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ボードゲームを中心とした記事を書きます。

攻め落とすか守り切るか。非対称2人用ボードゲームStronghold: Undead

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 いろんな版があるらしいStrongholdというボードゲーム。今回遊ばせてもらったのはStronghold: UndeadのKickstarter版だ。たぶんこれ↓

boardgamegeek.com

 

 侵略側と防衛側に分かれて戦う非対称な2人用ゲーム。侵略側は8ラウンド以内に城壁を突破できたら勝ち。防衛側は8ラウンド耐えれば勝ち。

 

 

侵攻と迎撃

 侵攻側のユニットは毎ラウンド道に沿っててくてく歩き城壁を目指す。どのユニットを進めるかもしくは進めないかは選べるので、頭数が揃うまで待機させることも可能だ。

 

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堡塁にたむろするバンパイアとガイコツ兵士。他に幽霊もいる。

 

 侵略側のユニットは戦線→堡塁→城壁とラウンド毎に駒を進められ、城壁まで侵略側ユニットが到着するとユニット同士の直接的な近接戦闘が発生する。防衛側は侵攻の様子を見つつ、兵士の配置転換や防衛設備の組み立てといった作業で攻められそうな城壁の防御を厚くし、応戦準備をすることになる。

 近接戦闘では城壁スペース毎に侵攻側・防衛側のそれぞれの合計戦闘力を比較し、超過した戦闘力が合計の小さい方へのダメージとなる。割り振ったダメージが十分あればその分相手のユニットを撃退できる。

 撃退された防衛側ユニットは病院送りになり、ベッドが足りなければ溢れた負傷者は死んでしまう。防衛側の人員は数が限られておりあとから増えないので、できるだけ死なせないようにしよう。

 撃退された侵略側ユニットはそのまま死ぬが、毎ラウンド大量に増援が送られてくる。殺しても殺しても代わりが湧いてくる様はまさに不死の軍団。拡張によって本当に死ななくなる場合もあるけど。

 

 防御側のユニットに割り振り切れないほどのダメージが発生した城壁スペースがあればその城壁は突破されてしまう。つまり侵攻側の勝ちだ。

 

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ユニットではないので破壊されないが城壁自体も戦闘力を持っている。

 

 防衛側の城壁スペースにはユニットが2~3個しか配置できない。ユニットでない城壁や司祭が戦闘力を生むとはいえ数では侵略側に圧倒的に負けてしまう。城壁に張り付かれる前であれば塔に設置した大砲や射手の射撃によって遠距離攻撃ができるので、離れているうちにできるだけ敵の数を減らしておきたい。

 

 

魔術書

 侵略側は不死の軍団を操るネクロマンサーなので、当然怪しげな魔術を使う。使用可能な魔術が魔術書(カードの列)として公開されるので、マナを使ってラウンド毎にそれぞれ1回ずつ唱えることができる。

 

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左から順にマナコストを支払って解決していく。

 

 カードの効果は様々だが、主にマップ上に攻城兵器(バリスタやカタパルト)を配置するか、マップ上に特殊効果をエンチャントするか、即時に何か解決するその他の能力に分かれる。

 魔術書は最初は全て緑のカードが並んだ状態でスタートするが、魔術書を解決する前にライブラリに存在するカードとページを交換したり、ページの順番を並び替えたりといった「編集」が行える。戦況によって使い分けることによって有利に侵攻を進められるが、一度破り捨てたページはもう二度と戻ってこない。

 

 

防衛側の作戦指揮

 刻々と敵の軍勢が迫る中、城内では慌ただしく迎撃準備が行われる。兵士を訓練したり、足場を組んだり、城壁を補強したり、大砲を設置したり……。

 防衛側に与えられるリソースは時間だ。砂時計の形をした駒を受け取ったらそれを全て城内のいずれかの作業に割り振らなくてはならない。必要な数だけ砂時計が配置されるとその効果を直ちに解決する。

 

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砂時計をまばらに置いておけば、解決を先延ばしにして必要な時にすぐ起動できる。

 

 砂時計は兵士の強化や施設の強化以外にも、兵士や司祭を配置転換したり司祭の能力(城内のパニックを鎮めたり、ヴァンパイアを撃退したり)を起動するのにも必要になる。敵がどこから攻めてこようとしているのかを見計らって防御を固める場所を決めておきたいが、Ⅰの施設以外の能力は1ラウンドに1回しか起動できない。必要になってからでは間に合わない場合もあるので、先んじて準備を進めておく判断をすることもあるだろう。

 

 

 この砂時計、1ラウンド目には10個貰えるが、それ以降のラウンドでは2個しか貰えなくなる。逆に敵が貰えるマナはラウンド毎に減っていき、ついにはマイナスになる。大量の不死のモンスターを操るネクロマンサーにも体力の限界があるということだろうか……

 

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最初だけは潤沢にある時間。徐々に息切れするマナ。

 

 このゲームの面白いところの1つは、この砂時計リソースの配り方にある。

 砂時計は受け取るたびにどこに配置するか決定しなければならない。受け取るタイミングはラウンド開始時の他、ネクロマンサーがライブラリーから魔術を使うたびだったり、侵略側ユニットが移動し終わったあとにある。

 ライブラリーのカードはその魔術を唱えるのにマナを支払う必要があるが、同時にそれと同じだけの砂時計を防衛側にも与える。魔術を唱えれば唱えるほど、それが強大であればあるほど、防衛側にも対応するための時間が与えられるというわけだ。

 

 じっくりお互いに準備してからぶつかり合うか、もしくは使う魔術を絞って奇襲を仕掛けるか。準備が整わないうちに一斉に複数の城壁を大量のアンデッド達で攻め立てれば防御は難しくなる。奇襲は侵略側は防御側の隙を突く腕の見せ所であり、防御側は隙を見せないようにうまく立ち回りたい。

 

 

 

遊んでみた感想

 テーマも内容も私好みのゲームだ。侵攻側のライブラリのカードや増援の内容はランダムなので、その内容に応じて攻め方をいろいろ工夫する余地があり、時間のやりくりによる駆け引きも楽しいゲームだった。

 

 

 だた一つ気になったのは非対称なゲーム故のバランスだ。まずは侵略側と防衛側を1回ずつ遊び、どちらも侵略側が勝利した。

 侵略側の緑のカードにある「Turn to Dust」が無茶苦茶協力な魔術で、起動するたび防衛側のサプライにある(つまり未配置の)ハンマーアイコンのタイル1枚をボードから除外してしまえる。これらのタイルは基本的にあとから置いた方が強いわけだが、このカードが存在することによって早めに配置しなければ必要な時にはもう残っていないという事態が発生しえる。

 カードゲームでいうなら毎ターン手札から一枚選んで捨てられるようなものである。タイルを先置きすれば侵略側はそのタイルがない場所を選んで攻撃すればよいので、防衛側がかなり不利になってしまう印象だった。

 

 そこで、3戦目はランダムカードプールから「Turn to Dust」(と、ついでに弱すぎて使われないカード)を取り除いてプレイ。

 防衛側はタイルがサプライから消える心配をしなくてよくなったので、敵の侵攻具合を確認しながら配置するタイルを選べるようになり、一進一退の駆け引きを楽しむことができた。さながらタワーディフェンスを遊んでいる感じだ。

 ヴァンパイアに有効な「杭」や幽霊対策に有効なエンチャントを、ゲーム後半の必要な場面で配置できるようになったので、防衛側は攻められてから守るというプレイが可能になった。とはいえ、それらのタイルは1ラウンドにそれぞれ1個しか置けないことに変わりはないので、複数の城壁を一斉に攻められてから対策したのでは間に合わなかった。

 

 「Turn to Dust」がバランスを崩しているのかどうかははっきりと確証が持てないが、ゲームに慣れていないうちは外しておいた方がよいかもしれない。防衛側のプレイングが悪い可能性はもちろん捨てきれない。

 どこかに防衛側で勝つ方法の解説はないだろうか……

 

 しばらくはローカルルールでバランス調整して遊ぶことになりそうだ。

 

 

 

 

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