Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 22.05.06 『ICE掘削』

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 System Gatewayでテキストの書き方が一新され、新しいキーワードがいくつか登場するようになった。特に印象深いのはアイスブレイカーで、主にサブルーチンをブレイクする能力に境界/Interfaceというキーワードが付属するようになった。

 

 ICEに干渉するためには、そのプログラムの強度/StrengthがICEの強度以上である必要がある。例えば、《Abagnale》が《Archangel》のサブルーチンをブレイクしたければ、まず《Abagnale》自身の能力を使い合計4クレジット払って強度を+4し、強度6にする。それからようやく《Abagnale》の「コードゲートのサブルーチンをブレイクする」という能力が《Archangel》に対して使用できるようになる。

 以前のテキストでは強度を合わせる必要がある能力かどうかを判別するのにちょっとしたコツが必要だったが、新しいテキストでは境界能力であるかどうかだけで判断できるようになっている。サブルーチンをブレイクするのは境界能力なので強度合わせが必要で、迂回/Bypassする能力は不要。とてもわかりやすい。NISEIグッジョブ。

 

――という前置きから今回は強度がテーマ。強度を上げるだけがこのゲームの戦い方ではないのだ!

 

 

 

 Anarchというのはその名の通り反体制を標榜する派閥。ランするのは現支配者であるコーポの資産やデータを滅茶苦茶に破壊するためである。それはランを妨げるICEとて例外ではない。

 

ICEを破壊するウィルスの1つ

 《Chisel》はICEの上にインストールする(搭載/Hostする)プログラム。自身の持つウィルスカウンターの数だけホストのICEの強度を下げる能力を持っており、強度が0以下になれば自分もろとも破壊してしまう。

 このカードはかつて猛威を振るった《Parasite》の調整版であり、能力はかなり似通っている。毎ランナーのターン開始時に自動的にカウンターが溜まる《Parasite》に比べ、《Chisel》のカウンターはホストとなっているICEとエンカウントするたびに増えていく。アグレッシブなランナー向けのカードと言えよう。非レゾ状態のICEに搭載できるかという違いもある。

 

 ICEの強度を0以下にまで下げることができればトラッシュできるという能力を持っている両者だが、常に効果を発揮している常設能力/Static Abilityを持つ《Parasite》に対し、《Chisel》の場合はエンカウント時にチェックする条件節能力/Conditional Ablity。エンカウント時に強度0という条件を満たさなければならないので、《Leech》(《Datasucker》)を使ってエンカウント中に強度を下げてトラッシュ!――ということはタイミング的にできない。Parasite》ならできるのに!

 

 なんだ使いにくいじゃないか!……と思ってしまった人は安心してほしい。ちゃんと《Chisel》を活かすカードは用意されている。

 《Devil Charm》はICEの強度をなんと6も下げてしまうハードウェア。使用時にゲームから取り除かれてしまうので再利用できなくなってしまうという超気合の入った能力だ。能力の誘発タイミングはICEにエンカウントしたときで《Chisel》の能力の誘発タイミングと同じである。

 アンドロイド:ネットランナーでは同じ誘発タイミングの能力が複数あった場合、その解決順はコントローラーが選ぶことになっている。《Devil Charm》の能力を先に解決して強度を下げたあとで《Chisel》の能力を解決すれば、それだけで強度6以下のICEをトラッシュできてしまうのだ!

 

 さらにお手軽に《Chisel》に貢献したければこの男を呼んでこよう。

 《Null: Whistleblower》の能力は手札を捨てることによるICEの強度低下。誘発タイミングはやはりICEにエンカウントしたときなので《Chisel》の前に解決して事前に強度を下げることができる。

 下がる強度の数値は2と控えめなものの、そこらの軽量なICEであれば十分トラッシュ圏内まで強度を下げられる数値。コストは手札のカード1枚なのでかなり手軽に起動できるというのも魅力。

 

 より強いICEを対策したければ《Cookbook》で《Chisel》に最初からウィルスカウンターを置いてもよいし、《Ice Carver》でエンカウントする全てのICEの強度を下げるという手もある。これらを複合的に組み合わせればかなり高い強度を持ったICEでも触れるだけで破壊する凶悪なコンボが完成する。

 理論的には強度10までのICEならばサブルーチンをブレイクすることなくトラッシュできる。アドバンスカウンターが3つ載った《Pharos》が役目を果たすことなくトラッシュされればコーポは泣きたくなるに違いない……。

常設能力/Static Abilityなので《Chisel》の能力が誘発する以前から強度を下げてくれる。

 

 

 今回の対戦では《Týr》をトラッシュする活躍を見せた。

 《Simulchip》を使えばエンカウント前にインストールできるので、どのICEを狙うのも自由自在。強い!

強度7が-1へ

 

 《Chisel》サポートのためにICEの強度を下げるカードをたくさん採用したことで多大な恩恵を受けるカードがもう一つある。クレジットで強度を上げることができないアイスブレイカー――特に《Aumakua》だ。

強度は自身が搭載するウィルスカウンターに依存する

 

 《Aumakua》はICEの守りが全てのサーバーにいきわたっていない状態であればメキメキと成長する脅威のAIアイスブレイカーであるが、全てのサーバーをなんらかのICEで守られた状態を作られると途端に何もできなくなる弱点がある。ICEを突破するには強度が必要だが、強度を増やすにはICEを突破する必要がある、というデッドロックに陥ってしまうのだ。

 ランナーが《Aumakua》を使っているのを見たコーポは、その対策のためにアーカイブを含めた全てのサーバーにICEを配置してウィルスカウンターをパージする。《Aumakua》の強度は0になり、この状態ではほぼICEを突破することはできない。ふう、これでもう安心。

 ところが、《Null: Whistleblower》を始めとしたICEの強度を下げるサポートが充実していると、強度2や3のICE程度では《Aumakua》を止められなくなってしまう。デッドロック崩壊だ。そうなれば《Aumakua》はどんどん成長していってしまうので、コーポは再びパージを検討するか、高額なICEがやすやすと突破されるのを指を咥えて見てるほかなくなってしまうというわけ。

元々の強度4の《Ansel 1.0》に強度2で挑んでも勝ててしまう

 

 あれ、《Null: Whistleblower》と《Aumakua》の組み合わせ、意外と強いんじゃないか…!?!?

 

 

 結構遊んでるつもりでもまだまだ新しい戦略を発見できるなんてなんて奥が深いゲームなんだ!

 アンドロイド:ネットランナーはやっぱり最高のゲームだね。

 

 

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