Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 22.05.13 『指向性計画点』

 7計画点先に獲得すること。アンドロイド:ネットランナーにおける勝利条件だ。デッキ切れやフラットラインといった特殊な敗北条件も存在するが、基本的には計画の達成や奪取によってお互いの得点行動を妨害し合いつつ先に得点を稼ぎ切ることを目指すのである。

 

 ところで、計画書を得点したり盗んだりする以外に計画点を伸ばす方法があることはご存じだろうか?

 今回はNetrunnerDBに投稿されていた、奇想天外なアイデアがぐっときたデッキを使って遊んでみたのでそれを紹介しよう。

 

 

計画書? なにそれおいしいの?

netrunnerdb.com

↑デッキのカードリストはここから

 

 遠隔サーバーを新規で作ると1ドローする《Near-Earth Hub: Broadcast Center》がIDのデッキ。IDからもリストからも伝わってくるアセットスパム*1感。

 それでは採用カードを見ていこう。以下はデッキに採用されている資材だ!

1x 《Cerebral Overwriter●●
1x 《Daily Business Show
3x 《Echo Chamber
2x 《False Flag●●●●
3x 《Gene Splicer●●●●●●
3x 《News Team
3x 《NGO Front
3x 《Space Camp●●●
2x 《Spin Doctor

 

 いきなりの《Cerebral Overwriter》にギョっとするがこれはさておき、ある特徴を持った資材が並んでいるのがわかるだろうか。

 

 《Echo Chamber》の能力はただ1つ、3クリックで起動できる能力によって1点計画書としてスコアエリアに移動すること。レゾコストが4と高めだが、3/1計画書を得点するのにも3クレジット必要であることを考えると1クレジット負担が増えるだけとも言える。

 

 

 《False Flag》と《Gene Splicer》は得点化するのにアドバンスカウンターを要求する代わりに、アクセスしたランナーに手痛いしっぺ返しを与える待ち伏せ/Ambushの特性も併せ持っている。

 

 ランナーの立場からすれば、放置すれば得点化するし、かといって対処に走ってもクレジットを消費させられたうえ計画書じゃないから得点にもならない。そのうえタグやネットダメージまで飛んでくることもあるという……。――なんて迷惑な代物なんだ!

 

 

 それでもって、アクセスするとマイナス点になるか、さもなくば2タグを受けるかという嫌がらせに特化した能力を持った《News Team》。この能力はアーカイブにある間も健在なので、アーカイブでもアクセスするたびにこの二択を迫られることとなる。

 よっぽどのことがない限りは二度と出会わなくてもよいように得点化してしまうのがセオリーに思えるが、-1点をもらうということはゲームのゴールから遠ざかる行為。ランナーとしては断腸の思いで受け取ることになるわけだが、これが3枚入っている。鬼か。

 

 更に計画書も見てみよう。

1x 《15 Minutes
2x 《Global Food Initiative●●
2x 《Project Beale
2x 《Puppet Master
3x 《Quantum Predictive Model

 

 《15 Minutes》はランナーが盗んでもそのあとR&Dに戻る能力を持っているし、5/3計画書の《Global Food Initiative》はランナーが盗んでも2点。愛らしい子猫ちゃんはタグされたランナーにアクセスされるとスルリとコーポのスコアエリアに移動してしまうなどなど、盗めなかったり盗んでも点数が低いといったような構成になっている。

 

 通常であればコーポの49枚*2のデッキには20点分の計画書が含まれており、コーポとランナーでこの点数を奪い合う。

 しかし、このデッキの場合はそれに加えて12点分の計画書の代わりとなる資材が用意されている。しかもこれらはランナーが盗んでも点数にならない。加えて、ランナーにとっての-1点資材が3枚、価値が1低い計画書が2枚、盗めない計画書が3枚、盗んでもキープできない計画書が1枚と、得点源が減らされて合計-9。

 これが意味するのは、コーポにとって32点分の計画書が含まれたデッキのカード全てにアクセスしたとして、それはランナーにとって11点分しか価値がない、というとんでもない点数勾配があるということである。わぁ、なんとクレイジーな……!

 

 

 対戦。相手IDは《Reina Roja: Freedom Fighter》。

 資材を横に並べてドローしつつ展開を進めるものの、《Aumakua》にカウンターをがっつり稼ぐことを許してしまった。インストールしたカードを逐一チェックされるとなかなか得点しずらい。

 

 ランナーがR&Dへラン。

 中央サーバーからは《Quantum Predictive Model》は盗めない! なぜなら《Funhouse》が守っているからだ!!……というのをしたかったが、直前に《Hippo》をインストールされてしまったのでこのときはレゾできず。《Funhouse》をトラッシュさせるわけにはいかない。

 

――と思っていたらランナーは《Quantum Predictive Model》にアクセス。タグはついてないのでコーポの点数にはならない。ランナーが取れないはずの点数を渡してしまいあわや計画破綻。なんとかしないと……

盗まれた……

 

 R&Dの前に2枚目のICEを置いて《Hippo》対策。《Hippo》は最外殻のICEしかトラッシュできないので、こうすることで内側にある本命のICEを守ることができるのだ!

――などと思っていたら今度は《Chisel》に感染してしまう。やめてー! 《Funhouse》は要なの! いじめないでー!!

 

 その後抵抗虚しく《Funhouse》はトラッシュされてしまったものの、アーカイブにまとめて捨てられていた《Space Camp》にランナーがアクセス。インストールされていた《False Flag》にがっつりとアドバンスカウンターが載る。

 きた! この時を待っていた!

 

 足りないカウンターを自力で載せつつ得点!

 

ランナーはたくさん盗んでいるが、ここで逆転!

 3点ゲットである。

 《False Flag》を得点化するのに7回もアドバンスするのはさすがに現実的ではないので、《Space Camp》はこれをサポートするために入っているのだ。

 ランナーは3枚の計画書を盗んでいるがまだ3点。減算効果恐るべし。

 

 しかしランナーはここから《Conduit》でR&Dを深堀りし始め、残りの計画書も盗まれてしまった。残り2点を詰め切ることができず敗北。GG。

 《Echo Chamber》を何度か得点するチャンスはあったものの、《Funhouse》のレゾコストを常に残しておこうとクレジットを温存することを選択した結果トラッシュされてしまっていたので、もっとアグレッシブに得点化を進めていたらまた結果は違ったのかもしれない。

 ICEをほとんど使用していないにもかかわらずクレジットがかなりカツカツだったので、《Marilyn Campaign》のような繰り返し使用できるクレジット供給資材を追加したいかも。

 

 こんなデッキを思いつくなんてなんてすごいだ。

 自分のデッキを考えつつ、こういうユニークなデッキの発掘もしていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 ちなみにこの対戦で相手のランナーは――

 

 

 

 

 3枚の《Acacia》と大量のウィルスカウンターを使って……

 

 

計81クレジット

――大金を稼いでいた。

 こっちもクレイジー!!!

 

 

 

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*1:資材/Assetを大量展開してアドバンテージを稼ぐ戦略

*2:デッキに含まれる計画書の点数を増やさずにできるだけ計画書の密度を下げるためのセオリー。