ネットランナー会レポート 22.02.25 『カードの欠乏』
Midnight Sun Booster PackのSpolier記事を書いてから、既に公開されているWeyland Consortiumのカードがあったことを思い出した。まあいいや、AnarachとJintekiのカードが公開されたタイミングでしれっと混ぜて紹介しちゃおう……
RAMフォーマットのカードプール抽選4つ目の結果は、Large Releasesとして名誉と利潤/Honor and Profit大拡張とOrder and Chaos大拡張という基本セットを含まない組み合わせになった。デッキを構築するうえで必要となるような基本的なカードがないので、ほぼ全てのランナーデッキに含まれるであろう《Sure Gamble》も、ほぼ全てのコーポデッキに含まれるであろう《Hedge Fund》もない。なんてこった!
これらはゲーム開始時の手札にあると嬉しいカードだが、他にクレジットを得るカードがあれば代替は利くのだ。代替となるカードがあれば、だが……。そう、問題は代わりになるカードもないのである。
イベントで瞬時にクレジットを稼ぐカード自体はいくつかあるが、どれも一筋縄ではいかない。《Calling in Favors》はコネ/Connectionリソースを予め並べておかねば収入は見込めず、《Queen's Gambit》はアドバンスカウンターをコーポに貢ぐギャンブル付きで《Day Job》はクリックを使い切ってしまうのでそのターン他に何もできない。《Lucky Find》は中立でそこそこ使いやすそうなカードに見えるが1枚につき影響値2を要求すると、どれもこれも癖のあるものばかり。クレジット源となるリソースもそれほど種類が種類がない。
コーポにしても同様で、使うタイミングを選ばない任務は《Medical Research Fundraiser》と《 Restructure》くらい。継続的な収入が期待できる資材・強化は《Mental Health Clinic》と《Expo Grid》だけ。《NGO Front》があるだけマシだと考えるべきか。
ランナー側には更に深刻な別の問題が存在していた。他の大拡張かもしくは基本セットのいずれかであればこうはならなかったが、不幸にもこのカードプールにはそれが起きてしまったのだ。
名誉と利潤/Honor and ProfitはCriminal(とJinteki)がメインの拡張。CriminalといえばHQ(手札)を攻めるのが得意な派閥で、この大拡張ではコーポのHQを攻め立てることに特化しそれを猛烈にプッシュしている。――というよりほとんど中央サーバーを攻めることしかできない。
収録されているアイスブレイカーは《Alias》、《Breach》そして《Passport》。どれも安くてコストパフォーマンスにも優れるが、ある重大な問題を抱えている。遠隔サーバーを守っているICEには使用できないのだ。遠隔サーバーの攻略には一応《Overmind》が使えないこともなさそうではあるが、これはどちらかというと早期にランを安全に仕掛けるためのプログラムのように思える……。
Order and ChaosはAnarch(とWeyland Consortium)がメインの拡張だがこちらの方は更にぶっとんでいる。なんとアイスブレイカーがたった1種類しか収録されていないのだ。えぇ……。
この《Eater》というカード、1つでもこれを使ってサブルーチンをブレイクしてしまうと、そのラン中には一切カードにアクセスできなくなってしまう。ICEを突破する能力はAIとしては癖がなく使いやすいものであるだが……。
これ1つでどうやって戦うのかというと、同セットには対応するICEをトラッシュするイベント《Forked》、《Knifed》そして《Spooned》という3種の食器が用意されている。ICEを全てトラッシュしてしまえば《Eater》を使わなくてもカードにアクセスできるぞ! ……ヘイ、それは本当に現実的なのかい?
大拡張には期待できないならばデータパックに期待するしかない!――としたいところだったが、キラー/KillerがCriminalにしかないのはまだ良い方で、フラクター/Fracterが上記の《Breach》の他に《Ankusa》しかなかったりとなかなかの不作具合。
とにかくあらゆるものがない!ない!ない!なカードプール。ないないとはいえ大拡張にはそれぞれその収録カードだけで構築済みデッキがいくつか用意されているものなので、デッキが作れないわけではないのだが、それでもやはりデッキを組むには非常に苦労することになった。
ランナーのデッキ
Mill Friends RAM04-1
Laramy Fisk: Savvy Investor
Event (14)
3x Calling in Favors
3x Deuces Wild ●●●
1x Feint
3x Fisk Investment Seminar
3x Legwork
1x Mad DashHardware (1)
1x LogosResource (22)
1x Bhagat ●●●●
2x Data Leak Reversal ●●
3x Fall Guy
1x Film Critic ●
1x Human First ●●
3x Kongamato ●●●
1x Lewi Guilherme
1x Mr. Li
2x Paparazzi
1x Security Testing
1x The Black File
3x Tri-maf Contact
2x Wireless Net PavilionIcebreaker (6)
2x Alias
2x Breach
2x PassportProgram (3)
3x Grappling Hook
15 influence spent (max 15, available 0)
46 cards (min 45)
遠隔サーバーの攻略ができないなら、中央サーバーへのランだけで勝ったらあ!という意気込みで作成したデッキ。《Fisk Investment Seminar》でR&Dを削りつつ、HQに溜まった計画書を《Legwork》でごっそりいただこうという戦略だ。3種のアイスブレイカーは中央サーバーの攻略にしか使えないので遠隔サーバーにインストールされた計画書には手も足も出ない……が、《Grappling Hook》と《Kongamato》で1、2枚くらいのICEなら突破できるんだぞ!とコーポを威圧するのは忘れない。
コネ/Connectionリソースが大量に含まれているのは《Calling in Favors》でクレジットを稼ぐためだったが、これでクレジットを得るまでの支出に溺れる結果に。特にコーポの手札上限を下げて苦しめるために採用した《Lewi Guilherme》への継続的な支払いは貧乏なランナーの動きを完全に停滞させることとなった。
コーポのデッキ
Psi Grinder RAM04-1
Nisei Division: The Next Generation
Agenda (8)
3x Medical Breakthrough
1x Philotic Entanglement
1x SSL Endorsement
3x The Future PerfectAsset (14)
2x Gene Splicer
2x Genetics Pavilion
2x Hyoubu Research Facility
3x Mental Health Clinic
3x NGO Front
1x Synth DNA Modification
1x Tenma LineOperation (11)
1x Genotyping
3x Housekeeping ●●●●● ●●●●
3x Mushin No Shin
2x Restructure
2x Voter IntimidationUpgrade (4)
3x Caprice Nisei
1x Oberth Protocol ●●●●Barrier (3)
3x KakugoCode Gate (3)
3x QuandarySentry (6)
3x Chrysalis
2x Komainu
1x Tour Guide ●●
15 influence spent (max 15, available 0)
20 agenda points (between 20 and 21)
49 cards (min 45)
Weyland Consortiumを使うよりクレジットが稼げそうだという理由でJintekiを、その中でもIDでクレジットを稼げる(かもしれない)《Nisei Division: The Next Generation》を選択。無茶苦茶強いランの妨害能力を持つ強化《Caprice Nisei》とも相性良いしね!
目指したのはじわじわとしたダメージ。 《Kakugo》によるダメージはもちろん、現状/Currentの《Housekeeping》でもグリップをとことん削らせる。グリップに大量にカードを抱えたら《Komainu》で懲らしめてやれ!
遠隔サーバーを攻めづらいこの環境で《Caprice Nisei》は完全にオーバーパワーだったように思う。《Legwork》対策にHQでも守っておいてもらうのがよいかもしれない。
余談ではあるが《Caprice Nisei》の効果が誘発するのは最奥のICEの通過が終わった時。最後のICEのエンカウントが始まる前にこれをレゾしておかないとそれ以降タイミングがないので、忘れないようにしておこう。
様々な欠乏のなか、様々な工夫が見られる試合が多かったが、基本的なカードはある程度揃っていて欲しいというのが率直な感想だった。Honor and ProfitとOrder and Chaosの組み合わせを引いてしまったら再抽選した方がよいかもしれない。