Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

テインテッド・グレイル 感想

 Twitterで簡単に感想は書いたけど、せっかく面白かったのでこっちでも詳しく紹介しておくことにする。

 

物語の始まり

 彼のアーサー王の眠る地アヴァロン。太古より存在する悪しき存在を打ち払い、人類の叡知により建てられた石像メンヒルの加護により、人々は安寧の地を手に入れた。

 この平和は永遠に続くかと思われた。しかし、長い間人々の暮らしを護っていたメンヒルの力は徐々に陰りを見せ始めていた。

 この問題を解決すべく勇者が選ばれることになったが、それは何らかの問題を抱えるあなたのことではなかった。代わりにあなたの知人が勇者として旅立ったが、消息は途絶えたまま時間ばかりが過ぎていく。このままではいずれメンヒルの火は消え、あなたの故郷は闇に包まれるだろう。

 このままではいずれ皆死ぬ。

 勇者には選ばれなかったが、この現状に甘んじ座して死を待つあなたではない。行動するのだ。生き延びるために。

 

 

ゲーム概要

――といった感じで始まる『テインテッド・グレイル』。物語はうろ覚えなので間違ってるところもあるかもだが、おおよそ雰囲気はこんな感じ。

「このまま何もしなければ世界は滅びるってよ」

「えーっ!? 死にたくないよ!」

 あなたは勇者未満の村人Aとして、この滅びに向かう世界に放り出される。(一緒に遊ぶ人がいれば)幸いにも同じような道連れが他にもいるので、協力して世界を奔走し、生き残る道を探ろうというのがこのゲームだ。

 最初は生き残るのに精一杯だが、探索を進めるうちに全15章からなるストーリーがクエスト形式で展開される。世界の真実を見つけ成すべきことを果たすのか、もしくは力及ばず滅ぶ世界と運命を共にするのか。

 

 

1日の活動

 マップはカードで表現され、起動しているメンヒルから斜めを含む周囲1マスだけの範囲が公開される。プレイヤーは朝日が昇るたび、アクションポイントである活力の限りこのマップ上で移動や探索などの活動を行う。各プレイヤー満足するまで行動したら夜を迎え、食料を消費して体力と明日の活動のための活力を回復するのだ。

 

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中央の巨大なミニチュアが石像メンヒル

 この1日のサイクルを繰り返して生き残るための方法を探る。夜になれば消費した活力は回復するが、朝日を迎えるたびにメンヒルの火は弱まっていく。冒険中に得られた手掛かりを頼りに必要な場所を探索しよう。

 1日のうちどれだけ行動できるかを決める活力は毎夜回復するものの、食事を摂らなければ十分に回復しないし体力も失われていく。腹が減っては戦はできぬ、ということで活動を維持するのに必要な食料もしっかり集めておこう。

 

 

キャラクターボード

 プレイヤー1人1人に配られるボードがこれ。

 

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農民アレヴのボード

 冒険中に得られる食料や財貨、経験値等の資源を記録するほか、ボードの両側はキャラクターのステータスを表している。これらのステータスは探索で参照する他、戦闘や交渉といったバトル要素で効力を発揮する。

 経験値を集めればステータスを伸ばしたり、戦闘や交渉で使用するカードをより強いものに交換できたりといったRPG的成長要素もある。ステータスは赤いキューブで0~2までの3段階で表現されるが、さらに成長させることで技能カードを受け取って特殊能力を得られるようにもなる。長所を伸ばすか弱点を補うか、自分のキャラクターをどう成長させるかが非常に悩ましいが、最初は頼りなかった彼らが成長して逞しくなっていく様を見るのは冒険を進めるうえでの大きな楽しみになっていくだろう。

 

 

 

感想

 6時間ほどプレイ。

 あと幾数日で故郷が滅びるぞ。なんとかせよ!と世界に放り出され、さてどうしよう!?と相談するところからこのゲームは始まった。……え? 何すればいいの??

 勇者未満な我々に残されたのは、勇者が残した手掛かりと世界の地図のみ。手掛かりを追うもよし、追わずに世界を回るもよし。このゲームはかなり自由に行動できるが、それも生きていればの話。まずは死なないようメンヒルを再稼働させる方法を探さねば……!

 カードで表現されたマップはそれぞれ探索でき、その内容は様々な選択肢で分岐する。一度訪れただけでは全てを把握できず、別の場所で何かを得てから来ることで新たな発見が得られたりとゲームブックを彷彿させる要素がある。全てが気になるので調べ尽くしたいところではあるが、メンヒルのカウントダウンがそれを許さない。人によって違う体験が提供されるに加え、クリア後も2周目3周目を楽しめる余地があるように思った。

 シームレスに展開されていくシナリオや訪れた場所でサブクエストが発生したり、自由に探索できる様はさながらオープンワールドゲーム。ふんわりとした指示でプレイヤーに大まかな目標を与えて自由にさせつつ、メンヒルのタイムリミットが目標から大きく脱線させないのもかなり良い塩梅。適当なところでメンヒルを再稼働させないと死ぬので。

 

 ストラテジー要素の強いグルームヘイヴンとはまた違った魅力を持っているテインテッド・グレイル。この自由に世界を旅する感じは、ぜひ味わってほしい。

 

 

 

 

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