLEACHの慣用句を口走ってしまうほどの想定外。

計画書は完璧に守れるはずだった。R&Dを攻められても、せいぜい1枚盗むのが関の山だと。

 

この敗北はR&Dから5点分盗めるわけがないという慢心が生んだ結果だ。
もし遠隔サーバー攻略を諦めるような絶望をランナーに叩きつけなければ、――例えば3クリック目のランで《Data Ward》をレゾせず、ランナーが十分なクレジットを残したまま2回目のランに挑めるように見せかけ、そしてコーポに得点に必要なクレジットが残ってないように誤解させれば――遠隔サーバーへのランを誘導できたかもしれない。

このゲームにおけるブラフというのは、単にインストールしたカードが計画書かそれ以外をあてるだけではない。もっとハイレベルな心理戦をするためにはまだまだ練習が必要だ。

 

諦めず勝ち筋を選び、見事土壇場で勝利を掴んだハルミさんに賞賛の拍手を。

 

 

 

他にもタグミーしたランナーが2ターン連続で《BOOM!》されるようなおもしろい試合があったが、全てを書き切ることはできないのでここまで。

それではまた次回。
記事にも書いたが参加者や見学者は大歓迎だ。

diesel.hatenablog.jp

*1:最も外側。サーバーから遠い位置。

*2:バリアICEを突破できるアイスブレイカ

*3:スコアリングサーバー、得点するために作った遠隔サーバーのこと

毎週金曜夜開催! ネットランナー会参加者募集

オンライン ネットランナー

 1週間に一度、ネット上で参加者を募集しアンドロイド:ネットランナーで遊ぶことを目的とした会が開かれている。

 参加者は常に募集しているので、アンドロイド:ネットランナーで遊びたいと思う心を持つ人なら誰でも大歓迎だ。

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Jinteki.netでの対戦の様子(リプレイのキャプチャなのでお互いの手札が見えている)

 

 時間は毎週金曜日の夜20時半頃。

 Discordサーバー「Always be Running」のjintekinet-freeplayチャンネルで参加者募集の呼びかけが開催の合図!

 対戦相手が確保できずにネットランナー欲を満たせないそこのあなたも、もしくは遊んでみたいけどルール把握に挫折したそこのあなたも!

 ルールが把握できてなくてもデッキが用意できてなくても、Jinteki.netの使い方がわからなくても心配ご無用。遊びたいという気持ちがあればあとはジャックインするだけ!discordapp.com

 

 

 

もちろん観戦するだけでもOK

 オンライン ネットランナー会をしている時間帯にJinteki.netにアクセスし、私が参加している部屋を探そう。

 

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この名前とアイコンが目印

 観戦するにはその部屋に表示された「Watch」ボタンを押す。

 ネットランナー会で立てる対戦部屋は、参加者とのみマッチングするように鍵がかけられている。パスワードに「abr」を入力して入室しよう。

 

 

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ネットランナー会レポート 21.08.27

タグ

アンドロイド:ネットランナーに存在する「タグ」という要素。
ルールではどのような状態にあるのか詳しく説明されていないが、「タグされた」ランナーがどのような末路を辿るかを知る機会は多々あるので、自然とどんな状態にあるのか想像することができる。

例えば口座を特定されたあげく凍結されてクレジット残高が0になったり――

 

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隠れ家を特定されて建物ごと吹き飛ばされたり――

 

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車が突っ込んできたりミサイルが飛んできたり隕石が降ってきたり―― 

 

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――とまあ、タグが付いたままであるとコーポからとんでもない仕打ちをされるのである。NBNは社会的に殺しにくる一方で、怖いお兄さんをたくさん擁するWeylandは物理的に殺しに来る。狙われると命がいくつあっても足りゃしない。

コーポはこれら怖いカードを使うまでもなく、ゲームのルールとして、タグされているランナーのリソースをトラッシュできる。要はランナーにとってタグされているというのは非常に好ましくない状況であり、いつ敗北に直結するような仕打ちを受けてもおかしくない危険と隣り合わせな状態にあるわけだ。

 

ところが、あえてその危険を冒してまでもタグを受けることに利益を見出し、自ら望んでタグを受ける戦法を取るランナーも存在する。
タグミー(Tag me)と呼ばれるその酔狂な戦術の例を紹介しよう。

 

 

 

Counter Surveillance/逆監視 ワンショット型

タグを利益に還元する方法はいくつかあるが、その中で特にインパクトが強いのが《Counter Surveillance》を使ったマルチアクセス*1だろう。

 

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タグと同数だけ追加のクレジットが必要になる代わりに、タグと同数枚のカードにアクセスできる。
タグが10あれば10枚アクセス、20あれば20枚アクセスと、これを使えばR&Dのてっぺんから底まで全部アクセスすることも不可能ではない。さすがにそこまでするのはオーバーだが、タグを十分に貯めてR&Dにランすればそれだけでほぼ勝利確定なほど大量の計画書を盗むことが十分期待できるだろう。
《Counter Surveillance》を使用するためには、その準備として大量のタグを貯める手段と、それまで殺されずに生き延びる手段がそれぞれ必要だ。もちろんクレジットも。

 

 

タグを貯める

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 Standard Ban List 21.06環境下で効率よくタグを貯めようと思えばこのカードが選択肢に入ってくる。
《God of War》はウィルスカウンターでサブルーチンをブレークできるAIアイスブレイカーで、ランナーのターン開始時にタグを受けることで自動でウィルスカウンターを得る能力を持っている。インストールしておくだけで勝手にタグを貯められるうえ、2枚目3枚目とインストールしておけばあっという間に10、20のタグを得られるだろう。
AIアイスブレイカーなのでいざというときは溜まったウィルスカウンターでどんなICEも突破することができる。
ただし基礎強度が0なうえ強度を1上げるのに2クレジットもかかるので過信は厳禁……。

ICEを突破する手段は他に用意しておこう。

 

タグを貯めるならコーポに何かされるまえに一気に決着をつけてしまいたい。コーポがどんなカードをデッキに入れているかわからない状態であるなら、ゲームが長引けば長引くほど危険だからだ。

他の手段を併用すれば当然それだけ早くタグを貯められる。ランナー(主にCriminal)のいくつかのカードには強い効果の代わりにタグを受けるものが存在するのでそれを利用しよう。タグを受けるというのは通常であればデメリットとして働くが、タグミーするならその代償すらメリットとなるのだ。

 

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《Rogue Trading》は2クリックで6クレジットという高効率でクレジットを稼ぐことができる優秀なリソースに早変わり。リソースをタグが付いたまま運用するのはリスクが高いが、その点このカードは元手が0ですぐにトラッシュされてもほぼ損失がない。タグされた状態で使うのにうってつけというわけだ。

 

 

生き延びる

タグされた状態でプレイを続けるうえで気を付けなければならないのが唐突なミートダメージによるフラットライン*2だ。特にタグ2つあれば即死級のダメージを飛ばせる《BOOM!》はタグ付けからフラットラインを狙うデッキでよく採用されている。そのため最低でも7ミートダメージ受けても生き延びられるように備える必要があるのだ。

 

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ミートダメージ対策といえばまず思い浮かべるのが《Citadel Sanctuary》《Guru Davinder》。どちらも代表的なダメージ対策カードで突発的な大ダメージからランナーを保護してくれる。これさえ採用していればコーポはお手上げ!…と言いたいところだが、残念ながらどちらもリソースであるためコーポは容易にこれらをトラッシュできてしまう。
どちらも優秀なカードであることは間違いないのだが、タグミーのお守りとしては頼りないと言わざるを得ない。守る手段があれば別だが……。

 

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同じくリソースであるものの《Jarogniew Mercs》は上2つの弱点をある程度克服したカードだ。タグの数+3のミートダメージを妨害できるうえ、インストール時にタグを1個増やせるオマケつき。それに加えて他にインストールされているリソースがあればコーポにトラッシュされない自己防衛能力も持っている。他のインストールコスト0のリソースで周りを固めてやればおいそれと手出しできなくなるだろう。

 

 

 

実践

上記の戦略を使うデッキの対戦の様子をご覧いただこう。

 

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《Counter Surveillance》を使うためにタグを貯めたいランナー。《God of War》を2枚インストールしてタグを量産する構えだ。

IDは手札が少ないとクレジットを得られる《Nathaniel "Gnat" Hall: One-of-a-Kind》《Guinea Pig》で余分なカードをトラッシュしつつクレジットを稼ぐコンボを狙いつつ、手札の少ない状態をコーポに狙われないように防御を固めている。
先ほど紹介した《Jarogniew Mercs》の他に《Heartbeat》を採用しているのは、ハードウェアなのでトラッシュされづらく、 《Jarogniew Mercs》では対処できないネットダメージとブレインダメージにも対応できるからだ。

 

この後順調にタグとクレジットを稼いでいくランナー。

 

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途中《Clearinghouse》による攻撃を受けるも――

 

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――《Jarogniew Mercs》で難なく耐える。

 

 

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更に《Ronin》によるネットダメージ! このコーポなかなかアグレッシブにダメージを飛ばしてくる。
しかし――

 

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――《Heartbeat》《Harbinger》をトラッシュしてカバー。ミートもネットもダメージは1発も通ることまかりならぬ。まさに鉄壁。

 

 

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そうこうしているうちに待ちに待った《Counter Surveillance》がついにグリップにIN。
タグもクレジットも準備万端。R&Dの守りも薄い。これはチャンスだ!

 

突撃!!
Server3に3アドバンスされた怪しげな何かがあるがこの際知ったことではない。
このランで勝てばよいのだ。

 

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出迎えるはコードゲート《Aiki》

 

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ここはあえてサブルーチンをブレイクせずに通過を試みる。2/3の確率でPsiゲーム*3で2ドローできる可能性があるうえ、ダメージ対策は完璧だからね。

 

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やった! 2ドローを勝ち取った!

 

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ICEを突破。さて、お楽しみタイムだ。

 

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18枚連続アクセス攻撃!

 

 

 

 

怒涛のアクセスだったが残念ながら盗めたのは2点の《Jumon》1枚のみ。《Obokata Protocol》にもアクセスできたが4ネットダメージを受けるコストが払えないので未遂に終わる。
う~ん、憎たらしい計画書だ。。

 

残念ながら勝利に必要なだけの計画書にアクセスできなかった。
幸いなことにさっきのドローで2枚目の《Counter Surveillance》を引くことができたので、次のターンにでも再び攻撃を仕掛けることができる。しかしR&Dのトップ17枚のうち計画書は先ほど盗めなかった《Obokata Protocol》1枚しかない。次の大量アクセスで《Obokata Protocol》とそれ以外の計画書をもう1枚盗みたいのでR&Dが削れるのを待ちたいところ。

返しのターンでコーポは《Jumon》を得点。さらに次のターンには何かをインストールして《Jumon》の効果で2アドバンスして次のターンにも勝ちそうな布陣。

 

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《Jumon》によるアドバンスラッシュが始まってしまったのであとはスピード勝負。

1ターンの猶予しかなかったがR&Dの残り枚数は26、ランナーのタグは5増えて23。
幸いにも火力は十分ある。今なら根こそぎ計画書を盗みだせるだろう。

2枚目の《Counter Surveillance》を使う時だ!

 

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2クリック使ってドローし、《Obokata Protocol》を盗む準備を整え、3クリック目で《Counter Surveillance》をインストール。

 

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ラストクリックで能力を起動! いっけえええ!!

 

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最後に盗んだ《Jumon》の次は3ネットダメージとタグを与えることでお馴染みの《Snare!》だった。もし7点取るまでに3枚の《Snare!》を踏み抜いていたらさすがに耐えられなかっただろう。マルチアクセスするときはこういった待ち伏せ系カードにも多くアクセスしうることを留意しておきたい。

なにはともあれ無事7点目をゲットして勝利だ!

 

 

 

 

 

 

 

と、実はここまでは先週の内容。
今週はこのデッキの弱点を克服したバージョンを作成して対戦に臨んだ。

 

 

 

Obelus/オベラス 手札物量型

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新しいデッキでは《Heartbeat》の代わりに《Obelus》を採用した。このコンソールにはどんなダメージも妨害するような機能は備わっていないが、代わりにタグの数だけグリップ上限が増える。最大体力を増やすことによってフラットライン対策ができるというわけだ。
手札が増えればどのカードを使うかという選択肢も増える。R&DかHQへのランに成功すればアクセスした枚数と同じだけドローできるおまけつき。能力が自己完結しててとても強い。

 

 

実践

前回と同じく《God of War》を使ってタグを増やしていく。
先ほども述べたが《Obelus》自体にはダメージを妨害する能力はない。いつダメージを受けても大丈夫なように手札の枚数をキープする必要がある。

 

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コーポは素早く3点計画書《Send a Message》を得点し、その効果でR&Dを守っていたICEを無料レゾ。

 

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レゾされたのは強度6の《DNA Tracker》《God of War》で対抗するには強度を合わせるだけで12クレジットも必要だ。ブレイクせずに通過した方が安い。

タグミーからの《Counter Surveillance》は当然警戒される。

よりにもよって《DNA Tracker》とは…。R&D攻略に大量のクレジットが必要になってしまった……。

 

ランナーが狙う場所がわかっていればそこを重点的に守ればよい。戦略がバレやすいデッキの弱点として受け止めよう。

 

 

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コーポが《Saraswati Mnemonics: Endless Exploration》のID効果でカードをインストールして2アドバンス。
これ以上点差を広げたくないので迷わず特攻。迎え撃つはバリア《Data Loop》

 

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このICEはなかなか曲者でNBNのカードでありつつJintekiと相性が良い。《Data Loop》とエンカウントすると、ランナーはグリップ2枚をスタック*4に戻さなければならない。不意にグリップが減ることによって耐えられたはずのダメージに耐えられなくなる可能性が出てくる。盗むのに4ネットダメージを受ける必要がある《Obokata Protocol》を守るのにも最適なカードだ。

 

残念ながらアクセスしたのは待ち伏せ資材《Gene Splicer》。計画書ではなかったがコーポの得点源にもなるカードなのでクレジットを払ってトラッシュ。

 

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同じサーバーにインストールされていた《Ben Musashi》《Freedom Khumalo: Crypto-Anarchist》のID効果でトラッシュした。
ウィルスカウンターさえあれば計画書を除くカード何でもをトラッシュできるこの能力、《God of War》のウィルスカウンターを余らせがちなこのデッキにぴったりである。

 

高額な《Data Loop》をレゾしたことによってコーポのクレジットが底をついたので、《Docklands Pass》をインストールしてここぞとばかりにHQを攻め立てる。

 

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4ネットダメージ受けられないので盗めない。


《Docklands Pass》によってHQで2枚アクセス。《Obelus》でのドローも2枚。
このランによってコーポがHQに《Obokata Protocol》を抱えていることが発覚した。手札を補充して再チャレンジしよう。

 

次のランナーのターン。
《I've Had Worse》を2枚使って豪快にドロー。

 

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手札上限が増えているのでたくさん持てるぞ

 

グリップがこれだけあれば《Obokata Protocol》も恐るるに足らず。
いざ尋常に勝負!

 

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HQ を守っていたのはまたもや《Data Loop》。手札からカード2枚没収されるも、この圧倒的グリップ枚数の前にはもはや焼け石に水と言わざるを得ない。

 

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ラッキーなことに《Obokata Protocol》を含む3点計画書2枚にアクセス。
グリップから合計6枚のカードが消えたが、《Obelus》によるドローで6枚に回復した。
本来ならHQを攻め続ければ《Data Loop》によって毎回グリップを2枚削られることになり、グリップの補充のためにクリックを割くことになっていただろう。グリップの枚数を維持し続けられたのは《Obelus》のおかげだ。

息切れすることなく攻め続けられたおかげでHQからもう1枚の《Obokata Protocol》を盗んでゲームエンド。GG!

 

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おわりに

ランナーにとって忌避すべきタグ。本来ならマイナス要素であるものを利用する戦術もあることを覚えておけば、今まで見えてこなかったカードの活用方法が見えてくるだろう。同じタグミーをするにしても、《Counter Surveillance》を使うまでのタグの貯め方にいろんな趣向を凝らせるはずだ。

 

 

 

 

ちなみに紹介した2つのタグミーデッキ、いろんなダメージ対策を講じていることを紹介したが、実はどちらも《High-Profile Target》を使えば簡単にフラットラインさせることができる。
どれだけ防御を固めようとこの圧倒的ダメージ量を前に生き残ることは不可能だからだ。

見かけたらこれで優しく引導を渡してあげよう。

 

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タグの数×2のミートダメージ。死。

 

*1:HQかR&Dのカードに一度に複数枚アクセスすること

*2:ランナーのグリップの枚数より多くのダメージを受けると即敗北

*3:秘密裏にお互い0~2クレジットを支払い、額を比較して処理を決定する効果

*4:ランナーの山札

ネットランナー会レポート 21.08.20

先週末はRTAで盛り上がっていたが、同時にNISEI主催のアンドロイド:ネットランナー大会であるAsia-Pacific Continental Championship(APAC)も実は開催されていた。

 

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優勝したのは《Sportsmetal: Go Big or Go Home》のデッキと《MaxX: Maximum Punk Rock》のデッキを使用したSokka氏。Sportsmetalのデッキはトップメタであるいつものファストアドバンス*1デッキといった感じだが、《Levy AR Lab Access》を失って落ち目と言われて久しいMaxXで優勝したという事実に大変驚かされた。

そのデッキリストをいち早く入手した我々はその尖り具合に更に驚くことになる。そして――

 

 

――まあ、試したくなるのが性(さが)というもの。

 

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MaxX: Maximum Punk Rock

Event (26)
3x Apocalypse ●●●●● ●●●●
1x Day Job
1x Deuces Wild ●
3x Dirty Laundry
3x I've Had Worse
3x Labor Rights
3x Moshing
2x Out of the Ashes ●●●●
3x Overclock
1x Rebirth ●
3x Sure Gamble

Resource (6)
3x Daily Casts
3x Liberated Account

Icebreaker (8)
3x Black Orchestra
2x MKUltra
3x Paperclip

Program (5)
2x Fermenter
3x Stargate

15 influence spent (max 15, available 0)
45 cards (min 45)
Cards up to System Update 2021

 

 

こちらが優勝したMaxXのリスト。
やはり目を引くのは3枚積まれた《Apocalypse》だろう。

 

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ひとたび起動すればインストールされたランナーのカードおよびコーポのカードを全て破壊しつくしてしまう。そのほかにも大量のイベントカードが搭載されており、一部を除けばそれらは全てカードをドローするかクレジットを稼ぐかするもので構成されている。
その代わりにリソースはクレジットを稼ぐ《Daily Cast》《Liberated Account》の2種類3枚ずつと最小限で、ハードウェアにいたっては0枚と徹底してリグを構築しないようになっている。
どうせインストールしても《Apocalypse》の巻き添えになってしまうしね。

 

 

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ゲームプランはこうだ。
まず《Fermenter》といったプログラムやイベント、リソースでひたすらクレジットを稼ぐ。デッキ内のほとんどのカードがクレジットに関係するので稼ぐのは容易だ。

そうしている間にMaxXのID効果でヒープにどんどんカードが溜まっていく。

 

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このデッキに採用されているアイスブレイカー(《Black Orchestra》《Paperclip》《MKUltra》)はいずれもヒープからインストールできる能力を持っている。
クレジットを稼ぐことに集中しているだけでMaxXの能力でグリップにカードが補充されるうえ、アイスブレイカーの使用準備まで整うというわけだ。

なんともおいしい組み合わせ。

 

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ヒープに落ちているとおいしいカードはもう1つある。
《Out of the Ashes》はランナーのターン開始時にヒープにあるこれをゲームから除外することでクリックを使用せずにランを開始できるという変則的なランイベント。
《Apocalypse》を使うにはHQ、R&Dとアーカイブにそれぞれランする必要があるので最低でも4クリック必要だが、《Out of the Ashes》でクリックレスなランをすれば全てを吹き飛ばした後で行動するクリックを残すことができるというわけだ。

 

アイスブレイカーも(ヒープに)揃ってクレジットもたんまり。あとは好きなタイミングで仕掛けるだけ。

コーポがどんなに遠隔サーバーから計画書を盗まれないように準備していても―― 

 

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――全て破壊されてしまえば元の木阿弥。嗚呼無常。

 

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インストールされたコーポのカードを全てをトラッシュし、インストールされたランナーのカードを全て裏向きに。

 

 

 

 

 

 

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BOOOOOOOOMMMMM!!!!

 

 

守りを全て失ったコーポはランナーになされるがまま。
ICEもろともサーバーごと吹き飛ばした計画書をアーカイブから回収するもよし、丸腰になったR&Dを《Stargate》で掘りつくすもよし。

 

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GG!

 

ランナーもリグの全てのカードを裏向きにされてしまうが、予備のアイスブレイカーはまだヒープに残っているしクレジットも余力がある。《Labor Rights》でヒープのカードを回収し、必要であれば第2第3の《Apocalypse》を仕掛けることも可能だ。

この対戦の他にも同じMaxXのデッキを使用して遊んでみたが全てこのMaxXが勝利した。やることが非常にシンプルで扱いやすく、使い辛いMaxXの能力とも非常に噛み合っている。
優勝デッキ、恐るべし…!!

 

 

 

もちろん、MaxXのデッキを体験する以外にも自分たちで組んだデッキでも対戦している。

 

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脅威のスーパーマルチアクセス

必殺の23枚同時アクセス!

何があったかはまた別の機会のデッキ紹介で。

*1:計画書をインストールしたターンに得点することまたはその戦略