Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

ネットランナー会レポート 21.11.26 『Mad Dash』

 次第に寒さが強くなってきて冬の訪れを感じる。11月も終わりだ。

 FFGから発売されたばかりのUnfathomableというボードゲームを遊んでみたがとても面白かったのでそのうちまたレビュー記事を書きたいと思う。

 でもその前にネットランナー会レポートだ!

 

 

Mad Dash

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 ランを実行し、計画書を盗めば追加1点と化すイベントカード。

 たったの1点。されど1点。アンドロイド:ネットランナーを始めたばかりの頃の私はこの1点の価値を理解しておらず、当時の環境(MWL 2.2)で制限カードになっていた理由も知らなかった。リリースノートも読んでなかったし。

 例えばコーポのデッキに2点計画書が採用されていたとしよう。ゲームに勝つには合計7点以上の計画点が必要なので、ランナーが勝つには4枚盗む必要がある。これで合計8点だ。

 ところが、2点計画書のうち1枚を《Mad Dash》で盗んだとすれば、追加の1点が加わって3枚目の2点計画書を盗んだ時点で合計7点になる。

 3点計画書ばかり採用されている場合も同様、合計7点以上になるには3点計画書を3枚盗む必要があるが、《Mad Dash》の1点があれば3点計画書2枚で足りる。

 

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盗む回数を1回減らせる

 勝つために盗むべき計画書の枚数を1枚減らす効果と言っても過言ではないこの効果。それがほとんどデメリットもコストもなしに使えるのだから弱いわけがない。まさしくランナーの勝率を底上げするためのカードというわけだ。

 

 《Mad Dash》は使うタイミングの難しいカードだが、計画書を見てから盗めばほぼ確実。開示したりR&Dを盗み見たりと方法はあるが今回はこれを使ってみることにした。

 

 

 

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 《Stargate》。R&Dのトップ3枚を公開してそこから1枚トラッシュ。

 実質《The Maker's Eye》のようなR&D3枚アクセスを毎ターン連打できるようなものなので、これ単体でもすごく強かったりする。

 ポイントはこのカードの効果では公開したカードにアクセスするわけでないということ。例えそこに計画書が含まれていてもすぐには盗めないが、逆にそれが《Mad Dash》と非常に噛み合う。

 

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 《Stargate》で存在を確認した計画書は《Mad Dash》で狙い撃ちにできる。トラッシュしておけばアーカイブから盗むのは非常に容易だ。

 

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計画書3枚 + 《Mad Dash》で勝利

 

 

 《Stargate》はR&D(もといアーカイブ)から計画書を盗むこと確実にしてくれる。しかしHQに握りこまれた計画書に対しては無力だ。

 HQから計画書を盗もうと思えばやはりマルチアクセスは必須。派閥を選ばない《Jailbreak》は頼りになるし、Criminalの《Docklands Pass》は使いやすく優秀。言うまでもなく《Legwork》も非常に強力。

 もし派閥がAnarchであればこのカードもお勧めだ。

 

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大規模手札破壊

 HQへのランに成功することで追加クリックを支払い、払ったクリックの数だけHQのカードをランダムにトラッシュする《Wanton Destruction》。最初のクリックでこれを使えば残りの3クリックを払ってHQを3枚トラッシュ! コーポにしてみれば普通に3枚アクセスされるよりきつい。

 

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 このカードもやはりカードにアクセスしないため、このランで計画書を盗むことはない。トラッシュされた中に計画書が入っているかは不確定だが、そのあとアーカイブに《Mad Dash》でランすれば実質《Legwork》(HQ追加2枚アクセス)しながらの《Mad Dash》と同義!

 

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 アーカイブに落としてから回収という動きが実にAnarchらしい。

 アーカイブのカードには全てアクセスできるため、何度かR&DやHQのカードをトラッシュして枚数を増やせばそれだけ計画書にヒットする確率も上げられる。

 

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計画書2枚 + 《Mad Dash》で勝利

 

 

 

 

 

 

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 今回は《Hoshiko Shiro: Untold Protagonist》のデッキで《Mad Dash》を試してみたが、とてもパワーのあるカードだと感じた。盗む枚数が1枚少なくなるというのは非常に多きは変化だ。

 《Mad Dash》の復活により、中央サーバーの防御を疎かにしたラッシュ系デッキのスピードにランナーは追いつきやすくなった。また、3点計画書だけで固めて計画書密度を減らすデッキはよりリスキーになった。最悪2枚盗まれただけで負けてしまう。

 《Mad Dash》は全てのランナーデッキが採用して活躍できるカードではないが、このパワーを活用するためのデッキが傾向として増えてくるだろうし、コーポのデッキもまたこのカードを恐れて変化するだろう。

 

 私個人としてはゲームテンポはスローな方が好みなので《Mad Dash》のようなランナーを高速化するカードは本来あまり好きではないのだが、このカードの存在によって現在環境を支配する高速なコーポが抑圧されるのであれば歓迎したいと思う。Standardの環境が良い方向に変化することを期待したい。

 

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