Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 22.05.20 『二層式軌道エレベーター』

 かねてより構想だけはあったものの、実用性に著しく欠けるという理由で挑戦しなかった《Earth Station: SEA Headquarters》で《Daily Quest》を使う戦術――IDをひっくり返すと遠隔サーバーへのランに6クレジットのコストが必要になるので《Daily Quest》のような資材が簡単に守れるのだ!

裏面

 しかし《Earth Station: SEA Headquarters》は遠隔サーバーを1つしか建てられないので、そこで《Daily Quest》を守ると計画書を得点するためのサーバーがなくなってしまうという致命的すぎる弱点がある。なので普通はこんなことを戦術に組み込むのはおかしなことなんけど、たまたま最初のドローで《Daily Quest》を引き当ててしまったからついやってしまったんだ。デッキに1枚しか入ってないはずなのにね。

 

 この布陣は2ターン目から《Daily Quest》の収入を受け取りつつHQも守れるという恩恵があるものの、《Inside Job》でHQに侵入された瞬間に崩壊する脆弱性も併せ持つのでただのロマン技でしかない。やめよう。

 この対戦はJinteki.netのある不具合*1でお流れになってしまったので、本稿で紹介するのはこれとは別の対戦である。

 

 さて、《Earth Station: SEA Headquarters》のデッキに不似合いな《Daily Quest》なんてカードがなぜ入っているかといえば、上記のようなロマンコンボを実現するためではないが、もちろん使うために入っている。

 遠隔サーバーが1つしか建てられない以上、複数の資材を利用しにくい《Earth Station: SEA Headquarters》ではクレジットが稼ぎ辛い。その問題を如何に解決するかが今回の焦点だ。

 

 

1つのサーバーでクレジットも稼ぐし、計画書も得点する

 《Earth Station: SEA Headquarters》は表と裏でそれぞれ異なる能力を持つWeyland ConsortiumのID。

 裏面では遠隔サーバーへのランに6クレジットを課すという強烈な能力を持っているが、HQへのランに成功されると能力を解除――表面に戻ってしまう。逆に言えばHQを上手く守り続ければこの防御能力はずっと機能し続けられるというわけである。

 この能力を上手く使えばICEがなくても遠隔サーバーも守ることができる。ただ、6クレジットのコストを意に介さず突っ込んでくることもあるので、ランを終了できる強化もセットしておくとより効果的になる。

ランナーはまずHQを攻略しなければならない

 

――まあ、最初は簡単に突破されてしまうわけだが……

残念、《NGO Front》だ

 

 本番はここから。

 引いたICE二枚で遠隔サーバーを守り、《Dedication Ceremony》でHQを守る《Akhet》にアドバンスカウンターを載せる。

 これでランナーがHQに来ようとするたび《Akhet》の効果で他のICEにどんどんアドバンスカウンターが溜まっていく。HQへの心理的抵抗を増やしつつ、十分な防御を得たので計画書の得点も狙っていく。

 

 遠隔サーバーの防御を起動するのに1クリック使ってIDを裏面にひっくり返す必要があるが、これはランナーからすれば計画書を得点するための予備動作も同然。コーポはそれがバレバレなのを前提に行動しなければならない。あるいはそれを承知でブラフを仕掛けるか……。

 わざわざ《Oaktown Renovation》を計画書に選んでいるのもランナーに得点行動がバレることを前提としているため。公共/Publicな計画書は表向きにインストールされるがその分効果は強め。クレジットを稼ぐという目的なら《Offworld Office》よりわずかに効率がよく、しかもアドバンスと同時にクレジットを得られるので隙を生じにくい。

アドバンスするたびに2クレジットを得られる

 

 うっかりIDを表向きのままランナーにターンを渡してしまったので、遠隔サーバーに易々と攻め込まれてしまったものの、《Border Control》で強引にランを食い止めて事なきを得た。

 《Rielle "Kit" Peddler: Transhuman》と《Engolo》の組み合わせはデコーダーじゃなくてもICE2枚ぶち抜いてくるので油断ならない。

 

得点!

 計画書を得点したことにより、事前に遠隔サーバーに仕込んでおいた《Malapert Data Vault》でR&Dからカードをサーチ。《Jinja City Grid》をHQに加える。この調子で必要なパーツを集めていこう。

 《Jinja City Grid》はドローしたカードがICEであればそれを即そのサーバーを守るようにインストールできる強化。インストールコストも軽減されるので容易に分厚い壁を築くことができる。

 これでもう簡単には突破できまい!

 更にシレっと1枚サーバー内にインストールしておく。そして次のターンには――

――2アドバンスしてIDをフリップ! さあて、これは計画書でしょうか!?

 

 

 

 

 

 3回アドバンスして《SDS Drone Deployment》を得点。《Engolo》を吹っ飛ばす!

 まあ、このあとすぐ次の《Engolo》がインストールされてしまうのだが……。

 

 ここであと1枚計画書を得点すれば勝利だがクレジットは残り2。こんな心許ない額じゃHQにある《SDS Drone Deployment》の得点を仕掛けることはできない。

 ちょうど《Daily Quest》を引き当てたが、ここはガツンと一気にクレジットの回復を図りたいので《Malapert Data Vault》でサーチするカードは《NGO Front》を選択。

 

 8クレジットまで回復したものの、リソースにたっぷりとクレジットを蓄えたランナーを正面から相手するにはまだまだ。遠隔サーバーのICEを十分な数起動できるようにしておかなければならない。

20クレジット以上ある

 

 クレジットを続けて稼ぎたいので、手札に引いてきた《Daily Quest》をインストール!!――するのだが、その前にこれもつけちゃう!

計画書か資材を2枚まで搭載可能

 

 《Full Immersion RecStudio》の上には計画書もしくは資材を2つまでインストールできる。1つのサーバーに2つ以上の計画書や資材が同居できないのがこのゲームの常だが、このカードはそのルールを破壊する。

 遠隔サーバーを1つしか作れない《Earth Station: SEA Headquarters》にぴったりじゃないか!――と言いたいところだが《Full Immersion RecStudio》は4影響値使うのでそうそう枚数を増やすことはできない。歯がゆい。

 似たような能力の《Worlds Plaza》というカードもあったがこちらは3つまで搭載できる代わりに資材専用。

 

 5点分計画書を得点した終盤も終盤だが、ここにきてようやくこのデッキでやりたかったことを実現できた。これによって《Daily Quest》を維持しながら計画書の得点も狙えるのだ!

 

 その後クレジットを回復しつつサーバーのICEもどんどん積みあげていく。

 守るICEの数が増えるほど強くなる《Surveyor》はこういうとき非常に頼りになるね。

しかし同時にランナーのリグも整いつつある

 ドローアクションで《Oaktown Renovation》を引いたのでインストール! 残りのクリックで忘れずIDをひっくり返す。

 1アドバンスしておかなければ次のターンに得点できないが、ここまで遠隔サーバーが育ったあとであればHQに握っておくよりも安全な気がした。

 

 次のターンでランナーはアーカイブにラン。《Space Camp》にアクセスしたため、そのアドバンスカウンターは計画書に置いた。

 次のターンに3回アドバンスして得点。GG!

 

 

 盗まれない状態で使う《Oaktown Renovation》が強い! 資材を維持してクレジットを稼ぐことと計画書の得点が両立できない弱点も、この計画書を使うことで補う道がありそうだ。もしそうであれば《Full Immersion RecStudio》に割いた影響値も他の部分に回せるというもの。

 ランナーに《Space Camp》を複数回踏ませてICEを育てる魂胆もあったが、その企みは今回機能不全に終わった。《Space Camp》を活用できるIDはこれではないと感じたので、もっと良いパートナーを他に探してみようと思う。

 

 

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*1:対戦中にカーソルキーの左右を入力すると直前に見てたリプレイが再生されてしまう。再入室不可。