ネットランナー会レポート 22.04.08 『Deep Dive』
今回はランナー強化週間と息巻いて気合を入れてデッキを用意した。
前回(前々回も)一切ランナーで勝てなかったのがよほど悔しかったのだろう。それに、Standardの環境に戻ったら再現したかったデッキと、ちょうど使ってみたかったカードもあった。
《Deep Dive》。Midnight Sun Boosterの1つ。その効果はR&Dのトップ8枚を除外してその中から1枚アクセスするというもの。除外したカードはあとでR&Dにシャッフルする。
1つ前のAshesサイクルでリリースされその強さが認められた《Khusyuk》でさえ周到な準備を重ねてやっと6枚の中から1枚アクセスできるところ、このカードはそれよりも2枚多い8枚から選べる。更にクリックの追加消費で2枚目にもアクセスできるのだから、これ1枚のプレイで4点5点分の計画書を盗み出すことも可能。通せば勝ちのまさにフィニッシャーといえるカードだ。
プレイするためには《Apocalypse》や《Encore》よろしく中央サーバー全てのランに成功していなければならない。しかし、その条件さえ満たしてしまえば更に2枚目3枚目をプレイすることだって可能だ。
兎にも角にも《Deep Dive》の真価を発揮するには3回のランのあとどれだけクリックを余らせることができるかにかかっている。
クリックを余らせる方法その一は使えるクリック自体を増やすこと。
Shaperはそもそもクリックを増やすことに長けた派閥なので様々なカードを持っている。だからこそ第5クリック目を要求する《Deep Dive》がデザインされたのだろうけど。Standardでならこの2枚が無理なく採用できるだろう。
《Beth Kilrain-Chang》はコーポのクレジットに依存してランナーになにか提供してくれるコネ/Connectionリソース。
コーポが5クレジット以上持ってさえいれば継続的に何かしら利益があるので入れ得カードの1つ。ただし目的の追加クリックを得るにはコーポが15クレジット以上の大金を貯め込んでいる必要があるので、いざというときに確実にクリックが貰える保証はない。が、《Peace in Our Time》で無理矢理コーポの所持クレジットを増やす手はある。
《Temple of the Liberated Mind》を使えば余ったクリックをパワーカウンターとして貯めておき、引き出すことができる。《All-nighter》と違ってクリックレスにクリックを得られるので、必要になったそのときに引き出す判断をすることができるのが魅力。
Shaper以外にもクリックを増やす手段は存在するのだが、それらを採用するかは影響値と相談して決めよう。
次に紹介するのはこのカード。
《Out of the Ashes》。実行するのは特別な効果などなにもないただのラン。プレイするだけならなんのアドバンテージも生みやしないが、その真価はヒープに落ちてから発揮される。
ヒープの《Out of the Ashes》を除外して効果発動! ランを開始する!
……やっぱり普通のランじゃないか。
いやいや、これはただのランではない。ターン開始時に誘発した効果であり、このランはランナーがクリックを支払うことなく開始できる、クリックレスなランである。クリックを使わずに中央サーバーを回れれば、その分クリックを余らせることができるというわけだ。クリックを余らせる方法その二である。
Sunny Lebeauの《Jak Sinclair》も同様にクリックなしにランすることが可能。このラン中にプログラムが使えない制限をうまく御せるのであればランの回数稼ぎに貢献できるはずだ。
ありとあらゆる手段を尽くして《Deep Dive》のためのクリックを用意したら、あとは中央サーバーへのランを成功させるだけ!
というわけで対戦。相手は《Gagarin Deep Space: Expanding the Horizon》。
これはツイてる。アセットスパム*1なら中央サーバーの守りは薄いはずだ――
……
……
――って、薄くねーー!!
HQを守っているのは《Fire Wall》、R&Dには《Pharos》が鎮座している。どちらも強度が高く、しかもその強度はアドバンスカウンターでさらに成長する。遠隔サーバーでは《Wall to Wall》が稼働しているのでさっさとトラッシュした方が良いのだが――
――ああ、ほら言わんこっちゃない!
強度10はあの《Paperclip》でも突破に9クレジット必要な硬さ。
Shaper相手にR&Dを全力防御の構え。みすみす通す気はないらしい。……そもそも《Paperclip》をまだインストールできていないのでクレジットがあっても突破はできないわけだが。
中央サーバーがダメなら遠隔サーバーだ! コーポの得点を妨害し、《Deep Dive》発動までの時間を稼がねばならない――
――が、ダメ……!
どこもかしこもバリアまみれ。一刻も早くバリアを突破できるアイスブレイカーをインストールせねばならない。
コーポはランナーがバリアを突破できないと知るやいなや、チャンスとばかりに得点を推し進めてくる。遠隔サーバー(Server 2)にインストールされたカードは十中八九計画書だ。
このままでは得点を許してしまう。
《Beth Kilrain-Chang》の効果により1クリック増えて5クリックスタート。ドローだ! 必要なカードが出るまで引きまくれ!
1クリック目!
《Multithreader》! 違う、これじゃない!
2クリック目もドロー!
《Diesel》! これも違うがまだチャンスはある。
3クリック目《Diesel》をプレイで3枚ドロー!! うおぉ! 炎を授けてくれ!!
来たきたキタ《Self-modifying Code》!
まだあと2クリックある。せっかく掴んだチャンスを逃してなるものか! インストールしてランだ!
《Self-modifying Code》の能力を使い《Paperclip》をスタックからインストール、《Ice Wall》を突破。続くICE《Mausolus》も《Unity》で無力化しサーバーへ侵入!
計画書Steal成功! コーポの4点目を阻止できた。ただしクレジットはすっからかんに。せっかくアイスブレイカーを揃えても動かすためのクレジットがなければ元の木阿弥(もくあみ)である。
この隙にコーポはさらに計画書を得点。遠隔サーバーにカードを仕込んで2アドバンス。
もし3点計画書なら見逃せば敗北。決死の思いでランするものの、残念ながら《Vladisibirsk City Grid》だった。
無念にも1クレジット不足でトラッシュならず。このまま放置すれば、コーポが計画書をドローするたび即得点されてしまう。大ピンチ。
ここまでくるともはやどちらが先に計画書に辿り着けるかの勝負になってくる。
2ターンほどクレジットを貯めることに費やし、ターン開始時点で20クレジットを確保。コーポの所持クレジットは5なので《Beth Kilrain-Chang》がくれるのはクレジットだが、《Temple of the Liberated Mind》には既にカウンターが載せてある。
いけるか……!?
行ったれーー!! ヒープの《Out of the Ashes》を除外。アーカイブへラン!
続けてHQへ! 《Multithreader》からのクレジットを吐き切る。
さらにR&Dへラン! 強度10の《Pharos》を越えてR&Dへ到達。アクセスしたカードはトラッシュしておいた。
中央サーバーそれぞれのランに成功。さあて、お楽しみの時間だ。
魅せてくれ! 《Deep Dive》発動!!
R&Dのトップ8枚を公開。
計画書はあるか……!?
あったーー! しかも4枚も!
残り2クリックあるので2枚まで盗めるが、3点の《SDS Drone Deployment》さえ盗めば7点到達で勝利である。というわけでGG!……っていうか計画書出すぎでは!?!?
見たか《Deep Dive》の威力! やみつきになりそう。
後半でコーポが計画書を引けずに逃げきれなかった幸運に助けられたゲームだった。
フィニッシャーとしての威力は申し分ないが、発動するまでに時間がかかりすぎればこの威力を振るう機会のないままゲームが終わってしまう可能性もある。
しかし、もしこの威力を序盤中盤から振るうことができればコーポにとって大きな脅威になることは間違いない。素早く中央サーバーを回る工夫を凝らしたランナーのデッキで再挑戦してみたいところだ。
*1:資材を大量に並べる戦術