ネットランナー会レポート 21.10.15 『好きなIDを活躍させたい』
皆さんはどのIDが好き?
私が一番好きなランナーのIDは《Rielle "Kit" Peddler: Transhuman》だ。
Rielleは日本語化された大拡張『創造と支配/Creation and Control』で追加されたカードで、私が手にした最初の追加IDの1つでもある。Shaperという派閥が好きだったのもあり、当時このID能力『各ターン最初にエンカウントしたICEはランの終了までコードゲートを得る』にとても興奮したものだ。
その大拡張は現スタンダードではかなり前にローテーションしてしまっているが、入れ替わりでSystem Core 2019、そのあとのSystem Update 2021でも登場し、ありがたいことにShaperの基本的なIDの1つとしてスタンダードに残り続けている。
初めて参加したネットランナーの大会もランナーのデッキはRielleだったし、これまでもRielleのデッキには何度も挑戦してきた。しかしここ最近強いのはCriminalやAnarchといった他の派閥。Apex等他の少数派閥も魅力たっぷりだ。Rielleを忘れてすっかり他のIDに夢中になっていた。ID一つとってもいろんなカードとの組み合わせを試せるのがこのアンドロイド:ネットランナーの良いところの1つでもある。
次は何のデッキを組もうか……とNetrunnerDBでランナーIDの一覧を眺めていたある日、ふと、しばらくRielleのデッキを組んでいないことを思い出した。
――久々にRielleを活躍させたい。
そう思い立った私はRielleの強いデッキを目指してデッキ構築を開始するのであった。
――とは言え《Rielle "Kit" Peddler: Transhuman》のデッキを組むのは意外と難しかったりする。強力なID能力を持つ代わりに影響値上限がたった10しかない。
ID能力と強力なシナジーを持つ《Spooned》は影響値を3消費するため、多く積み込めば他の汎用的な他派閥のカードを諦めなければならない。どのカードを何枚詰めるかが非常に悩ましい……。
Rielleと言えばコードゲート付与の能力。そしてコードゲート付与とシナジーがあるのはこれらのデコーダーだ。
《Engolo》は1ターンに1度だけICEにコードゲートを付与する能力を持つ。コーポがICEを2枚重ねようと1枚目はRielleの能力で、2枚目は《Engolo》の能力でコードゲートにしてしまえばこれだけで突破できてしまう。強い。
《Inversificator》はサブルーチンを全てブレイクして突破したICEの位置を別のICEと交換できる。Rielleと組めばどんなICEも1枚目はコードゲート。コーポが苦心して並べたICEを入れ替え放題だし、Rielleがコードゲートにした1枚目のICEを2枚目のICEと交換してしまえばやはり突破可能。超強い。The Classicフォーマットでは禁止指定されるほど。
この強いデコーダーたちを存分に奮い、「高々2枚のICEで計画書を守り切れると思うなよ?」と序盤からコーポにプレッシャーをかけていきたい。得点行動に移れずHQにだぶつかせた計画書を一気に盗み出したいところ。
高いインストールコストは《Compile》で踏み倒す。何もないところから急にこんな強いデコーダーが飛び出してきてICE2枚以下の守りを突破してくるのだから、コーポは相当慌てるに違いない。
もう1つ挑戦したいギミックがあったのでデッキに組み込んでみることにした。
《Insight》と《Top Hat》を用いた疑似《Khusyuk》だ。
《Insight》はR&Dのトップ4枚をコーポに並べ替えさせ、その後公開するイベント。
4枚の中に計画書があればすかさずR&Dにランして盗み取る。《Top Hat》があればコーポが計画書を上から何枚目に置こうがお構いなしだ。
《Khusyuk》と比較すると最大4枚までしかカードを覗けず、コンボには《Insight》のプレイとそのあとのランで合計3クリック必要な点で劣る。しかし、インストールが必要なのは《Top Hat》のみ(しかも0クレジット)で序盤から運用でき、ランする前に計画書の有無がわかるため余分なランをせずに済むなど、運用が非常に安く済むのは見逃せない。
《Top Hat》がなければコンボにならないので、すぐに手に入れるため3積み。《Insight》も試行回数を増やしたいので3積み。計6枚。デッキスロットが圧迫されていく……。
――といろいろ夢を詰め込んで組みあがったデッキを手にいざ勝負!とネットランナー会に持ち込んでみたものの、いろいろと反省点を残す結果となった。
《Compile》でインストールしたプログラムはそのままだとランの終わりにスタックの底に戻ってしまう。一度呼び出したが最後、次の《Compile》を使うまでスタックの中。《Compile》が引けなければ悲惨なことになる。実際なった。
リグに定着させるにはラン中に再インストールする必要があり、それができるのは《Simulchip》だけだった。枚数を増やさなければ事故の元だ。
上記が原因で《Inversificator》がリグに来ず、そうなれば《Insight》と《Top Hat》のコンボも実行不可能。これはカードの優先度を見直さなければならない。
《Compile》はうまくいかなかったが、今回用意した《Harbinger》と《Aesop's Pawnshop》のクレジットエンジンはとてもよく機能した。
《Harbinger》は3影響値使って3枚積んでいる。このプログラムはトラッシュされたあと裏向きでもう一度インストールされるので、6ターン分の《Aesop's Pawnshop》の「餌」となる。ゲームの残りのターンは《Daily Casts》や《Telework Contract》の最後の一滴を搾り取ればよいので、ほぼ毎ターン《Aesop's Pawnshop》を稼働させることができた。クレジットの不足しがちなRielleにとって大きな収穫だった。
デッキの改良はまだまだ続く。
現にこれを書いてデッキの振り返りをしている最中にも、次のRielleデッキの構想が浮かんできている。今回得られた教訓を元に、次の会でもっとRielleを輝かせてみせる。