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ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 22.03.18 『強力なアイスブレイカーとの戦い方』

 アンドロイド:ネットランナーというゲームにおいてランというのはランナーにとってもコーポにとっても最もドキドキする瞬間の一つ。それが計画書がインストールされた遠隔サーバーへのランであれば尚更である。コーポはランナーのリグ――つまりインストールされたカード――を眺め、ランナーの所持クレジットと守りの突破に必要なコストを比較し、入念な準備のもと――ときには不意を突いて――計画書の得点を企てるし、ランナーはコーポがいつ行動を起こしても対応できるように隠し玉を用意し、コーポの予想を裏切る準備をする。その時がくれば両者の秘策が激しくぶつかり合うのだ。

 

 ランナーに計画書を盗まれたくないコーポはどのように対策するだろうか?

 まずICEで守りを固める。ランナーは対策なしにそれを突破できず、アイスブレイカーが揃うまでは十分な時間稼ぎになる。ランナーが対抗策を用意してきたらICEの役目はランナーにクレジットの負担をかけることにシフトする。ランを終了したり計画書を盗むことを妨害するのは強化/Upgradeの役目となる。突破するのに複数回ランが必要ともなればその分必要コストは2倍にも3倍にもなるわけだ。

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Standardで今暴れている強化カードといえばこれ

 

 今回のカードプールにはランを強制終了するような強力な強化は含まれていない。計画書を盗むのに追加コストを課す《Strongbox》と《Red Herrings》は存在するもののこれらは他のカードとシナジーを発揮してこそ効果があるというもの。さらには計画書を盗まずに掻っ攫っていく厄介なカードも存在しているので、そもそも計画書をランナーに触れさせたくない……。

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アクセスしたら盗まずにこれに搭載。あとで得点化できる。

 

 ……となるとやはりICEで勝負するしかない。強力なICEで守りを固め、ランナーに突破しようという気を起させないような強固な壁を築くのだ。

 

 本来なら対戦画面のスクリーンショットを貼りながらどんな感じの対戦だったか説明するのだが、Jinteki.netの不調でリプレイデータのダウンロードはおろかリプレイの再生もできないのでスクリーンショットをお見せできない。残念だ。

 

 

 相手のランナーIDは《Kate "Mac" McCaffrey: Digital Tinker》。Core Setに収録されている一番最初のShaperだ。

 対するこちらのコーポIDは《Weyland Consortium: Building a Better World》。やはりCore Setに収録された最初のWeyland Consortium ID。手堅いICEといえばやはりこの企業のイメージがある。

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 Core Setに収録されているWeyland Consortiumの強力なICEの代表格といえば《Hadrian's Wall》そして《Archer》。

 《Hadrian's Wall》は《Pharos》が存在する環境ではやや時代遅れな印象があるが、それでも分厚い壁であることには違いない。高い強度はアイスブレイカーでの容易な突破を許さない。……《Laamb》さえ存在しなければかなり頼れるICEたりえただろうが。

 この白い腕はコーポが10クレジットかけてレゾしたこのICEをたった5クレジットで突破してくる。おまけに1ターンに1度だけサブタイプにバリアを付与する能力持ち。驚異の突破力に加え必要影響値がたったの2なのでどの派閥でも採用は容易く、どのランナーにもほぼ間違いなく採用されるだろう。

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Paperclipとどっち使うか悩むくらい強いフラクター。
影響値が高ければStandardで禁止されなかったかもしれない。

 ついでに対となる《Engolo》まで揃っている。強度の高いコードゲートも易々と突破されてしまうことは想像に難くない。となればやはり頼るべきはセントリー/Sentryだ。

 《Archer》はレゾに一苦労する代わりに高い強度と強力なサブルーチンを持っている。ランナーのプログラムを2枚もトラッシュできるうえランの終了までこなす万能選手。これほど頼りになるICEは他になかなかない。デレゾされると泣きそうになるけど。

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リンゴを貫く矢のイラストがかっこいい

 これで憎き《Laamb》と《Engolo》を吹き飛ばしたくないか? 私は吹き飛ばしたい。

 

 対戦が始まってすぐランナーのリグには《Magnum Opus》がインストールされ、クレジットを一気に押し上げる。早いタイミングで《Laamb》も登場し、ICE1枚では最早計画書を守ることはできなくなってしまった。《Laamb》だけで突破されないよう、バリア以外のICE2枚以上で得点用遠隔サーバーを築く必要がある。

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アドバンス数によってスタイルを変える

 この状況で頼りになったのは《Changeling》だった。このICEの上のアドバンスカウンターが奇数個であれば自身のサブタイプを変更。1アドバンスしておけば『ランの終了。』を持ったバリアからセントリーに早変わりするのだ。しかも高い強度のおかげで《Laamb》がこれ1枚を突破するのに合計7クレジット(サブタイプ付与に2、強度変更に3、ブレイクに2)もかかる。突破されてしまうにしてもランナーの財政に大ダメージを与えられる。

 

 《Changeling》を遠隔サーバーを守る3枚目のアイスとして最外殻にインストール。既にセントリーである《Surveyor》も同じサーバーを守っているので《Laamb》だけで突破するのは骨が折れるぞ!

 

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Laambが腕なのに対しこちらは脚

――と思っていた矢先に《Engolo》まで登場。同様にサブタイプを付与する能力を持っているので、クレジットさえ十分にあれば《Laamb》と合わせてどんなICEが来てもぶち抜かれてしまう。《Magnum Opus》のおかげでランナーの資金は潤沢。さてどうする……?

 答えは既にサーバー内にインストールされていた。

 

 《Laamb》と《Engolo》は1ターンに一度だけそれぞれICEにバリア、コードゲートのサブルーチンを付与して突破することができる。つまりセントリーを突破できるキラーのアイスブレイカーを持っていなくても、セントリーとのエンカウント2回までならサブルーチンを付与して突破できるということだ。

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セントリー2枚までなら突破されてしまう

 セントリーを3枚用意すれば突破されない……と口で言うのは簡単だが、そのプランはあまり現実的ではない。

 ならば発想を変えよう。ようはセントリーと3回エンカウントさせればよいのだ。

 

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ランナーが通過したICEを同じサーバーの任意のICEと入れ替える領域強化

 《Mumbad City Grid》を使えばそれは可能だった。《Laamb》も《Engolo》もサブタイプを付与する効果はエンカウントの間だけ。エンカウントが終われば付与したサブタイプが消えるのがポイントだ。

 最外殻(1枚目)の《Changeling》をランナーが突破したあと、次にエンカウントするのは2枚目のICEと位置が入れ替わった《Changeling》。これを突破したとしても次にエンカウントするのはやっぱり《Changeling》。3度目のセントリーとのエンカウントにランナーは文字通り手も足も出まい!

 

 無事守りきって得点したのは《Priority Requisition》。得点用遠隔サーバーにインストールされていた大型バリアICEの《Bulwark》をレゾする。《Changeling》と場所を入れ替わったので今は最外殻にある。

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普通なら突破にすごくクレジットが必要だが、Laambだと5クレジット。あぁ無常。

 ランナーはさらに《Engolo》をインストール。リグには《Laamb》と2枚の《Engolo》が並んでいる。もはや先ほどの作戦は通じない。

 私の経験が、HQには計画書が溜まり始めたこの状況でこのまま悠長に新たなセントリーのICEがドローされるのを待つことは危険だと警報を鳴らしていた。リスクはあるが得点を進めなければならない。

 

 計画書をインストールしてアドバンス。遠隔サーバーを守っているのは最外殻から順に《Bulwark》、《Changeling》そして非レゾ状態の《Surveyor》。《Mumbad City Grid》はなおも起動中だ。

 この守りを突破する自信のあるランナーは計画書目掛けてランしてくる。《Laamb》にすれば《Bulwark》は《Wall of Static》と変わりないし、セントリーに2回エンカウントしても突破できるはずだと。

 

 ランナーが《Bulwark》にエンカウントする直前、異変が起こった。《Bulwark》の強度が急激に上昇している。

 

 

――まさか、なぜ!?

 

 

 サーバーにインストールされていた1枚のカードがレゾされたのだ。

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選んだICEの強度を払ったクレジット分だけ上昇させる

 《Corporate Troubleshooter》の効果によりコーポは12クレジットを支払い、《Bulwark》の強度は8から20に上昇した。《Laamb》で突破するには基礎強度2から強度を18上げ、サブルーチンをブレイクしなければならない!

 強度20の《Bulwark》の突破に11クレジット。ランナーが使えるクレジットは25。《Mumbad City Grid》が機能してる状況でこのICEとのエンカウントはランナーを追い払うのに十分な絶望感を与えることができていた。

 見たか! これがICEの力だ!! Archer》の出番は!?!?

 

 

 再びサーバーを守り切って計画書を得点したものの、ゲームを終了するのに必要な得点に届いておらず、この後R&Dから計画書を盗まれて敗北。直前に得点する計画書を3点のものにしておけば勝っていたのでかなり悔しい負け方をした。

 しかし、強力なICEでランナーを何度も唸らせることができたし、再録されて現在のStandardフォーマットでも使用可能な《Corporate Troubleshooter》の可能性を見出すことができたので、非常に満足度の高いゲームでもあった。

 

 

 来週からは新カードを試すため再びStandardフォーマットに戻る。新カード楽しみ!

 

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ネットランナー会レポート 22.03.11 『Breaking News』

 AshesサイクルとSystem GatewayそしてSystem Update 2021の日本語版が我が家に届いた。シュリンクを割いてカードを手に取り、その色鮮やかさに目を輝かせる。

 中身は全て決まっているので、トレーディングカードゲームのようにパックを剥いてどんなカードが入ってるんだろう!?という類のワクワク感があるかけではないが、しかし新しいカードを手に入れるっていうのはいつだって人を興奮させる。

 これらのカードはスリーブに詰められ、これらを手に入れるまで代わりに使用されていたプロキシ*1と入れ替わるようにストレージの中に収納される。出番のあるその時まで。最近はオンラインでしか遊べていないが、リアルで遊ぶ会を再び開ける日が来るだろうか……。

 

 

 RAMフォーマット5番目のカードプールにはCore Set、つまり最も最初にリリースされたアンドロイド:ネットランナーの基本セットが含まれる。基本セットなだけあってどの派閥もデッキが構築できるだけのカードが揃っているしData and Destinyもあるから少数派閥のデッキも組める。さあてどの派閥で遊ぼうか……。

 コーポのデッキを組むときはランナーが何をしてくるか、ランナーのデッキを組むときはコーポが何をしてくるかを想定してデッキを組む。メジャーなフォーマットであればそれぞれにどういった戦略が存在するか、何に注意しておくべきかは経験から知ることができるが、毎回カードプールが変わるRAMフォーマットだとそうはいかない。まずはカードプールを眺めてそれぞれ何が得意そうかを知るのだ。

 まず目についたカードはCore Setの《Breaking News》。一時的にタグを与える計画書だ。インストール・アドバンス・アドバンスで得点してもタグを利用する間もなくターンが終わってしまうが、工夫して使えば問答無用に与えたタグでそのターンの間ランナーを好き放題にできる。具体的には《Closed Accounts》でランナーの預金を吹き飛ばしたり《The All-Seeing I》でリソースを全て吹き飛ばしたり《Scorched Earth》でランナーのグリップを吹き飛ばしたりなどなどだ。

 

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 一時的にタグを与えるこの能力は2つの異なる能力で成り立っており、タグを与えるのは得点時の能力、タグを剥がすのはターン終了時の能力として別々にトリガーする。ターン終了時に失われるタグを与える効果ではないのがミソだ。タグを与えたあとこのカードが能力を発揮できない状態になっていれば……? ターンが終了してもランナーはタグを失わない。一時的にタグを与えると言ったな。あれは嘘だ。

 《Breaking News》の能力が有効であるのはコーポの得点エリアにある間。なんらかの方法でここから取り除いてしまえば能力を無効化できる。候補としては計画書を放棄/Forfeitする《Ibrahim Salem》と《24/7 News Cycle》があげられる。どちらも強力な効果を持っているため使いやすさで選ぶことにした。《Ibrahim Salem》を使うにはこれを事前にインストールしておかなければならないが、《24/7 News Cycle》は先に《Breaking News》が得点されていればよいので使い勝手が良さそうに思えた。《24/7 News Cycle》は計画書の得点時効果を発動するので、《Breaking News》の2タグを与える効果だけを更に発動もできる。ランナーはタグまみれだ。

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能力を起動する計画書のほかに放棄する計画書も必要なので注意

 実は一番使いたかったのは《Exchange of Information》だった。《Breaking News》の得点と同時にこれのプレイ条件も満たし、ランナーの得点エリアの計画書(狙い目は《Global Food Initiative》)と交換してやれば、勝利に大きく近づきつつタグも押し付けたままにできる――のだが今回のカードプールにはないのでまたの機会に。

 

 こんなに簡単にタグを与えられるのだ。あとはCore Setが誇る最強の任務《Scorched Earth》でランナーを吹き飛ばせば勝ち。

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これ1枚で4ミートダメージ

 なんてちょろいゲームなんだ! デッキを組んだ時はそんなふうに思っていた。……しかし現実はそんなに甘くはなかった。

 

 

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ランナーのリグ

 あまりのアイスブレイカーの貧弱さに悲鳴を上げていた前回のカードプールとは打って変わり、今回のカードプールのアイスブレイカーはめちゃくちゃ強力。どんなICEも1枚は確実に突破する《Engolo》に睨みをきかされ、《Breaking News》をインストールしてターンを渡すなどとてもできない状況。おまけに《No One Home》までインストールされている。タグが容易に飛んでくることを見越した対策カードだ。ちくしょう! しっかり対策されてしまっている!

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ネットダメージとタグのいずれかをトレースで打ち消せる

 トレースに勝てさえすればタグは付くのでまだチャンスはある……と思いきや、《Data Dealer》で次々と9クレジットに替えられる《Fan Site》たち。《Fan Site》はコーポが計画書を得点すると0点の計画書になるので、得点機会の多いコーポ相手には良く刺さる。タグを与えようとしたらクレジット源を提供してしまいピンチに陥ってしまった。

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 《Scorched Earth》でミートダメージを与えて勝つつもりが完全にその機会を逃し、そうでなければ得点して勝たねばならないのでこれ以上計画書を《24/7 News Cycle》のために放棄するわけにもいかないので、途中から完全に戦略が崩壊。HQに抱えた《Global Food Initiative》を得点できないままズルズルと攻められ続けてしまった。

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GG

 

 ランナーのメタ読みが刺さりコーポの戦術は封殺されてしまった。お見事。

 《No One Home》の存在を見ないふりしてタグに依存したデッキを作ったことが完全に敗因だったように思う。う~~む、くやしい。

 NBNは2/1計画書を4枚も使えるので、得点時効果を上手く使って戦える工夫をもっと増やすべきだったかもしれない。ランナーにも同じことは言えるので利用されないように注意は必要ではあるが……。《Spoilers》とか。

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 また来週。

 

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*1:紙に印刷したカードの代わり

ネットランナー会レポート 22.03.04 『対アセットスパム戦線』

 コーポもランナーも互いにクレジット不足が懸念されたRAMフォーマットの今回のカードプール。ランナーに至ってはアイスブレイカーの品揃えも貧弱という過酷な環境。一体どのように克服したデッキを組んでくるのか。注目の2週目の開幕。

 

 コーポの戦略の中心となったのはアセットスパム資材/Assetを大量に並べる戦略からこう呼ばれる。大抵の資材はレゾコストよりトラッシュコストの方が高いので、ランナーにトラッシュさせるだけでその分クレジットに差ができる。その資材がクレジットを生むのなら放置してもやはりクレジット差が広がる。どちらを選んでもコーポの方がクレジットが多くなる理不尽な選択を迫るわけだ。

 今回アセットスパムが選ばれる理由はクレジットを稼ぐために《Mental Health Clinic》を並べなければならないことが大きな要因になっているように思う。任務/Operationでクレジットを稼ぎづらいのでこういった資材に頼らざるを得ない。

 《Tour Guide》もアセットスパムを誘因する大きな存在だ。資材がたくさんレゾされていればいるほど強くなるこのICEはこの環境において非常に輝ける存在になりえた。なんせアイスブレイカーの選択肢がイマイチすぎたからね。

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 アセットスパムをどのIDで運用するかだが、カードプールの兼ね合いで選択肢はWeyland ConsortiumかJintekiの2つの派閥に絞られる。Weyland Consortiumなら《Gagarin Deep Space: Expanding the Horizon》で決まり!

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遠隔サーバーアクセスに追加コスト。アセットスパムのために生まれてきた。

 

 実際どちらの派閥もうまく機能していた。Weyland Consortiumはカウントダウン後に4ミートダメージを飛ばす《Urban Renewal》を《Team Sponsorship》で繰り返し再インストールしてランナーをグリップ面でもクレジット面でもじり貧に追い込んでいく。クレジットが減ったランナーには《Hard-Hitting News》によるきついお仕置きが待っており、《Dedicated Response Team》が迂闊なランを許さない。

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例えランナーを倒せなくてもReconstrucion Contractのアドバンスカウンターが稼げる。

 

 Jintekiは《Mushin No Shin》で《Reconstruction Contract》にアドバンスカウンターを貯めてファストアドバンスが狙えた。特に《Komainu》には注意が必要で、グリップのカードの枚数だけ「1ネットダメージを与える」サブルーチンを解決して手札がすっからかんになったあと《House of Knives》で追い打ちされるとそれだけでフラットラインしてしまう。

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ランナーが一番で会いたくないタイプの番犬

 レゾされるまでどんなICEがそこにあるかわからないのがこのゲームの基本的なところ。どんなICEが飛び出すかドキドキするね。即死の恐れがある場合は特に。

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どこにKomainuが潜んでいるかわからない間が一番怖い

 

 

 

 ランナーサイドはクレジット収入が比較的マシなAnarch、その中でも特にアセットスパムに強い《Valencia Estevez: The Angel of Cayambe》が人気だった。悪評/Bad Publicityは毎ラン自由に使えるクレジットを生むので《Gagarin Deep Space: Expanding the Horizon》みたいなIDの天敵である。私が選んだのは実は《Null: Whistleblower》だったんだけどね。

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強い能力の代償にデッキ下限は50枚

 中央サーバーを攻めることに特化したCriminalと違い、《Gagarin Deep Space: Expanding the Horizon》のようなアセットスパム型のデッキと戦うことも意識しないといけないOrder and ChaosセットなだけあってAnarchにはそれができる武器がもともと多く用意されている。

 資材を多く積むためにICEの枚数が少なめになるアセットスパムはその分1つ1つのサーバーの守りは薄くなる――もしくは全くない。コンソールの《Maw》はこの状況下で最大限の力を発揮する。ICEで守られていない資材まみれなのでアクセスし放題だ。

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アクセスしたカードを盗んだりトラッシュしなければコーポの手札1枚ランダムトラッシュ

 毎ターン1枚だけトラッシュされるというのは想像以上にきつい。あとで使おうと思っていた任務ならまだしも、隠し持っている計画書だってランナーすら知らないうちにトラッシュされることがある。

 これに対抗するためにHQのカードが0になるように常にカードをインストールし続けるようにプレイしてみたが、今思えばそんなに意味はなかったように思う。ただ計画書がランダムトラッシュに巻き込まれる前にICEの後ろにインストールする必要があった。

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この状況だと50%の確率でHQから計画書がトラッシュされてしまう。ピンチ。

 

 ICEに対する解答も存在する。Standardフォーマットでは禁止になっていた凶悪なやつだ。

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主にApocalypseとのコンボに使われる印象

 《DDoS》は最外殻*1のICEのレゾを封じ、その効果はターン終了まで継続する。ICEの数が少ないアセットスパムにとってICEのレゾ自体を禁止されるのと同義。《Maw》による攻撃に焦って守りの薄いサーバーで得点を急げば《DDoS》でかっさらい。《DDoS》を警戒してICEを待てばその間《Maw》の脅威に晒される。

 えげつないコンボだ。なぜ私はこのカードを採用しなかったのか……!

 

 

 最後にアイスブレイカーの話を。今回私がデッキに採用したのは《Yusuf》、《Study Guide》そして《Puffer》。

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色物ばかりが揃った

 《Yusuf》は特殊だが性能は悪くないフラクター。というか対抗馬は《Breach》しかない状態。これとの二択なら迷わず《Yusuf》だった。《Ankusa》はコストがかかりすぎる。

 《Study Guide》は強くなるまでにかなりの投資が必要になるデコーダー。なんの対策もなしに運用するにはコストがかかり過ぎる気はするが、それでも中央サーバーでしか使えなかったり《Leviathan》のような過剰な力を運用するよりかはマシに思えた。仮想敵は《Turing》だったからだ。

 《Puffer》はクリックで基礎強度を増やせる唯一のアイスブレイカー。同時に使用メモリー量ももりもり増えていく。メモリー上限を無視できるカードの上にインストールできればそのパワーを遺憾なく発揮できるが残念ながらこのカードプールにそんなものはなかった。
 前回の記事でも書いたようにこのカードプールにキラーはCriminalにしかない。これと、中央サーバーでしか使えない《Alias》と、使い捨ての《Faerie》だ。《Faerie》の性能は非常に優秀なのだが、使い捨てである以上他にも用意が必要だが、そんな余分な影響値は残されていない。消去法で《Puffer》だけが残った。

 強度を上げるのに難のあるアイスブレイカーを採用することが《Null: Whistleblower》を選んだ理由だったりするわけだ。

 

 AIアイスブレイカーに良いものはなかったのか? 我々には《Darwin》と《Overmind》という2つの選択肢があった。しかしどちらも完全に頼るには致命的と言える弱点を抱えていた。今回のカードプールで最も警戒する必要のある《Tour Guide》と《Komainu》のようなサブルーチンをたくさん持つICEの相手が苦手すぎるということだ。

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 ただ苦手だからといって全く役に立たないわけではない。対《Komainu》を相手にしたときそれを痛感した。十分な数のサブルーチンをブレイクできなくとも、少なくともその即死コンボからは逃れることができる。

 デッキに1枚だけの《Puffer》を引くか(引けなかったけど)、《I've Had Worse》を引いて即死を回避できるようになるまで未レゾのICEに挑めずロック状態となってしまっていたので、特にアイスブレイカーの数もサーチ手段も用意できない環境では中継ぎ手段を用意することを忘れないようにしておきたい。

 

 

次のカードプール

Large releases
- Core Set
- Data and Destiny

Small releases
- Fear and Loathing
- The Spaces Between
- Up and Over
- The Underway
- Old Hollywood
- Kala Ghoda
- Fear the Masses
- Intervention
- Daedalus Complex
- Council of the Crest
- Whispers in Nalubaale
- Kampala Ascendent

 

 Core Set参戦。初期の強いカードが飛び交う激しい応酬が予想される環境だ。

 Midnight Sun Booster PackがJinteki.netに実装されたらStandardもやりたいね。

 

 

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*1:サーバーの最も外側を守る位置

アンドロイド:ネットランナー Midnight Sun Booster Spoiler 後編

 NISEIが次にリリースする予定のアンドロイド:ネットランナーの拡張Borealisのセットの1つ、Midnight Sunが先行体験できるBooster Packの残りのカードが公表された。

nisei.net

 

 これでMidnight Sun Booster Packで追加される7つのカード全てが出揃ったことになる。Print and Playは既に可能。Jinteki.netでも近いうちに遊べるようになる予定のようだ。

 

 以前公開されたカードの紹介はこちら。

diesel.hatenablog.jp

 

 

 では早速追加されたカードを見ていこう。

 

 

Azef Protocol

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Azef Protocol

 Weyland Consortiumに与えられた新しい3/2計画書。

 3/2計画書といえば優れた効率に対してバランスをとるため、一部の例外を除いて追加アドバンスしなければ特に効果のないものがほとんど。その点新しいカードである《Azef Protocol》は得点時に2ミートダメージを飛ばす有利な効果を持っている。この計画書を見逃して得点を許すと2計画点に加えて手札を吹き飛ばされるペナルティも課されるのはなかなかつらいものがありそうだ。

 ただし有利な効果に対するバランスとして、得点するために「自分の他の*1インストール済みカードをトラッシュする」という追加コストが課せられている。ゲーム後半であればあるほどこの追加コストの負担は軽くなっていくが、逆に守りが薄く余分なカードが少ない序盤で得点するにはかなりカードを上手くやりくりする必要があるだろう。特に《Leela Patel: Trained Pragmatist》を相手にしているなら――Standardに彼女が復帰することがあるのならだけど――彼女のID能力と合わせて一気に2枚も盤面からカードを失うことになる。守りや経済基盤が崩壊しないように注意が必要だ。

 カードのイラストは激しく黒煙を上げ燃えながら沈むタンカーが印象的。その下の部分にはなにやらイカビークルも描かれている……のだがカードテキストでほとんど隠れてしまっている。見えないなんてもったいない!

 

 

Anemone

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Anemone

 JintekiからはICE セントリー/Sentry《Anemone》が参戦。うーんとってもJintekiらしい!

 サブルーチンだけ見ればなんの変哲もないICEだが、《Ping》同様レゾ時効果を持っている。対応できるアイスブレイカーをインストールしていようが、サブルーチンを全てブレイクできるだけのクレジットを持ってようが、そんなの知ったこっちゃない。2ネットダメージだ!

 《Kakugo》と《House of Knives》とこれを組み合わせれば、サブルーチンの解決なしに相当数のダメージを稼ぐことができてしまう。今まであれば《Snare!》へのアクセスを警戒で3枚以上のカードをグリップに握った状態でランするのが常識であったが、《Anemone》の警戒も必要となれば2枚追加して5枚のカードを握っていないと安心してランできない……という時代がやってくるのかもしれない。

 エンカウント時能力もサブルーチンの解決なしに実行されるので強い効果とされているが、レゾ時効果はそれの更に先を行く、エンカウントしなくても解決する効果。エンカウント時に迂回しようとトラッシュしようと、そのときすでに仕事は終えている。ランナーにとっては非常に対処が難しい存在と言えよう。

 インストールしてから1回しか起動しないのでトラップ/Trapと似た性質であるともいえる。《Divert Power》のようなカードでぜひ使いまわしてみたい。

 

 

Light the Fire!

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Light the Fire!

 で、でたーー!!

 トリを飾ったのはAnarchのカード。《Singularity》よろしくサーバーの中身をコストなしに全部トラッシュするばかりか、このラン中はサーバー内のカード効果を全て無効化する。最近Standardで幅を利かせている《Manegarm Skunkworks》も《Anoetic Void》もこれには無力。《NGO Front》もクレジットの持ち逃げはできない。《Interdiction》と似た効能もあると言える。

 《Stimhack》ほど万能であるとは感じないが、それでもサーバーに付与された効果を無効化できるのは超強力。サーバーの中で待ち受けるのが計画書なのかそれとも待ち伏せ/Ambushなのか、盗むためのコストやトラッシュコストが足りるかを気にする必要がなくなるので、多くのゲームで活躍できるポテンシャルを感じる。影響値が許すならAnarch以外の派閥でも積んでおきたくなるだろう。この強さに対しては1ブレインダメージなど些細なコストだろう。

 

 ……こんなに強くて大丈夫か……?

 

 

 

 Anarchのインパクトに比べると、追加カードがアイスブレイカーだったCriminalはかなり地味な印象を受けてしまうが、今回公開されたのはたったの7枚。Midnight Sunの極々わずかに過ぎない。他にもエキサイティングなカードが追加されるであろう本リリースをゆっくり待ちながら、新しいカードの研究を進めていくとしよう。

ネットランナー会レポート 22.02.25 『カードの欠乏』

 Midnight Sun Booster PackのSpolier記事を書いてから、既に公開されているWeyland Consortiumのカードがあったことを思い出した。まあいいや、AnarachとJintekiのカードが公開されたタイミングでしれっと混ぜて紹介しちゃおう……

 

 RAMフォーマットのカードプール抽選4つ目の結果は、Large Releasesとして名誉と利潤/Honor and Profit大拡張とOrder and Chaos大拡張という基本セットを含まない組み合わせになった。デッキを構築するうえで必要となるような基本的なカードがないので、ほぼ全てのランナーデッキに含まれるであろう《Sure Gamble》も、ほぼ全てのコーポデッキに含まれるであろう《Hedge Fund》もない。なんてこった!

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 これらはゲーム開始時の手札にあると嬉しいカードだが、他にクレジットを得るカードがあれば代替は利くのだ。代替となるカードがあれば、だが……。そう、問題は代わりになるカードもないのである。

 イベントで瞬時にクレジットを稼ぐカード自体はいくつかあるが、どれも一筋縄ではいかない。《Calling in Favors》はコネ/Connectionリソースを予め並べておかねば収入は見込めず、《Queen's Gambit》はアドバンスカウンターをコーポに貢ぐギャンブル付きで《Day Job》はクリックを使い切ってしまうのでそのターン他に何もできない。《Lucky Find》は中立でそこそこ使いやすそうなカードに見えるが1枚につき影響値2を要求すると、どれもこれも癖のあるものばかり。クレジット源となるリソースもそれほど種類が種類がない。

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2クリックで6クレジットの稼ぎなので効率は良い方

 コーポにしても同様で、使うタイミングを選ばない任務は《Medical Research Fundraiser》と《 Restructure》くらい。継続的な収入が期待できる資材・強化は《Mental Health Clinic》と《Expo Grid》だけ。《NGO Front》があるだけマシだと考えるべきか。

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Offworld Officeの代わりになりそうな計画書はある

 

 ランナー側には更に深刻な別の問題が存在していた。他の大拡張かもしくは基本セットのいずれかであればこうはならなかったが、不幸にもこのカードプールにはそれが起きてしまったのだ。

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 名誉と利潤/Honor and ProfitはCriminal(とJinteki)がメインの拡張。CriminalといえばHQ(手札)を攻めるのが得意な派閥で、この大拡張ではコーポのHQを攻め立てることに特化しそれを猛烈にプッシュしている。――というよりほとんど中央サーバーを攻めることしかできない。

 収録されているアイスブレイカーは《Alias》、《Breach》そして《Passport》。どれも安くてコストパフォーマンスにも優れるが、ある重大な問題を抱えている。遠隔サーバーを守っているICEには使用できないのだ。遠隔サーバーの攻略には一応《Overmind》が使えないこともなさそうではあるが、これはどちらかというと早期にランを安全に仕掛けるためのプログラムのように思える……。

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こんな変わり種も一応収録されている

 

 Order and ChaosはAnarch(とWeyland Consortium)がメインの拡張だがこちらの方は更にぶっとんでいる。なんとアイスブレイカーがたった1種類しか収録されていないのだ。えぇ……。

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食器を上手に使ってICEを食らいつくす口

 この《Eater》というカード、1つでもこれを使ってサブルーチンをブレイクしてしまうと、そのラン中には一切カードにアクセスできなくなってしまう。ICEを突破する能力はAIとしては癖がなく使いやすいものであるだが……。

 これ1つでどうやって戦うのかというと、同セットには対応するICEをトラッシュするイベント《Forked》、《Knifed》そして《Spooned》という3種の食器が用意されている。ICEを全てトラッシュしてしまえば《Eater》を使わなくてもカードにアクセスできるぞ! ……ヘイ、それは本当に現実的なのかい?

 大拡張には期待できないならばデータパックに期待するしかない!――としたいところだったが、キラー/KillerがCriminalにしかないのはまだ良い方で、フラクター/Fracterが上記の《Breach》の他に《Ankusa》しかなかったりとなかなかの不作具合。

 

 とにかくあらゆるものがない!ない!ない!なカードプール。ないないとはいえ大拡張にはそれぞれその収録カードだけで構築済みデッキがいくつか用意されているものなので、デッキが作れないわけではないのだが、それでもやはりデッキを組むには非常に苦労することになった。

 

ランナーのデッキ

Mill Friends RAM04-1

Laramy Fisk: Savvy Investor

 

Event (14)
3x Calling in Favors
3x Deuces Wild ●●●
1x Feint
3x Fisk Investment Seminar
3x Legwork
1x Mad Dash

Hardware (1)
1x Logos

Resource (22)
1x Bhagat ●●●●
2x Data Leak Reversal ●●
3x Fall Guy
1x Film Critic ●
1x Human First ●●
3x Kongamato ●●●
1x Lewi Guilherme
1x Mr. Li
2x Paparazzi
1x Security Testing
1x The Black File
3x Tri-maf Contact
2x Wireless Net Pavilion

Icebreaker (6)
2x Alias
2x Breach
2x Passport

Program (3)
3x Grappling Hook

 

15 influence spent (max 15, available 0)
46 cards (min 45)

 遠隔サーバーの攻略ができないなら、中央サーバーへのランだけで勝ったらあ!という意気込みで作成したデッキ。《Fisk Investment Seminar》でR&Dを削りつつ、HQに溜まった計画書を《Legwork》でごっそりいただこうという戦略だ。3種のアイスブレイカーは中央サーバーの攻略にしか使えないので遠隔サーバーにインストールされた計画書には手も足も出ない……が、《Grappling Hook》と《Kongamato》で1、2枚くらいのICEなら突破できるんだぞ!とコーポを威圧するのは忘れない。

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互いの弱点をカバーできるコンビ

 コネ/Connectionリソースが大量に含まれているのは《Calling in Favors》でクレジットを稼ぐためだったが、これでクレジットを得るまでの支出に溺れる結果に。特にコーポの手札上限を下げて苦しめるために採用した《Lewi Guilherme》への継続的な支払いは貧乏なランナーの動きを完全に停滞させることとなった。

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クレジットがなさ過ぎてクレジットのために20回もクリックを使ってしまった

 

コーポのデッキ

Psi Grinder RAM04-1

Nisei Division: The Next Generation

 

Agenda (8)
3x Medical Breakthrough
1x Philotic Entanglement
1x SSL Endorsement
3x The Future Perfect

Asset (14)
2x Gene Splicer
2x Genetics Pavilion
2x Hyoubu Research Facility
3x Mental Health Clinic
3x NGO Front
1x Synth DNA Modification
1x Tenma Line

Operation (11)
1x Genotyping
3x Housekeeping ●●●●● ●●●●
3x Mushin No Shin
2x Restructure
2x Voter Intimidation

Upgrade (4)
3x Caprice Nisei
1x Oberth Protocol ●●●●

Barrier (3)
3x Kakugo

Code Gate (3)
3x Quandary

Sentry (6)
3x Chrysalis
2x Komainu
1x Tour Guide ●●

 

15 influence spent (max 15, available 0)
20 agenda points (between 20 and 21)
49 cards (min 45)

 Weyland Consortiumを使うよりクレジットが稼げそうだという理由でJintekiを、その中でもIDでクレジットを稼げる(かもしれない)《Nisei Division: The Next Generation》を選択。無茶苦茶強いランの妨害能力を持つ強化《Caprice Nisei》とも相性良いしね!

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Psiゲームして一致しなかったらランの終了。無慈悲。

 目指したのはじわじわとしたダメージ。 《Kakugo》によるダメージはもちろん、現状/Currentの《Housekeeping》でもグリップをとことん削らせる。グリップに大量にカードを抱えたら《Komainu》で懲らしめてやれ!

 遠隔サーバーを攻めづらいこの環境で《Caprice Nisei》は完全にオーバーパワーだったように思う。《Legwork》対策にHQでも守っておいてもらうのがよいかもしれない。

 余談ではあるが《Caprice Nisei》の効果が誘発するのは最奥のICEの通過が終わった時。最後のICEのエンカウントが始まる前にこれをレゾしておかないとそれ以降タイミングがないので、忘れないようにしておこう。

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Chrysalisがトドメを刺してフラットライン勝利

 

 

 様々な欠乏のなか、様々な工夫が見られる試合が多かったが、基本的なカードはある程度揃っていて欲しいというのが率直な感想だった。Honor and ProfitとOrder and Chaosの組み合わせを引いてしまったら再抽選した方がよいかもしれない。

 

diesel.hatenablog.jp

アンドロイド:ネットランナー Midnight Sun Booster Spoiler 前編

 NISEIが次にリリースする予定のアンドロイド:ネットランナーの拡張Borealisサイクル。2つ前の拡張AshesサイクルがDownfallとUprisingの2つのセットからなるように、BorealisサイクルにもMidnight SunとParhelionの2つのセットが存在する。

 Borealisの最初のセットMidnight Sunのリリース予定は2022年6月~8月。セット全体のリリースにはまだまだ時間がかかるようだが、その一部を先んじて体験できる小拡張のリリースが予定されているようだ。その名もMidnight Sun Booster Pack

nisei.net

 

 Midnight Sun Booster Packには各派閥から1枚ずつ、計7枚のカードが含まれる様子。既に公開されているカードを紹介していこう。

 

Deep Dive

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Deep Dive

 コーポのR&Dのカード8枚を表向きで脇に置かせ、その中から1枚、追加でクリックを払えばもう1枚アクセスできる、Shaperのイベントカード。中央サーバー3か所にアクセスした場合にのみプレイできる。ラン3回とこれをプレイするためのクリックで4クリック使ってしまうので、追加アクセスのためには何かしら工夫が必要。

 どうにかして1クリックちょろまかせば8枚から2枚アクセスできるのでそのままゲームエンドに持ち込めるだけの力はありそうなカード。とはいえ気になる点が2つほどある。

 1つ目はプレイまでにR&Dへランしているので、R&Dのトップは既に確認済み。そうなると新しく見れるカードは7枚だけになってしまう。7枚でも十分強力ではあるが。アクセスしたカードをトラッシュするか盗むか、もしくはシャッフルさせるか。フルスペックを発揮するには様々な工夫を要求する。

 2つ目はR&Dの上から8枚脇に置く処理がmust文で書かれていること。mustで要求されることは完全に解決できる必要があるため、R&Dが8枚以上あるときでないとカードは脇に置いて公開されずアクセスもできない……なんてことになりかねない。プレイするときはR&Dの残り枚数に気を付けよう。……紙で遊ぶ際は特に。
 2つ目の懸念に関してルールを確認したところ、R&Dが8枚未満でもカードは公開されるとのこと。

 if able(可能なら)でないので実行可能。R&Dの枚数は気にしなくてもよい。

 

 

Vladisibirsk Grid

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Vladisibirsk Grid

 アドバンスできる領域/Region強化。2アドバンスカウンターを同じサーバーのルートにインストールされたカードに移し替える効果を持つため、計画書に擬態したりファストアドバンスを補助したりと便利に使えそうな能力を持っている。

 何気に初めてのアドバンスできる領域。アドバンスできる強化自体も珍しかったりする。

 フェイクを仕掛けつつ計画書を得点する準備を進められるので、ランナーとしては計画書でないとわかっていても放置しにくい存在。釣られてしまった場合はせめてトラッシュできるように十分なクレジットを残しておきたい。

 

 

Revolver

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Revolver

 Borealisで追加されると告知されていたWeaponカード。ハードウェアかと思ったらまさかのアイスブレイカー。6発に加えて本体トラッシュでもサブルーチンをブレイクできる。インストールコストが安く使用回数も多いので非常に優秀な印象。

 パワーカウンターを使用するアイスブレイカーはこれまでも存在しているので、これ自体は特に新しい要素は感じさせない。まだ公開されていない他のカードとの組み合わせでどのように化けるのか楽しみだ。

 

 

Hakarl 1.0

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Hakarl 1.0

 バイオロイド/Bioroidの特徴を持つICE。サイバーなサメのイラストが非常にかっこいい。バイオロイド?

 一番大きな特徴は、レゾしたときに他のICEをデレゾすることで、ランナーがクリックでサブルーチンをブレイクできるというバイオロイドの特徴を無効化できるという能力。バイオロイドだからって安易なランを許さない。レゾ時に効果のあるICEと相性良さそうだ。

 

 

 現在公開されているカードは以上の4枚。残りのカードを楽しみにしつつ続報を待とう。

 

 

diesel.hatenablog.jp

ネットランナー会レポート 22.02.18 『Adamからの借り物』

 Random Access Memoriesフォーマットで遊び始めて6週間目。限られたカードで試行錯誤していると普段試さないようなカードの組み合わせを試すことになるし、使ってみると意外と実用的かも!?なんて思えてきたりする。Standardに復帰するのが楽しみ。

 

 ここ数日あったアンドロイド:ネットランナー関係のニュースは2つある。

 1つはこちら。

 NISEIによって開発中の新サイクルBorealisの1つ目のセットMidnight Sun……を部分的に先行開放するMidnight Sun Booster Pack。それに含まれるカードのお披露目が始まった。他にもまだあるけどちゃんとした紹介は別記事で用意しようと思う。

 

 もう1つはこちら。

removeanddiscard.hatenablog.com

 アンドロイド:ネットランナー最新拡張であるSystem Update 2021System Gateway日本語版がついに販売開始! うぉぉぉっ! やったーー!!

 製品の詳細は上の記事が紹介しているので詳しくはそちらを参照。

 早速購入して日本語版の需要を見せつけていこう。

 

 

今週のデッキ

 Data and Destiny大拡張の目玉の1つ、少数派閥に数えられるAdam。独自のアイスブレイカーを持たないものの、ゲーム開始時からインストールされる3つのDirectiveリソースを始めとする優秀なカードに恵まれており、ゲーム序盤からコーポを攻め立てることを得意とする派閥である。

 Data and Destinyに大半のカードが収録されているので、このセットがあればとりあえずAdamのデッキを組むことができる……のだが、彼のコンセプトを補強する他の強力なカードは他のセットに散らばっていたりする。今回のカードプールで言えば《Find the Truth》と《Emergent Creativity》は使えるが、《Logic Bomb》は使えないといった具合に。

 《Logic Bomb》なしのAdamは飛車か角が落ちた状態でやる将棋といった印象を受けるくらいにはパワーの不足を感じる。しかし、リグに並んだ《Multithreader》はため息が出るくらいに頼もしい……。その頼もしさにコーポも同時にため息をついてることだろう。ゲーム後半のリグが整ったAdamを止めるのは如何に強固なICEを並べたサーバーであっても難しい。

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先週のAdamデッキでの対戦

 

 《Multithreader》はプログラムに使用できる再生クレジットを持つプログラム。用途は限られるものの適切に使えば毎ターン2クレジット得られるのと同義。《Rezeki》の倍!

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 こんな強力なカード、Adam以外が使っても当然強いに違いない。カードが揃っている他の派閥に持ち込めば、足りない《Logic Bomb》以上の働きを期待できるのではないか……?

 《Multithreader》はメモリを1消費するので、アイスブレイカーと並べて使用するにはその分メモリ増設が必要になってくる。それが得意なShaperであれば《Multithreader》を複数並べる戦略の実現も難しくなさそうである。System Gatewayもあるから《DZMZ Optimizer》を採用すればメモリを増やしつつインストールコストも削減できる。大量にプログラムやハードウェアをインストールするならケイトお姉さんの力も借りたいところ。

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 IDは《Lat: Ethical Freelancer》を採用。Shaperの代表的なドローカードである《Diesel》がないので彼のID能力を代わりにする算段だ。

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コーポと同じ枚数の手札を持ってターンを終えると1ドロー

 

 コーポに先制点を許したが、無防備なままのR&Dにランしたら計画書を発見。ラッキー! 計画書を盗めたので《Brain Chip》をインストールする。《Brain Chip》は《Adam: Compulsive Hacker》のコンソール/Console。盗んだ計画書の点数分だけメモリも手札上限も増える。Shaperだから《Multithreader》以外のプログラムも並べたいし、メモリをがっつり増やしたければこれも借りるっきゃない。

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 更に計画書を盗んでメモリに余裕ができたので隙あらばプログラムをインストールしていく。《Multithreader》も《Rezeki》も並べ放題。これだけ並べてもメモリにはまだ3も余裕がある。

 

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 普通なら突破にかなりクレジットを要する《Fairchild 3.0》の突破も何のその。《Multithreader》が2枚も並んだ時点で毎ターン《Overclock》できるようなものである。コーポからしたらたまったものではない。ただこんな強さを見せつけていても遠隔サーバーの攻略は容易ではなかった。

 

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 《Manegarm Skunkworks》と《Anoetic Void》。ランの成功を妨げる2つの強化が遠隔サーバーを守っている。System Gatewayだけでこのコンボが成立し、これを最も利用しやすい同じセットの《Haas-Bioroid: Precision Design》が《Seamless Launch》で計画書を得点していく。System Gatewayむちゃくちゃ強い。

 繰り返しランすればいずれ突破できるはずであるが、それをICEが妨げる。

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遠隔サーバーを守っていれば強度+2

 《Palisade》はごく普通のバリア/Barrierだが、問題はその強度とこのカードプールで使えるフラクター/Fracterの選択肢にあった。なんとフラクターが強い派閥であるAnarchですら《Cleaver》と《Berserker》の2択なのである。《Cleaver》はこれの突破に5クレジット。《Berserker》に至っては強度不足で突破すらできない始末。なんだこの役立たず。

 このカードプールにおいてはShaperの《Gauss》がフラクターの最もマシな選択肢になるかもしれない。インストールしたターンであれば《Palisade》を1クレジットで突破できるが、それ以降は5クレジット必要。――と、この一介のバリアの突破にかなり高額な出費を強いられることになるのだった。こうなるともうこのサーバーの攻略は諦めて別のサーバー、特に中央サーバーから計画書を盗むことに集中した方がよい。

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Khusyuk!

 

 

次のカードプール

Large Releases
- Honor and Profit
- Order and Chaos

Data Packs
- Future Proof
- Second Thoughts
- Double Time
- Breaker Bay
- Chrome City
- Old Hollywood
- The Universe of Tomorrow
- Fear the Masses
- 23 Seconds
- Daedalus Complex
- Sovereign Sight
- Down the White Nile

 

 次回からのカードプールはまだ選ばれていなかった2つの大拡張が参戦。

 基本セットが含まれていないので《Sure Gamble》も《Hedge Fund》もない環境だ。さて、どう戦う!?

 

 

diesel.hatenablog.jp