Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.07.30

先週は愛用のパソコンが破裂音と共に停止し、起動不能になるアクシデントに見舞われた。幸いにも電源ユニット以外に異常はなく、次の日には家電量販店に走って交換部品を購入。無事復活させることができた。
パソコンは私にとっていろんな創作活動やゲームを行うためのプラットフォームであり、生活の一部として存在するものだ。――そしてそこそこ高価なパーツを積んでいるので、もしそれらがサージ電流によって吹き飛んでしまっていたらしばらくショックで寝込んでいたかもしれない。。

 

ちなみにAndroidの世界では、企業の報復として屈強な鉄パイプ男がやってきてランナーの家や機材をぶっ壊そうとしてくる。怖すぎるよ。

 

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4ミートダメージ受けるから壊さないで!

 

 

無事ネットランナー会が始まるまでにパソコンを復旧できたのでいつもの環境で参加することができた。
というわけで、

ランナー側にShaper・Anarch・Criminalのいずれにも属さない少数派閥と呼ばれるID達が揃ったので、今回は彼らの特徴を紹介しよう。

 

 

強迫観念に縛られた哀れな機械人形 Adam

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《Adam: Compulsive Hacker》はプログラムされた衝動に突き動かされてランするバイオロイドのランナーだ。そのフレーバーの示す通り3つのDirective/指令をインストールされた状態でゲームを開始する。それらの指令はAdamにパワーを与える反面、彼の行動を縛るとしても機能するという、数多あるこのゲームのカードの中でも特にユニークなものだ。

 

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ゲームスタート時にゲーム外からインストールされる。デッキに入れる必要はない。

 

Adamとしてコーポに挑むプレイヤーはゲームスタート直後からインストールされているDirectiveにより、マルチアクセスや自動ドローといった恩恵を受けることになる。クレジットを稼いでカードをインストールして数ターンかけて徐々に強くなる他の全てのランナーと比べてかなり優位な点だ。ただしどのDirectiveにも大きな代償を伴っているため、これらとどううまく付き合うかという悩みを抱えることになる。自分の意志とは無関係に行動を強制させるAdamを体現した能力と言えるだろう。

 

そんなAdamだがその強迫観念とも言える思考に彼自身悩まされており、その悩みから彼を開放する手段も彼の派閥のカードとして存在している。

 

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そのハンマーで殴ったのは自分の頭か、指令を送っていた誰かなのか

 

《Independent Thinking》は自分のインストールされているカードをドローに変換するイベントだ。Directiveをトラッシュすればドロー効率は2倍。がっつりとスタックを掘り進めるその様はまさに古い自己を捨てて新しい自分を探すAdamを体現しているといえよう。

 

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不要なカードをインストールして準備しつつ…

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1クリックで8枚の大量ドロー!


ちなみにこのAdamはこのあと《Gravedigger》をインストールし――

 

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――墓荒らしになった。R&D切削*1戦法である。

なりたい自分は見つかったか……?

 

 

企業の雇われランナーかつ2児の母 Sunny

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このAndroidの世界に登場する多くのランナーは名声、富、破壊などを目的にランする無法者たちだが彼女は違う。《Sunny Lebeau: Security Specialist》はセキュリティー企業グローバルセックに雇われているランナーだ。彼女は自身の家族の生活の安定のために働き、セキュリティー向上のためにランをする。

Sunnyのテキスト欄は空で一見して派手な能力を持っていないように見える。特色と言えば影響値上限が25もあることと(これは自分の派閥のカードが少ない少数派閥のIDが持つ共通の特徴だが)リンク強度が他のランナーに比べて1か2か高いことだ。
リンク強度の数値の差はわずかだが、この2という数値にこそ彼女の強さの秘密が隠されている。

 

Cloud/クラウドのサブタイプを持つプログラムはランナーのリンク強度が2以上である限りメモリの空きを消費しないという特徴を持つ。Sunnyのアイスブレイカーもそうだ。

 

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任意の数のサブルーチンがブレイクできる点も見逃せない

 

アイスブレイカーによって本来消費するはずだったメモリに余裕ができるので、他のサポート用プログラムを同時に運用する余裕が大きく存在する。空きメモリを参照する《Data Folding》やリンク強度2以上であることを求める《DreamNet》といったリソースの恩恵も受けやすい。

リンク強度の高さにより本来の使い道であるトレースに勝つことも非常に得意だ。Sunnyのカードにはいくつか自らトレースを挑むものがあり、彼女のコンソール《Security Nexus》もその1つだ。

 

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先週のレポートで挙げた《Aumakua》で越えられないICEはこのコンソールの能力を使って迂回してしまえるので閉め出しを受けにくくなる。基礎トレース強度は高めだが、《Security Nexus》が出ている時点でSunnyの基礎リンク強度は3もあるのだ。コーポは負けるとわかっているトレースにクレジットを出したくないので、大抵の場合わずか2クレジットでどんなICEも突破できてしまう。

 

残念ながらリプレイデータが利用できなくなってしまったので画像はお見せできないが、対Sunny戦では《Aumakua》を止めることができずに敗北した。
リンク強度が高いSunnyにしてみれば、《Aumakua》他ウィルスプログラムの天敵《Macrophage》ですら紙切れにしてしまえるのだ。

あれ? Sunnyとこの亀、想像以上に相性良くね……?

 

 

 

ネットに棲むデータを壊すもの Apex

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Android世界のネットに存在する意思を持ったデジタルな存在、それが《Apex: Invasive Predator》だ。その由来や正体といったものは謎に包まれており、ランする動機も不明。ただわかっているのは、奴はデータがあればそれを食い荒らしにやってくるということだけだ。(Adamも人間でないがこいつは人型すらしていない!)

 

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全てを破壊する。相手も自分も。

 

《Apocalypse》はApexの特徴を説明するのに最もわかりやすいカードだ。発動条件は難しいが、成功してしまえばその見返りは絶大。コーポがこつこつカードをインストールして作り上げた盤面を更地する。サーバーを守っているICEだろうがトラッシュコストの高い資材だろうがお構いなくだ。
その代償としてランナーのインストール済みカードは全て裏向きになる。裏向きになったカードはタイプや名前や効果やコストといったその全ての情報を失い、ただの「インストールされたカード」になる。データを構成するバイナリがおかしくなればデータが壊れて読み込めなくなってしまうように、ランナーのカード自体も壊れて意味消失してしまうというわけだ。
ID能力ではグリップのカードをこうした意味消失したカードに毎ターン変換できる。特に何もしなくても自分の身(?)すら徐々に蝕んでしまえるわけだが、こうやって生まれる裏向きインストールカードに使い道がないわけではない。

 

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どちらもシンプルな効果。Apexに難しいことはわからない。

 

Apexのアイスブレイカーとコンソールもこれの特徴をよく表している。これの唯一のアイスブレイカーである《Endless Hunger》を見るとわかる通り、タグが付こうがダメージを受けようが「ランさえ止まらなければ他はどうでもよい」のだ。そして《Heartbeat》によって自らにまとったデータを鎧と化し、こうした無謀なランによって受けるダメージは全て防ぐことができてしまう。

なんてクレイジーなんだ! 最高にクールだぜ!

普通に考えたらインストール済みカードを燃料にするなんてものすごくコストパフォーマンスが悪いことだが、Apexなら毎ターン1枚無料で(裏向きにだけど)インストールしたり《Reboot》を使ったりとで燃料補給可能だ。《Apocalypse》もあるしね。

 

クールなApexだが、残念なことにリアル世界に縁がないせいでVirtual/仮想でないリソースをインストールできないというかなり強力なデメリットを持ってしまっている。強力なクレジットソースはリソースに集中しているため、その選択肢を大きく狭めてしまうほか、せっかくインストールしてもそのアイデンティティともいえる《Apocalypse》の巻き添えになってしまう。

Oh、、なんてクレイジー……

 

Apexはその使い辛さ故かなりの雑魚色物扱いされているが、それゆえに研究のし甲斐もあるというもの。Apex愛のこもったデッキ考察はまた別の機会に回すとして、今後のネットランナー会でもApexがやれるやつだということを示していきたいと思う。

 

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うむ、悪くない結果だ。

*1:MTG Wiki - 切削