Diesel

ボードゲームを中心とした記事を書きます。

シャドウランTRPGに参加した話

最近ゴブリン(@death_metal_man)さん企画のシャドウランTRPGセッションに参加している。
10人の参加者が3つのチームに分かれ、1つのキャンペーンでそれぞれの物語を紡ぎ、1つのチームの行動やミッションの結果が他のチームのシナリオに影響を与える。そんな群像劇をやってみようという企画だ。
現在は私の所属するチームのシナリオ第2話……の後日談である第2.5話(3セッション目)が終了したところである。

 

    

気楽に飛び込んだ結果幾多の交錯する謎やドキドキする戦闘に巻き込まれた経験やシャドウランTRPGという遊びについて感じたことをここに記しておこうと思う。

 

 

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銃とメカとハッキング、そして魔法と精霊とドラゴン

シャドウランはいわゆるネットワークやサイバネティックの発達した未来世界を舞台にしている。巨大企業や犯罪組織がそれぞれ鎬(しのぎ)を削り、それによって発生する暗殺・強奪・破壊工作・情報収集といった非合法な裏の仕事で生計を立てる者たち、それがシャドウランナーである。彼らは銃や刃物で武装し、コムリンクを使って意思疎通する。ある者は自分の身体の一部をより強力な金属のパーツと置換し、ある者はドローンを意のままに飛ばし、ある者はネットワークに入り込んで敵の目を奪い、サイバーアームを機能不全に陥らせる。

ここまでならよくあるサイバーパンクだが、シャドウランの世界ではある日を境に世界が一変する。

 

 

 

 

ドラゴンの帰還だ。

 

 

 

 

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魔法が非科学的な夢物語であるという考えを人々から消し飛ばした。そうしてしばらくののち、人間として暮らしていた人々はそれぞれ元の種族の姿を取り戻すことになる。

シャドウランの世界では銃を手に持って戦うのは人間(ヒューマン)だけではない。ハイテク機器を身に着けた巨大なトロールが巨大な銃を振り回し、サブマシンガンを携えたエルフが華麗な身のこなしで銃弾をばらまく。かと思えばコンピューターに精通したオークがシステムを乗っ取り、文字通り鋼の腕を持ったドワーフがその拳で敵を粉砕する。ここ第六世界の戦場では銃弾だけでなく、召喚された精霊や魔法の炎や雷が飛び交うのだ。

 

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ううむ、なんて素敵な世界だろう。

電子と魔法のぶつかり合い!
巨大なトロールの戦士をカタナでバラバラに切り刻むサイボーグ忍者
無数のドローンを自在に操るドワーフ

…想像するだけでワクワクしてこないだろうか? 

 

 シャドウランTRPGではそんな素敵を実現するためのルールが整備されている。

 

 

 

とがった耳や鋭い牙は好きか?

シャドウランのキャラ作成はまず何を優先するか決めるところから始まる。
メタタイプ、能力値、魔力/共振力、技能、資産をどの順に優先するかを決めるのだ。

例えば能力値の優先度を上げれるほどキャラクターの基礎的な能力値に割り振るための数値が多く貰えるし、メタタイプの優先度を上げるほど選べる種族が増える(ついでにボーナスポイントも付く)といった具合だ。魔法を使いたければ魔力/共振力の優先度を上げておこう。

 

見た目にこだわるならまずはメタタイプだ。
〇inal 〇antasyのようなイケメン・美女を作りたければ魅力の高いエルフが良いだろうし、かっこいいツノが欠かせないならオークやトロールがお勧めだ。

メタヒューマンたちは普通のヒューマンに比べて能力の基礎値も上限値も高めに設定されているうえ一部特殊能力も最初から備えている。
ただし見た目がゴツくなるほど多くの偏見に晒される可能性もある。

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ヒューマンの良いところ?
見た目が普通ってことだ。目立った特徴がなければ偏見の目で見られることも、群衆の中で目立つこともない。……どんな装備をするかにもよるが。
あとは他のメタタイプよりちょっぴりラッキー。

 

貰ったポイントでキャラクターを作成し、技能を決め、買い物を済ませたらキャラは完成!と言ってしまうのは簡単だが、初回作成もその次もかなり悩むことになるだろう。
なんせ選ぶべき技能も装備も選択肢が膨大だ!

最初は何が必要なのかわからないことも多いだろう。そういうときはルールブックに沢山のサンプルキャラが載っているので参考にするとよいし、そのキャラクターでプレイしてみるのもよいだろう。

 

私の初回プレイはストリート・サムライのサンプルキャラでサイバネで強化されたトロールを一刀両断に切り殺し、2回目のプレイはガンスリンガー・アデプトのサンプルキャラでチラ見せで現れたシナリオボスをうっかり倒してしまった。(すまないGM!)

 

 

知覚は取ったか? 偽装SINは買ったか?

では仕事にとりかかろう。

 

 

 

 偵察し、盗み、運び、そして殺す

シャドウランナー達に直接仕事依頼するのは所謂代理人(フェイス)であり、その代理人を通じて依頼内容の説明が行われる。仕事の内容は単刀直入に「どこでなにしろ」と説明されるため、シャドウランナーのチームの面々たちはどこの誰が何のためにそうしたがっているってことを知らないまま仕事を受け取ることになる。仕事の目的など末端には説明されないのだ。

その依頼がどういう経緯で発生したか気になるならまずは情報収集してみるのも良いだろう。コンピューターに詳しい奴や情報筋と太いパイプを持つ奴がいれば裏の情報まで手を伸ばすことができる。依頼人の痛い腹の内を探ってやれば……、おっと誰か来たようだ。

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フェイス

 

交渉や機械の操作、銃を撃つことにかけてまで何かしらの技能を使用する。
技能を使用する際にはそれがどれだけ上手く行えたかをテストする。シャドウランでも多くのTRPGに漏れず普通の6面ダイスを使用する。

敵の警備を掻い潜って進みたいという場面で《忍び歩き》をするとしよう。
技能はどの能力値を使ってテストを行うかがそれぞれ決まっている。《忍び歩き》の場合は【敏捷力】の値を使う。例えばこのプレイヤーの《忍び歩き》の技能値が4で【敏捷力】の能力値が3である場合、《忍び歩き》のテストに使用するダイスの数は4+3で7個になる。

テストに使用するダイスプールが決まったら早速ロールだ。

 

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コロコロコロ……

 

 

忍び歩き 7B6 > 1, 1, 3, 4, 5, 5, 6

 

うむ、悪くない。

シャドウランのテストで見るダイス目は156だけだ。5以上の出目1個につき1ヒット。上記の結果なら3ヒットだ。

テストをクリアするには求められる以上のヒット数を出す必要がある。今回のダイスロールの結果が成功か失敗したかは、この場合は警備がどれだけ慎重に行われたかの対抗ロールの結果によって決まるわけだ。

コロコロコロ…

 

 

 

…よし、敵はこちらに気づかずに向こうへ行ったぞ。間抜けな奴め!

 

 

 

1の出目はこのゲームでは特に嫌われる。
ダイスロールの結果ダイスプールの過半数が1だった場合、何かしらよくないことが発生する。うっかり物を落としたりだとか、躓いて物音を立ててしまったりだとか。具体的な内容はGMに委ねられる。これをグリッチという。

グリッチが起きたからと言って直ちに致命的な問題が発生するわけではない。グリッチは小さな不運であり、テスト自体に成功していても発生し得るということは重要なポイントだ。
《忍び歩き》に成功して敵に見つからずに済んだものの閉まるドアに指を挟んでしまったり、戦闘中に発砲した銃が弾詰まりを起こしてしまったりなどなど、ヒット数に応じて様々な不運をGMが提案できる。成功と失敗の間にあるグラデーションを表現できるシステムと言っていいだろう。

 

クリティカル・グリッチというものも存在している。グリッチが発生してヒットが1つもないような救いようがない不運が起きた時がそれだ。鞄の中に入れておいた手榴弾のピンが抜けてしまっていたりとか。

 

 

TRPGという遊び

どのようなTRPGでもダイスを使用する。TRPGに限らず様々なゲームではダイスのような乱数を生む手段が利用されている。状況がどれほど上手くいくのか、もしくは失敗するのか、予想できない展開を乱数がもたらしてくれる。ゲームにおいて運の要素とは遊びに多様性をもたらすために欠かせないものだ。何か困難に直面しても他のメンバーと協力して乗り越えるからこそドラマが生まれる。

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交渉のダイスロールの様子

 

あらゆるハプニングも楽しみに変換できるのがTRPGの良いところだ。プレイヤーのピンチはいかにその状況から脱出するかという見せ場でもある。ダイスロールの結果で喜んだり落胆したり参加者みんなで盛り上がることができる。

 

TRPGはロールプレイに注目されることとの多い遊びである。
しかし実際に遊んでみると、GMから状況説明を受けたうえで自分のキャラを行動させるためのコマンドを選んでいく感じのゲームであり、自分がどんなコマンドが使えるのか知っていれば遊ぶことができる。
あとは余力があれば、その合間合間で雰囲気を盛り上げるための台詞だったり、キャラの性格に合わせた行動だったりというフレーバーを重ねていけばよい。

 

遊ぶためには分厚いルールブックの隅から隅まで把握しておくイメージもあるかもしれない。実際それが必要があるかと言われればそんなこともない。そもそも全てのルールを完璧に把握して遊んでいる人はいるのか…?

TRPGのゴールデンルールとしてルールはGMの判断が最も優先されるというものがある。これは決してGMが最も偉いからそれに従わなければならないというわけではない。TRPGに参加するどのプレイヤーもこのゲームを面白くするための努力をしているし、それはGMも例外ではない。
GMが最終的な決定権を持つのは、ゲームの全容を把握しているからこそ、ゲームを盛り上げるためにその場で最も適切な判断を下せるのがGMだからだと私は思っている。

例えルールブックの内容に厳密に沿わないことがあってもそれは大きな問題ではない。ゲームを楽しむためのルールであるが、皆が楽しめるのであれば多少あいまいでもGMの判断を信じればよいのだ。

 

 

 

……と、意外と参入ハードルが低かったことを挙げてみたが、このシャドウランTRPGを遊ぶことができたのは、ホスピタリティ溢れるGMと他の参加者の皆さんのおかげであることは忘れてはならない。こんな初心者を入れて遊んでくれてありがとうございます。

 

キャンペーンモード、これからどんな展開になるのか非常に気になりつつ次の会を待つ日々。

 

セッションが終わるたびにこうして140字以内に内容をまとめていくのもなかなか楽しい。

シャドウランはいいぞ。