Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.07.16

ハードな夕立にも負けず今週を乗り切ったランナー達が集まるネットランナー会。
今回行われた多くの試行錯誤と挑戦について語っていこう。

 

 

Builder of Nations

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 ICEに対してアドバンス(投資)をすることでその能力を強化する特徴を持つWeyland Consortiumという派閥。最近はBuilt to Lastというアドバンスしながらもクレジット面で優位に立つIDが追加されたが、同じデッキ下限40枚の《Weyland Consortium: Builder of Nations》だってまだまだ負けてはいない。

 

このIDの能力はアドバンスされたICEへの最初のエンカウント終了時*1に、ランナーに1ミートダメージを与えるというもの。一見地味だが、実はランナーをじわじわと苦しめるかなりいやらしい効果である。ランナーが最初にエンカウントするアドバンスされたICEが《Kakugo》のような能力を持つと想像するとその恐ろしさがわかるだろうか。ランナーがどこにランしようと、そこにアドバンスされたICEがある限り毎ターン1ミートダメージを受け続けることになる。
そして、《Kakugo》は回避が難しいその能力故に禁止カードに指定されている。

 

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通過するランナーに1ネットダメージ。まさに通りたければそれ相応の覚悟が必要だ。

 

そんな強力な能力であるが、効率よく発動するためにはどこのサーバーもアドバンスされたICEで守る必要があるうえ、それを用意するのはかなり大変なことである。アドバンスするというのは1クリックを払って1クレジットを消費するのと同義であり、ご存じの通りこのゲームでは何をするにしてもクレジットが必要である。コーポが1ターンに使えるクリックは3しかない。繰り返していればアドバンテージを失うどころかランナーを迎え撃つための準備も滞る、負担の大きいアクションである。できることならその負担を軽減したいところであるが、それを叶えるカードはまさに存在している。

 

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《Masvingo》は自身に搭載されたアドバンスカウンターの数だけ「→ランの終了」のサブルーチンを得るBarrier/バリアだ。アドバンスカウンターをたくさん置けば《Endless EULA》もびっくりな障害物に化ける。
アドバンスカウンターが0個だとサブルーチンも0個になるが、このカードの偉いところはレゾしたときに自動的にアドバンスカウンターが1個置かれるところにある。自動的に《Weyland Consortium: Builder of Nations》の効果の条件を満たすため、コーポはこれをインストールするだけでよい。あとはランナーが通りかかるのを待つだけだ。

《Oduduwa》はアドバンスできないICEだが、そのレゾコストに見合う強力な働きをするICEでもある。ランナーが 《Oduduwa》にエンカウントするたびこれの上に1つアドバンスカウンターを置き、その後これの上のアドバンスカウンターの数と同じだけのアドバンスカウンターを他のICEの上に置くことができる。エンカウント時にアドバンスカウンターが置かれるためID効果の条件を満たすうえ、他のICEにまでアドバンスカウンターを置くため、ID効果の発動に非常に貢献してくれる。

 

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《Wall to Wall》は毎コーポのターン開始時に様々なボーナスをもたらしてくれる。その中でもICEにアドバンストークンを置く効果を使えば、わざわざアドバンスしなくてもID効果を起動できるICEの数を増やすことができる。《PAD Factory》は起動するにはクリックが必要であるが、クレジットを消費せずにアドバンスカウンターを置くことができる。こちらは《Wall to Wall》と違ってインストールされたカードであればどれでもよいため(なんとランナーのカードでも可)、ICEだけでなく計画書へのアドバンスの際にも経済面で貢献してくれる。
どちらのカードも「アドバンス可能な」という制限なくアドバンスカウンターを置くことができるため、《Oduduwa》のような直接アドバンスできないICEにもカウンターを置くことができるのがミソである。

 

せっかくアドバンスされたICEがたくさん用意できたところで、ランナーにランしてもらわないことには持ち腐れであるため、ランに勤勉でないランナーの尻を叩くためのカードも用意してやるとなお良いだろう。

 

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死の宣告

 

特に《Masvingo》の前に《Oduduwa》を置いてランナーを誘い込めば、1ミートダメージのついでにICE突破のためのクレジットをたんまりむしり取ることができる。

 

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Oduduwaによって成長したMasvingo

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ランする体力が残っていない…

 

まんまと戦略に載せられた結果、終盤にはほとんどランすることができなくなっていた。完敗である。

 

 

 Jumon

デッキを用意する際、私は何かしらのチャレンジの達成を目指してデッキを組むことがある。チャレンジというのはデジタルゲームでいうトロフィーや実績の解除というニュアンスが近いのだが、例えば《Meteor Mining》で隕石をランナーに降らせてフラットラインさせるとか、

 《Lady Liberty》《Government Takeover》を得点するとか、

 

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 一見無謀に見えるロマンを追い求めるプレイングをするというものである。
チャレンジの内容は自分で決めているのでどこかにそういうリストがあるわけではないが(作ってもいいかもしれない)、今回挑戦することにしたチャレンジはこちら。

 

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《Jumon》を得点して勝つ。

 

《Jumon》とはアドバンス要求6に対して2計画点しかない計画書である。その代わりに毎自分のターン終了時にサーバー内にインストールされたカードにアドバンストークン2個を置くことができる。得点することでクリックもクレジットも消費しないのでサーバーを守ったりクレジットを稼ぎながらアドバンスカウンターを稼げるようになる超強力なカードである。1枚得点しさえすれば勝ちは確定したようなものだ!

 

――と思いたいところだったが今回はうまく振るわず、残念ながらチャレンジは失敗に終わった。

 

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3クリックでカードをインストールしたうえ3アドバンスできる

《Saraswati Mnemonics: Endless Exploration》はまさに《Jumon》を得点するためのような能力を持っている。このID能力を使えばインストールしつつアドバンスカウンターを置けるため、1ターンで計画書をインストールしつつアドバンスカウンターを3つ置いた状態にできる。次のターンで3回アドバンスすれば2ターンで得点できるというわけだ。
しかしこのID能力を使った場合、次のコーポのターンまでインストールしたカードはレゾも得点もできなくなる。《NGO Front》とは相性が悪い。2ターンで6アドバンス要求の計画書を得点できるとはいえ、3アドバンスもされたカードを守り切れなければ3クレジットと3クリックまるまる損することになる。なかなかにリスキーだ。

3アドバンスされた怪しいカードをランナーから守るためには強力なICEでランナーを牽制し、《Urtica Cipher》のようなカードの存在を匂わせておく必要があるだろう。

 

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アクセスで2ネットダメージ。アドバンスカウンター毎に追加1ネットダメージ。


どうせならより大きなダメージが出る《Project Junebug》が欲しいところだが、ローテ落ちしてしまっているので採用できない。残念。

 

対戦ではなんとかランナーの隙を突いて得点するところまでこぎ着けたものの、その後無料でアドバンスカウンターが増えるという利点を活かせず。

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無料でアドバンスできても守り切れなければ意味はないのだ

 

《False Flag》を安全な得点源にするという作戦だったが、それでは時間がかかりすぎてランナーが準備を整えることを許してしまったのだ。

 

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3計画点になるかわりに7アドバンスも必要

またいつかチャレンジするときは別の作戦を考えて臨みたい。

 

 

ではまた来週。