Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.09.10

 Niseiのブログで次の拡張となるBorealisサイクルの告知が行われた。2つ前のAshesサイクルと同様、2つのセットからなる拡張だ。
 まだどんなカードが含まれているかは公開されていないが、どういう方針でカードがデザインされているかだけは記載されている。気が向いたら紹介記事を書こうと思う。

nisei.net

 

 

 

 さて、今回はデッキ構築の話をしよう。

 

 毎週のこの時間のために、私はアンドロイド:ネットランナーのデッキをおおよそ毎週ランナーとコーポで1個ずつ新規で作成している。
デッキ構築のモチベーションは主に「まだ試していない組み合わせを試したい」に尽きる。今回白羽の矢が立ったのは《Botulus》というカードだ。

 

メインに据えるカードを決める

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 《Botulus》はSystem Gatewayで追加されたAnarchの新しいウィルスプログラム。
 ICEに取り付き自身のウィルスカウンターで強度を無視してそのサブルーチンをブレイクできる。対象のICEのサブタイプも問わない。その性能はAnarch版《Boomerang》といったところだろうか。

 

 《Botulus》を使えば、ゲーム序盤のアイスブレイカーが揃っていない場面でも果敢にICEに挑むことができるだろう。では、序盤から果敢にランして何を成すのがよいだろうか。

 以前《René "Loup" Arcemont: Party Animal》のデッキを組んだ際、課題になるのは如何に早く《Imp》をインストールできるかだと思っていた。RenéのID能力はアクセスしたカードをトラッシュした際にアドバンテージを稼ぐことができる。序盤からこの能力を連打できれば、攻撃しつつスタックを掘り進め、リグを構築できる算段だった。

 

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 しかし実際にデッキを使用してみてわかったのは、コンボの要となる《Imp》を序盤にインストールすること以上に、ゲーム序盤のICEを安定して突破する手段が必要だということだった。HQやR&DのICEを突破できなければ、いくら《Imp》が強くてもその能力を発揮することはできないからだ。

 

 今回は《Botulus》の力を借りてその弱点を克服し、ゲーム序盤からコーポの手札をめちゃめちゃに破壊しつつRenéのID効果の恩恵を受けることを目標にする。
メイン戦略はこれに決まりだ。

 

 

メインとなる戦略を補助するカードを入れる

 《Imp》を繰り返し使うならコンソール《Knobkierie》は外せない。今回のようにウィルスプログラムを大量に使う予定ならなおさらだ。
 メインで使用するカードが決まったらそれらと相性の良いカードをピックアップしていこう。《Botulus》《Imp》を補助するカードを選んで追加のようなインストール時にカウンターが乗るプログラムと相性の良いカードといえばまず《Simulchip》だ。

 

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 ヒープからプログラムをサルベージするのに役に立つハードウェアだが、使用するにはインストール済みプログラムをトラッシュしなければならない。一見デメリットに見えるが、再インストールしたいプログラムをこの能力でトラッシュし、同じプログラムをヒープからインストールするという流れを1枚で実現できる能力でもあるのだ。

 

 もし《Botulus》で突破を試みたICEのサブルーチンが想定より多かったら?

 可能なだけサブルーチンをブレイクしてから《Simulchip》《Botulus》を再インストール!
 《Botulus》のインストール時効果でウィルスカウンターが補充されるので、続けてサブルーチンをブレイクできるというわけだ。

 

 再インストールする際に別のICEをホスト先に選ぶことでこんな芸当もできる。

 

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 金策には《Fermenter》を使うことにした。クレジットを受け取るにはこのプログラムをトラッシュしなければならないが、すぐさま《Simulchip》で再インストールすればまたクレジットのためのウィルスカウンターを貯めることができる。
 ウィルス系プログラムと全体的に相性の良い《Cookbook》も忘れずに。

 

 

 

コーポを攻める手段を用意する

 計画書を効率的に盗むための手段と言い換えてもよいだろう。一番シンプルなのはマルチアクセスの手段を用意することだ。メインで使いたい予定のカードがここに該当していて十分だと思うならここは飛ばしてよい。

 今回は《The Turning Wheel》のみを採用することにした。

 

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 パワーカウンターを貯めることによってマルチアクセスを可能にするこの中立のリソースはたくさんランを実行するデッキほど高い効果を発揮する。何度でも使用可能であるため長期戦になってカードが尽きてもランナーの攻撃力を維持できるのだ。影響度が低いのでどのデッキにもとりあえず1枚入れられるし、入れておけば安心感をもたらしてくれる。

 

 本来なら他のマルチアクセス手段も用意しておくべきだが、《Imp》でHQをめちゃくちゃにする予定なのでこれ1枚で十分という判断だ。

 

 

 

ICEを突破する手段を用意する

 コーポのサーバーに挑むなら当然必要だ。特別な事情がない限りはデコーダー、フラクター、キラーの3種類を用意しよう。問題はそれぞれ何枚ずつデッキに入れるかであるが……

 

 枚数が多ければスタックからすぐに見つけることができるが、すでにグリップにあったりインストールしているアイスブレイカーをドローで引き当てても役に立つことが少ない。逆に枚数を絞ればそういった事故を減らせるが、今度は必要なアイスブレイカーがなかなか見つからないという別の事故の原因となる。

 

 アイスブレイカーをスタックから直接探す手段があるなら枚数を減らすことができる。《Self-modifying Code》《Mutual Favor》なら必要なカードをピンポイントに探し出せるので、これらを採用するならアイスブレイカーは1枚ずつでも困らないだろう。

 ICEを突破する手段を他に用意しているなら同様にアイスブレイカーの枚数を減らしても困る場面は少なくなる。今回のデッキは《Botulus》を使用するのでアイスブレイカーは《Black Orchestra》《Paperclip》《MKUltra》を1枚ずつにした。

 Anarchの場合はこの3枚を入れておけばとりあえずなんとかなる。

 

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ドローと金策

 このゲームの良いところは、カードもクレジットも足りなければクリックを支払って補充できるところだ。だが、カードをインストールしてリグを充実させたりコーポのサーバーを攻撃するのにも同様にクリックがいる。ちまちまと1枚ドローしたり1クレジットを得たりするよりは、カードの効果を使って1クリックでがっつり3枚4枚とドローしたり4クレジット稼いだり、自動でそれらができた方が良いに決まっている。

 デッキ下限枚数までにまだ余裕があるなら、残りの枠はドローするカードとクレジットを稼ぐカードで埋めてしまおう。

 

 

 

完成

というわけでできたデッキがこちら。

 

René "Loup" Arcemont: Party Animal

Event (14)
3x Diesel ●●●●● ●
3x Dirty Laundry
3x I've Had Worse
1x Rebirth ●
3x Sure Gamble
1x Tread Lightly ●

Hardware (5)
1x Friday Chip
2x Knobkierie
2x Simulchip ●●●●

Resource (9)
1x Cookbook
3x Daily Casts
1x Hunting Grounds ●
2x Paladin Poemu
1x Political Operative ●
1x The Turning Wheel ●

Icebreaker (3)
1x Black Orchestra
1x MKUltra
1x Paperclip

Program (9)
3x Botulus
3x Fermenter
3x Imp

15 influence spent (max 15, available 0)
40 cards (min 40)
Cards up to System Update 2021

 

 

そして対戦した結果がこちら。

 

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ボロ負けした!!!!

 

 

 私はデッキ構築こんな感じでやってます的なことを書きながら作ったランナーデッキは計画書を1枚も盗むことなく惨敗。
 この後の反省会感想戦でいくつか改善点が出てきたのでそれを元に修正することになるのであった。

 

 デッキは使ってみてこそ手の届かないところがわかるものである。リストだけ作って完成することの方が珍しく、対戦と改善を重ねて精度を上げていくものなのだ……

 

 つづく?

 

 

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